第3話 異世界召喚と私
やっと異世界に行きます。
「・・・・・・お願い・・です・・僕の世界・・に・・来て・・」
途切れ途切れだか言葉が聞こえる?
だけど周りには、今にも戦いを始めようとしているヒーローと怪人しかいない、いったいどこから?
「・・・・癒し・・・力・・・が・・必要・・な・・ので・・す・・助け・・て・・下さい・・!!」
この声、直接頭に響いてきてる?何か助けを求めているようだけど?
う~む、何か面白そうだし
「良いよ~」
あまり深く考えないで返事をしてみる
「!!・・ありが・・とう・・ござ・・います!!・・なら・・今からゲートを・・開きます!」
んっ?なんか今ゲートを開くって聞こえたような・・!!
赤い満月の光を吸収するかのように突然地面に赤い文様が浮かぶ!!
赤い光の文様は魔方陣のようになっていき
脈打つように赤い光は、どんどん強くなっていく・・・・
「「えっ?何これ!?」」
蝙蝠男とヒーローも魔法陣の中に入ってない?
そして魔方陣の赤い光が目も眩むほどの輝きを発し、目を瞑ってしまった私が再び目を開くと・・
そこはきらびやかな大広間だった!!
これって異世界召喚!?
周りにはローブを着てフードを目深く被って顔の分からない人達がいて、足下にはさっきの魔方陣のような赤い文様が描かれていた
そして目の前にローブを着た一人がやってくる
(子供?)
身長が私の半分位で顔がロープで隠れているのでよくわからないのだか口元が笑みを浮かべているのはわかった。
その子供がフードを後ろに下げ、顔を見せる
「ようこそ!癒し手様!」
わぁ~!肩まで伸ばしたサラサラとした金髪、くりっとした目の瞳も金色でまるで人形のような可愛い子!
キュ~!
「わっ!?いっ癒し手様っ!?」
思わず抱きつく私!
見た目通り軽くで抱き心地も抜群!
日本に帰って来て、異世界召喚なんで面白い体験が出来た上にこんな可愛い子供に会えるなんでラッキー!
「おいこら蝙蝠!これはお前の仕業だろう!一体何しやがった!?」
「知らんわ?!我輩にこんな力あるわけないだろうが⁉」
・・ん?後ろで聞こえる醜い争いの声って・・これは・・
「嘘つくんじゃねぇ!こんな非常識な事!!怪人のお前が起こしたに決まってるだろうか‼」
「起こせるかっ!?こんな力あったら我輩もっと偉い怪人になっておったわ!」
ヒーローと怪人が私の異世界召喚に巻き込まれたようだ!!
・・・
・・・まっいっか♪
怪人とヒーローの事なんで今は関係ないだろう!
それよりもこの可愛い子の抱き心地をもっと堪能したい!!!
「あの・・癒し手様・・苦しい・・」
あまりにも抱き心地が良かったから強く抱き締めすぎていたみたい、あれ?この声、公園で聞こえた助けを求めてきた声と同じた!
「ねぇねぇ、公園で私に助けを求めたのは君なの?」
「はい、そうです!僕の声に応じて、異世界までお越し頂きありがとうございます!僕の名前はシャルセール・ロッド・ルルと言います、どうぞシャルとお呼びください!」
ふむふむシャルちゃんか~ 可愛い名前だな~ 撫で撫で♪
「やっぱり私、異世界召喚されたんだ~ラノベの主人公みたい♪」
「ラノベ?」
「気にしないで良いよ~ はぁ~、撫で心地も最高だな~」
「よろしいでしょうか?癒し手様」
んっ?シャルちゃんの頭を撫で撫でしていたら声をかけられた、誰?振り向くと長剣に軽装鎧の赤い髪をした美人
「私の名前はラディッシュ・セイ・クルーム、王宮騎士団長をしております。ラディとお呼びください」
ラディと名乗る女騎士の横には、魔法使いの格好をした手が羽根になっている女の子!
「ピピはピピ・アルパー!王宮魔術師をしているゾ!」
このピピって女の子、ゲームでよく見るハービーだ!可愛い!
「ピピは研究者でもあり、今回の異世界召喚の発案者でもあります。」
「えっ!そうなの?」
「そうダゾ!まさか本当に召喚できるとは思わなかったゾ!」
発案者がそれ言うの?
「ゴホンッ、失礼ですか、癒し手様、もうそろそろシャルセール様を離して頂けませんか?」
そう言われたら仕方がない、シャルちゃんを離す
「それにしても、さっきから癒し手様って言っているけど私の事なの?」
「はい!・・・・けど、良いのですか、癒し手様のお付きの方達が殴りあっているのですが・・?」
シャルちゃんが指差す方向には・・
「この!早く俺を元の世界に戻せ!怪人め!!」
「だから我輩ではないと言っているだろうか!お前は本当に人の話を聞かないなっ!?」
ドカッ!バギッ!
