第9話 魔物の大群と私
マーメルの城下町、夜だと言うのに通りには魔法の明かりが灯り、夜店などが出ていて活気がある、夜でもこれだけ活気があるって事は、それだけこの国は治安が良いと言うことだろう、
けどその城下町は今悲鳴に包まれていた!
「ぎゃーっ!!?魔物が!?なんだあの白いのは!?」
「ひぃーっ!信じられないスピードで移動しているぞ!?」
「わっ!?」「なんだ?」「助けてくれ!」
・・その悲鳴の中心にいるのは私達だったりする・・
この世界の人はバイクなんで見たことないので、横を走り抜けるだけでビックリして腰を抜かして悲鳴を上げている
「ちっ!この人通りだとスピードが出せねぇ!早く亜人の村を助けに行きてぇのに!」
「そういえば、亜人の村の場所はこっちの道であっているの?」
「合ってるも何も、人通りの少ない道を行ってるからな!けど城壁を出て、森を迂回する道に行けば亜人の村に行けるんだろ!その道を目指しで行けば良いだけだ!」
「その道を目指すって、ここからどっちに行けば良いのか分かってるの?」
「・・・・」
コイツ、実は、迷っていたな!?
どうする!変な道に入ったら余計に時間かかるよ!
・・・・あれは!
「止まってシャイニングマン!」
「おい!なんだよ、急に!亜人の村に急いでいるのに!」
「だからあそこで亜人の村に行ける道を聞いてくるから、シャイニングマンはちょっと待っていて!」
道具屋の看板を見つけて、こういう店なら商品の仕入れや亜人の買い物客もいるだろうから村の位置も知っているはず!
「いや、待ってろって・・こんな所でか?人が集まってきてるぞ・・」
「おい!怪しい奴め、貴様!何者だ!!」
「やばっ!兵士まできたぞ!どうすんだよ!」
「任せた!シャイニングマン!」
「いや任せたって!?どうすれば良いんだよ!?」
「その怪しげな物はなんだ?鉄の馬?それとも魔物なのか!?」
「違う!これはシャイニング号!俺はヒーロー!シャイニングマンだ!」
シャイニングマンに兵士の事は任せて店に入る!
「いらっしゃっい、なんだい?店の前が騒がしいようだけと?」
「なんか仮面被った変態が出たみたいだけど兵士が来たから気にしないで大丈夫!それよりおばちゃん!亜人の村の場所教えてぐんない?」
「亜人の村?迷いの森の先にある村かい?」
「そう!どの道行けば良いの?」
「ならこの地図を見れば分かるだろう、ここがこの店がある区域で亜人の村に行くならこの先の道を曲がった所にある城壁の正門の先が迷いの森を迂回する道で、真っ直ぐ行くと川沿いの道があるから、川の上流の方に行けば亜人の村が見えるはずだよ」
おばちゃんは、わざわざ地図を用意して教えてくれる
そういえば、異世界の文字も言語と同様に誰でも分かるようになっているらしい、本当魔法って便利!
「ありがとう、おばちゃん!」
おばちゃんにお礼をして店を出ようとすると棚の上にある物に目が止まる
これって使えるかも?
「ねぇおばちゃん、これっていくら?」
「それかい?それは銀貨3枚だよ」
銀貨3枚?それっでやっぱり高いのかな
この世界の通貨の単位が解らない、・・それに銀貨なんで持ってないからなぁ~ なんか代わりになる物、持ってないかな?懐中電灯は勿体ないし、他にないかな?
ポケットを調べてみると奥の方からレシートといっしょに92円が出てきた・・これって公園に行く前にコンビニで買った飲み物のお釣!これが今の私の全財産か~ まぁ貧乏には馴れているけど、これじゃ・・
「なんだい!その紙は!どうやったらこんな滑らかな紙ができるんだい?」
おばちゃんがレシートに反応する!
「それにこのコインも見たことがないよ!表面に凝ったデザインがしてあるし、軽いのに固い!いったいどんな素材で作っているんだい?」
!!
