救世主は現れない
どれくらい笑ってないだろう
受け入れられないとはどんなに寂しいことか
母親は何事も無かったかのように差別に耐え
この町の風習に順応しようとする
娘の嘆きに微笑で答え
誰を責めるわけでもなく黙って悲しみを受け止め
いつしか感情の起伏は薄れ
悲しみも喜びも笑って表す人になっていた
怒りも憂いも忘れてしまったのか
瑠璃色の海を眺めていると少女は気が遠くなった
町から出たくてもあの海が行く手を阻んでいる
まるで逃げ場がない
それをキャンバスに描く画家にはきっとのどかな光景に映っているのだろう
水面に射し込む陽光を大気に映るその反射が織りなす光の帯を
詩人は幻想的な描写で平和の象徴と詠うだろう
『救世主は現れない』
僅かな希望すら持てない少女のこの諦めを
誰も描いてはくれないだろう
死ぬわけではない痛み
その痛みが心の奥をしつこく強く締め付ける
“死ぬわけではない”
かえってそれは残酷だった
なんて絶望的なタイトルだ・・・そう思われたことでしょう。
でも読んでくれた方あなたはいい人です。ありがとう~(。・ω・。)ノ♡らぶ