「気にしない、気にしない、あれは、ああいう生き物だから♪」
「そうなのですか?」
「そうなの、それでここは、どこなの?」
「ここは、癒し手様の世界とは別世界にあるマーメル王国の王城になります」
「なんで私を異世界召喚したの?」
「・・実は国王である僕の父が病に倒れ・・その病を治すには治癒の魔法が必要なのですか・・」
治癒魔法でゲームでいうところのホイミやケアルって事かな?
「この世界では治癒魔法が遥か昔に途絶えてしまい治癒魔法を使える者はおりません・・ ですが!この世界に治癒魔法を使える者がいなくでも別の世界にならまた治癒魔法が使える者がいるのではと、我がマーメル王国は異世界召喚の研究を始めたのです!」
シャルちゃんの話に周りのロープ姿の人達が頷く
この人達が異世界召喚の研究をしていたのかな?
「そして研究の結果!治癒魔法が使える者とコンタクトを取り了承をして頂けたら、ゲートを開き召喚が出来るようになったのです!」
「それで私が召喚されたのか~」
「はい!僕の呼び声に答えていただき本当にありがとうございます!」
満面の笑顔を浮かべるシャルちゃん、
あうっ!可愛いなぁ~もう!・・しかし
「これでこのマーメル王国は救われます!」
「我々の研究は間違ってなかった!やりましたね!」
「研究の成功を陛下にすぐに報告しないと!」
「陛下もこれで、この異世界召喚の研究が間違いではない事を分かってくれますね!」
目をギラギラさせてこっちを見てるシャルちゃん、周りのロープ姿の人達は互いに握手をしなから喜びあっている、ラディは無表情だから喜んでいるのか解らない?ピピは笑顔だけどこの子の場合状況が分かっているのかな?
・・う~む、黙っている訳にもいかないよね
「えっ~と・・喜んでいるところ悪いのんだけど、私は治癒の魔法なんで使えないよ?」
「「「「えっ!?」」」」
魔法なんでゲームでしか聞いた事ないので、その事をきちんと伝えると、空気が固まったがのようにみんな動きを止める!
「そ・・ん・・な!?・・・・」ウルウル
目に涙を滲ませ悲しむシャルちゃん!
あうっ!期待させてごめんねシャルちゃん!泣かないで!
「そんな・・我々の研究は間違っていたのか・・」
「陛下になんと報告すれば・・」
「陛下の言う通り異世界召喚は間違いだったという事?」
ロープ姿の人達もショックだったようで座り込んでしまう者や顔を覆って俯く者など、これっで私のせいなのかな?
ラディは無表情のままでピピは笑顔、やっぱりこの子は状況を理解してなかったようだ
「おい!ちょっとまて!さっきの話だとこの世界に俺達を連れてきたのはお前達の仕業なのか!?この怪人の仕業じゃなかったのか!!」
「だから我輩にそんな力ないとさっきから言っていただろうか‼」
私とシャルちゃんの話が聞こえたようで、さっきまで殴りあっていた空気を読まないヒーローと怪人がこちらにやって来る
「なら早く俺達を元の世界、日本に戻せ!」
「・・グスン・・ごめんなさい・・」
「!?ごめんなさいっておい!どういう事だよ!まさが戻せないとかじゃねぇよな!?」
怒るヒーロー・・そう言えば、ヒーロー登場時と口調が変わっているけどそっちが素なのかな?
「・・まだ研究途中でこちらの世界に召喚は出来るのですが・・元の世界に戻すのは今は難しく・・・・」
「ふざけるなっ!日本には俺の助けを待っている多くの人々がいるんだぞ!!」
「我輩も日本で人々を恐怖させ!日本を怪人で支配するという仕事があるのだぞ!」
蝙蝠男はこの世界にいる方が日本のためになるのでは?
シャルちゃんの言葉に納得出来ないようで、勝手に自分達を異世界に召喚した事に怒り、シャルちゃんに迫るヒーローと怪人!
しかしその前をラディとピピが立ち塞がる‼
「それ以上近付くな、癒し手様のお付きの者よ」
「なんだとっ!てめえ・・って違う違う!俺はヒーローなんだ、こんな口調しゃだめだ!師匠のようにしないと!・・・・」
深呼吸するヒーロー
「スッー・・ハッー・・よし‼
邪魔をしないでくれ!私はヒーロー!あなたのような美しい女性を傷付けるような事はしたくないんだ!」
「フッ」
ラディに鼻で笑われたヒーロー!