「ねぇ、おばちゃん!それとコレ交換出来ない?」
「本当かい!それはこっちとしたら願ったりだけど、良いのかい、こんな高価そうな物を!」
「平気、平気♪」
「ならこの地図も持って行きな!」
「本当!ありがとー、おばちゃん!」
いや~、良い買い物したな♪買った物を背負ってシャイニングマンの所に戻ると
「あのラディッシュ騎士団長様に何度も挑戦しているのですか!、その上、鍛練にまで付き合っているなんて!」
「マジ尊敬します!俺たち、兵の間では、ラディッシュ騎士団長の鍛練は死の宣言と同じだってもっぱらの噂なのに!!」
「そ~かっ、まぁ俺はヒーローだからなっ~、俺の師匠の鍛練も同じくらいキツかったからな!」
「さすかはヒーローさんだ!」
尊敬の眼差しでシャイニングマンを見つめる兵達、ラディひどい言われようなんだけど・・一体普段どんな訓練を兵士にしてるの?
「おっ!ミコ!道はこいつらに教えてもらったからもう大丈夫だ!・・?・・その荷物はどうしたんだ?」
「これは、92円で買った役立つアイテムだよ!」
「・・そんな安物使えるのか?」
失敬な!こっちの値段だと銀貨3枚分だよ!・・銀貨3枚がどの程度の価値が分からないけど、安物ではないはず!たぶん!
おばちゃんに教えてもらった通りの道を行くと、大きな城壁の正門が見えてきた!けど閉門している!?
「ねぇ!門、閉まっているけど!どうするの?」
「あんぐらいの門ならシャイニング号で突き破ってやるぜ!」
確かに城の壁も突き破っていたから門くらい簡単に突き破れるだろうけど・・でもそうすると街の人達が門が直るまで不便になるんじゃ・・!!
「シャイニングマン!あそこ!小さい入り口が開いているよ!」
大きさ門の横に人一人通れるぐらいの入り口があった!多分、夜の緊急用の入り口なんだろうけど、あの大きさならなんとかこのバイクでも通れる!
「良し!あの入り口が開いているうちに行くぞ!」
入り口を無事に抜けると・・バイクに驚いた門番のおっちゃんが腰を抜かしていた、あれ横にいるのって?
「その犬耳、城門にいたピピの村の人?」
「あんたら、あの時の!?なんだい、その乗り物は!?」
「これは俺の頼もしい相棒シャイニング号だ!!」
こらっ!シャイニングマン、見せびらかしたいからってバイク止めるな!
けどおっちゃんこんな暗い中、緊急の入り口まで使って町まで戻ろうとしていたのかな?
「私達、今からラディ騎士団長に頼まれて亜人の村を救って来るから!おっちゃんは、無理しないで明るくなるまで街で待っていて!」
「!!・・そんな・・マーメル国は私達の村を見捨てたんじゃないのか?」
「あのラディがピピの故郷を見捨てるはずないでしょう、兵士は出せないけど、このシャイニング号があればピピの村をすぐに救って来れるからね!」
「その乗り物!そんなに凄い物なのか!?頼みます!私達の村を救って下さい!!」
土下座するおっちゃん、そんな所で土下座なんでしたら服汚れるよ?
「安心しろ!ヒーローは、弱き者を絶対に助ける!」
「それじゃちょっと救いに行って来るね~♪」
スピードを上げたバイクであっという間におっちゃんは見えなくなった
「なんでラディに頼まれたなんで言ったんだ?」
「そう言っておかないと、あのおっちゃん、ラディを恨んだままになっていたでしょう」
こんな事で禍根なんで残したくないからね
「そのためにもピピの村は絶対に救うわよ!」
「分かってるよ!」
さらにスピードを上げるシャイング号!
「おい!ここ本当に道なのか!?凸凹してるし、道幅も狭いし!痛でっ!?」
まったくこんな砂利道でしゃべったりしたら舌を噛むって分からないかな、私は、もうしゃべったりしない!まだ舌痛いし!
まぁ、日本のようにこんな川沿いの道の道路まできちんと整備しているわけないし、道も真っ暗でバイクのライトがなかったら、前も見えない、んっ?でも前方から明かりが見える?あれって?
「あの明かりってピピの村じゃない!」
「本当が!?良し!スピードアップするぞ!!」
亜人の村を見つけ、近づいていくと、亜人の村は喧騒に包まれていた!!
「ブキッィ!」
「おい!これ以上魔物を村に入れるな!」
「けど山の方からどんどん現れてくるぞ!」
「子供達はどうした!?無事なのか!?」
「ちっ!この魔物め!」
「ギギギッー!」
「王国からの救助はまた来ないのか!?」
「ギイッー!!」
村の周りは柵で守られていたようだが、幾つか破られてしまったようでもう村の中まで魔物が入り込んでいるようだ!
