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まだ終わらない





「ご苦労さん」


いつの間にか、葦牙の後ろに人がいる。


「………あなたは!?」


織愛は誰か分かるようで、驚いている。

だが、他の連中は状況を飲み込めていない。


(りん)、一体どういうことだ?」

「ワシもわからぬ」

「上間」


近づいていた、上間にも聞く。


「妾もわからぬ」


「それはわからないだろう。

俺は、神が世界に干渉する前の人間だ」

「あれは私の兄、鷏鵜(てんてい)です」


なぜ、ここで兄?


「そして、初代高天の力を得たモノだからな」


初代高天の力?


「上間、どういうことだ?」

「妾は初めて聞いた」

「織愛」

「私も、それは初めて聞きました」

「知らないのも当然だ。

知っている者は、もういないからな」


「もしかして、高天を?」

「正解!

そこの人間。

今の高天のシステムは、代々高木家の長男が継ぐことになっている。

じゃあ、その継ぐ者が「高天」の名を得るのと同時にどうやって「神格」を得ている?」

「それは、妾達が与えている」

「正解!

なら、初代高天の「神格」は何処へ消えた?」

「それは………」

「それはな、俺が高天を殺し、喰らったからだ」

「なんじゃと!」

「だから、お前達神々でさえ知らない。

俺が、高天に成り代わっていたことにな」

「じゃあ、高木が言っていた一族の悲願や所々話が捻れている部分全てお前が?」

「そうだ。

まさか、そのペンダントに織愛の意識が封印されているとは思わなかったがな」

「………すまない、織愛」


葦牙はどうやら、意識を取り戻したようだ。


「葦牙!」

「だが、そのお陰ですんなりと力を得ることができた。

これで、俺は5つの神格を手に入れたわけだ。

そして、ここにいる上間を入れれば、6つ」

「………グシャ」


鷏鵜(てんてい)は、いつの間にか上間の後ろに立っている。

そして、上間は血を流し倒れる。


「お前達は、俺の手のひらで転がっていたわけさ」


そう言って、上間から取り出した神格を喰らう。

鷏鵜(てんてい)の全身は脈を打ち、メキメキと音を立てている。


「上間様ー!」


音が止んだそこには、先程と変わらない鷏鵜(てんてい)の姿がある。

全員、恐怖からか、身体を震わせ座り込んでいる。


「………これで、俺は世界を創造できる。

これまでの世界を壊し、新たな世界を創る」


そう言って、俺達の目の前から姿を消した。






皆の身体の震えは止まり、落ち着いている。


「………どうするんだ?」

「さて、どうするかのぅ」


上間も由貴の力により、一命は取り留めているようだ。


「………妾達には、もう何の力もない」


確かに、今は由貴が守護霊として少し持っているくらいだ。

あとは、元神×3、元人柱×1、元人間×1、現人間×1だ。


ここまできても、俺が普通の人間だというのは諦めないぞ。


「私は、そろそろ時間切れのようです。

葦牙だけでなく、皆さんにまで迷惑かけてしまって、申し訳ありません」

「………織愛ありがとう。

愛しているよ」

「私も愛していますよ。

葦牙、あとは頼みました」


織愛を模っていたモノは消え、光の粒子となり消えていく。

形見のペンダントからは、翠の色が消えていた。


「………葦牙」

「………大丈夫だ。

すまなかったな、2人共。

そして、そこの3人も」

「いや、妾達にも非はある」

「そうじゃのぅ」

「今更、過去の事を嘆いてもしょうがない。

いつまで、俯いてんだ?

顔上げろ!」

「そうです。

今やるべきことは、鷏鵜(てんてい)を止める事です」

「………だが、どうするのじゃ?」

「何か方法をないのか?」

鷏鵜(てんてい)を倒すしか、方法はないであろう」

「………どうやって倒すんだ?」


その問いに、元神3は明後日の方を向く。


「それはホレ、超展開っぽく、お主が真の力に目覚めて………」

「ない」


最初から言っているが、俺は普通の高校生だからな。


「上間」

「なんじゃ?」

「お前達が、代々の高天に神格を授けていたと言っていたが、それは無理なのか?」

「無理じゃな。

それは、我等の神格あってじゃからのぅ」

「葦牙、お前は?」

「俺は只の骸だ」

「なぁ上間、お前最初からずっと美奈を俺の側に置こうとしていたよな?」

「それは、お主と触れ合うことによって、天乃の封印が綻びないか、と思ったのじゃがな」


………触れ合い?


「もし、綻びていたら?」

「そしたら………!

美奈、こっちへ来い」


トコトコと、上間の元へ歩く美奈。


「由貴も美奈を見てくれ!」


なぜか慌ただしくなる、神々。

俺は、1人蚊帳の外。

4人で美奈を取り囲み、ジッと見ている。

もういない天乃に、何を願っているのだろうか?


「………お主の側に置いておいて、正解じゃったな」

「………どういうことだ?」

「やはり、美奈がお主と触れ合うことで、封印が綻びていたようじゃな。

天乃は、美奈に神格の半分を渡しておる」

「それで、触れ合うってのは?」

「普通に、人間として生活すること。

そして、異性と長時間接することじゃな」

「………前半はともかく、後半はした覚えはないが」

「お主、やり捨てか!」


表現に気をつけろ!


「同じ家で、一緒に生活していたことがそれに該当するのじゃろう」

「それにより、美奈の人間としての感情を増幅することに至ったのじゃろう」


感情を………増幅?

その割に、未だに美奈が5文字以上話しているのを聞いたことないんだけど。


「とにかく、天乃の神格が半分ある。

これを使って、鷏鵜(てんてい)を倒すぞ」



………俺の疑問は、おかしいのだろうか?






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