「異世界人のヒーローよ、貴様程度の者がこの私を傷つけるなどと、寝言は寝てからいうことだ、それともそのヘンテコな仮面で隠れていて分からなかったが寝ているのか?・・・フッ」
「なっ!?馬鹿にしやがって!・・なら仕方ない無理矢理通らせてもらう!」
足を一歩踏み出すヒーロー!
ザッ!!
「!?」
いつの間に剣を抜いたのかヒーローの目前にラディの剣先が突きつけられる!
慌てて飛び退きかわすヒーロー!
「どうした、その程度が?ならもう止める事だ」
「ふっふざけるなっ!?今のは不意をつかれてびっくりしただけだ、俺が本気を出せばお前のような女に負けるかよ!」
「なら早く本気を出せ!ヒーロー!・・ふふっ、異世界人の力、見せてもらおうか!」
踏み込みと同時に繰り出される、ラディの連続突き!
速っ!?全く見えない!?見えたと思ったら残像だし!?
ヒーローにはラディの動きがなんとか見えているようで頭部をカードしなからかわすのだが、かわすので精一杯で前に出ることが出来ないようだ!
「嘘だろ?この女つえっ!?」
「どうした、また本気を出さないのか?」
「チキショー!舐めるなっ!」
「ふむっ足下を狙うか、戦いには慣れてはいるようだな・・だか甘い!」
ラディが剣を突き出したタイミングで体を回転させて水面蹴りを放ったヒーローだかラディはムーンサルドのように後ろに跳び、かわされでしまう!
着地と同時にあっという間にヒーローの間合いを詰めで顔面に蹴りを繰り出すラディ!
両手をクロスさせてカードするヒーローだか後ろに吹き飛ばされてしまう!
「痛っ!?女のくせになんて威力の蹴りだ!?」
「なんだ?もうおわりが?この程度なのか異世界のヒーローよ?」
「そうか!解ったぞ!お前、怪人だな!」
「怪人?何を言っている?貴様は?」
「惚けても無駄だ!こんなふざけた力を持っているのは、怪人以外にいるか!怪人だと解れば手加減はしない!俺の必殺技食らえ!」
なんかラディを怪人だと勘違いしたヒーローが必殺技を放とうとする!!
握り拳を頭上に掲げると、
「俺の拳に集まれ、正義の力!必殺シャイニンッ・・グブッ?!?」
空きだらけのボディにラディの膝蹴りが決まる‼
「何故戦いの最中に無防備に手を上げる?馬鹿なのか?」
「ひっ・・必殺技の時は・・攻撃をしないのが・・御約束・・なのに・・」バダッ!
腹を押さえて地面に崩れ落ちるヒーロー!
・・必殺技中のヒーローに攻撃をしないと言う謎のお約束は、異世界ではないらしい
バザバザバザ
「くっくっくっ!馬鹿なシャイニングマンよ!貴様がその女を引き付けている間に我輩だけ元の世界に戻って、日本を怪人の支配する国にしてくれるわ!」
怪人蝙蝠男は、ラディがヒーローの相手をしている内に気付かれないように飛んでシャルちゃんに迫ろうとするが
「オマエ飛び方、全然ダメ、ワイバーンベイビーでも、もっとマシ」
「!?貴様いつの間に我輩の後ろに!?」
ピピに簡単に後ろに回り込まれ、飛び方をだめ出しされてる!
「舐めるなよ!我輩の力がこんな物だと思うな!」
なんと‼蝙蝠男には隠された力が!
「我輩は夜でも飛ぶ事が出来る‼」
なかった!?飛ぶしか出来ない蝙蝠男!
「夜に飛んでどうする?夜、飛んでも危ないだけ、バカだなオマエ」
「なんだと!貴様よくも我輩唯一のアイデンティティーを!?」
認めた!自分が飛ぶしか脳のない事!
「許さん‼必殺噛みつき!」
怒った蝙蝠男がピピに噛み付こうと飛び掛かる!
「風よ守れ!ウィンドウォール!」
「ぐわっ!?」
ピピが呪文を唱えるとピピの周りに風が渦巻き、風の壁が出来る!
その風の壁にぶつかり落ちていく蝙蝠男!弱い!?
「すみません!癒し手様!お付きの方逹を!」
自分の護衛が蝙蝠男とヒーローを倒してしまった事に慌てて謝るシャルちゃん
「気にしないで良いよ!あれは私のお付きの者ではなくて、勝手に付いてきたオマケだからね♪」
やっと、異世界召喚物になりました。