「ピピの村、もう襲われているよ!早く助けないと!」
「分かってる!離れるなよ!ミコ!」
もう破れてしまった柵から村に入ると目の前に猫耳の女性に襲い掛かろうとしている魔物!
「させるかーっ!!シャイング号アタック!!」
「グギッ!?!」
バイクで体当たりをかまして魔物を弾き飛ばすシャイニングマン!
「大丈夫!怪我はない?」
「・・あなた達は?」
「ふっ、俺・・私の名は!」
シャイニングマンがバイクを降りてポーズを決める!
「全てを照らす正義の光!シャイニングマン参上!!お嬢さん!この私が来たからにはもう安心!魔物なんで私が退治してやりますよ!」
口調をヒーローモードにしたシャイニングマン・・ってそんな余裕ないでしょうか!
村を襲っていた魔物達が大声でポーズを決めるシャイニングマンに気付いて、まとめてこっちに向かって来てる!?
いや!これは、買ったアイテムを使うチャンス!
「来い!このシャイニングマンが相手をしてやる!」
「シャイニングマンこれ投げて‼」
「?!これさっきお前が道具屋で買ったやつか?」
「そう!ほら早く!」
「・・・分かったよ!えっーと食らえ!シャイニング・・・・投網!」
技名ないとダメなのか?しかも投網ってそのままのような・・
まぁともかく・・
「ギシャー!?ギッー!!?」
道具屋で買っておいた大型の魔物用の網!元々は罠に使うためのものだかシャイニングマンにより投げられた網に魔物達が絡まっていく。やっぱり役に立った!良い買い物したぞ、私は!
「おい!?これすぐに抜け出してきそうだぞ!」
大型の魔物用だから網目が大きく、小さい魔物達が抜け出そうとする!・・なら!
私は、急いて網の端をバイクに結ぶ!
「シャイニングマン!バイク走らせて!早く!」
「分かった!」
シャイニングマンがバイク走らせると、バイクに結ばれた網により魔物達は引き摺られ網から抜け出せなくなる!
「・・・・お前えげつない事思い付くな・・」
「それじゃこのまま村の外にいる魔物達にレッツゴー♪」
山の麓には様子を見ていた魔物達がまた大量にいて、その中をバイクで走り抜ける!
「ギギギッ!?」ザッ!
バイクはかわす魔物
「グギャッ!?」ベチッ!!
だがバイクの後ろにできた魔物団子には呑まれていく!
「大量♪大量♪」
「大量じゃねぇ!!こっちは後ろが重くて転倒しそうでヒヤヒヤなんだぞ!?」
「頑張れシャイニングマン~みんなが応援してるよ~」
「まったく心がこもってないよな⁉」
ガダン!!!
いきなり動きを止めるバイク!
「おい!どうしたシャイニング号?!」
後ろを見ると・・なっ!?
「グルルルルルルッ!」
10メートルはあろうかという、大きな豚面の魔物が魔物団子を止めていた!
んッ?この豚、片目が潰れている?
「なんだよ!あれは!?」
「知らないわよ!けどこのままだとヤバイわよ!」
「クソっ!俺のシャイング号を嘗めるなよ!」
さらにアクセルを踏んでスピードを上げようとするシャイニングマンだが、タイヤが空回りするだけで前に進まない!
「ビギッ!?」「クギャ!?」
ブチブチッ!
豚面の魔物は、魔物団子になっている魔物達を握り潰している!?仲間の魔物を助けようとしているわけではないって事?ならなんで?
「ブキキキキキッーッ!!!」
叫びと共に、何十匹という魔物でできた魔物団子を持ち上げる!!?
まさか!?
「シャイニングマン!緊急離脱!」
「マジかよ!!」
シャイニングマンが私をおぶり、バイクから飛び降りると同時に!
ブオンッ!!!ドジャッ!!!
魔物団子こど岩に叩きつけられるバイク!!!
「あっー!!俺のシャイニング号がっ!!?」
「そんなことより今は村に戻って態勢を整えるのか先でしょう!ほら早く!早く!」
「そんなことって!俺の大事な相棒だったんたぞ!チクショウ!・・お前の仇はとってやるからなシャイニング号ーっ!!」
私の持っていた懐中電灯の明かりを頼りに叫びなから村を目指すシャイニングマン・・懐中電灯、持ってで良かった!