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学校へ行こう





「………高木 雅彦?」

「そうじゃ」

「代表者として、こちらで代々高天の名を継ぐ者である」

「………お主、知ってるいるのか?」

「いや、たぶん知らない」


高木なんて名字はありきたりだし、どこかで聞いたことはあるかもしれない。


「そういえば、こちらに着いてすぐ追われたぞ」

「何分、急を要していてな。

もし少名が来たら、こちらに連れてくるように言っておいたのであるが」

「それは、逆効果の様ですね」

「ワシが偽物扱いじゃ」

「それは、すまなかったな」


笑ってるじゃないか。

謝る気ないだろう。


「だが、どうやって此処まできたのじゃ?」

「それは………」


皆の視線が(りん)に集中する。


「そこはホレ、ワシの力じゃ」

「いたらぬことは、してないであろうな?」

「し、してないぞ」


お前隠す気あるかのか。

そんなに目が泳いでいたら、「した」って言ってるようなものだ。

嘘が下手というレベルじゃないぞ。


「まぁ、今はよい」


(りん)に向かって、不敵な笑みを向ける。

巻き込まれなくてよかった。


「お主、少しはワシを助けろ」


いや、今回のは俺無関係だからな。

罪は1人で被ってくれ。


「美奈は置いていた方がいいんじゃないか?

天乃の件も関わっているんだろう?」

「それを考えても、お主らと一緒にいた方がいいじゃろう」


美奈は後ろから服を掴んでくる。


「邪魔?」

「俺達についてくると、危ないかもしれないぞ」

「大丈夫」

「たそうじゃ」

「………何か理由があるんだな?」

「さてのぅ。

可能性の話をしても仕方あるまぃ」


説明はしてくれないってわけか。


(りん)には、逐一情報を伝えろよ」

「わかっておる」


扉を開け、部屋を出る。


「少名の件は問題ないから、表を通って行くがよぃ」


そう後ろから声をかけてくる。


「とっとと、行くぞ」

「お主、まだ話しは終わっておらん」

「由貴、(りん)がこれ以上うるさいと、袋で縛って持って行くぞ」

「わかりました」

「由貴、お主此奴の味方か?」

「私は恭弥さんの守護霊ですからね」

「………ぐぬぬ」


場所は大体覚えているから、歩いて進んで行く。

後ろでは、由貴と(りん)が口論して遅れつつ、ついてきている。

美奈は俺の隣にいる。


「おいてくぞ」


そもそも、(りん)がいなければ面倒に巻き込まれることはなかった。

なら、他人のフリをしていた方がいいな。

そう思っていたのだが、2人共静かに俺の近くに寄ってくる。

俺は離れるように、歩くスピードを速める。

由貴達も、後ろからスピードを上げてくる。



「………はぁはぁはぁはぁ」


額から、汗が流れ落ちる。

やっと、門に着いた。

(りん)から距離をとろうと、途中から徒歩→競歩→ダッシュへと移り変わっていった。

特に理由はない。

単純に離れようと、一心で頑張ったのだ。


声をかけられなかったかって?

俺にはなかった。

(りん)の方は、走っていたので有耶無耶のようだ。

巻き込まれた由貴はすまない。

涼しい顔で立っているが。

(りん)や美奈も呼吸を乱さず、自然に立っている。

呼吸が荒い俺は、1人敗北感を味わってしまう。


「恭弥さん、行きますよ」


待ってくれないんですね。


「………由貴、もしかして怒ってる?」

「怒ってないですよ」


その割に、目が笑ってないぞ。

さっきのことに怒ってるんだな。

ここは、大人しく従っておこう。


「じゃあ、行こうか」


光が俺達を包み込む。






目を開けたら、森に戻ってきていた。


「………変わった様子はあるか?」

「今までと一緒じゃな」

「学校以外には行けなさそうか?」

「………そうじゃな」

「そもそも、なぜ学校なんですか?」


………確かに。


「これが、高天(仮)が起こしたとして、偶然なのか、意図的なのか?」

「美奈の件に絡んでいるとしたら、計画的な可能性が高いのぅ」

「じゃあ、この現象は俺達の嵌める罠ということか」

「………でも、その割になんのアクションもないですね」

「俺達以外の気配は?」

「それがわからないのじゃ」

「なら、一旦学校に行ってみよう」


答えはなくても、ヒントくらいあるかもしれない。

そう考え、早速行動に移す。

森を抜け、学校まで戻ってきた。


「………どうだ?」

「また、何もじゃな」

「じゃあ、校内に入ってみるか」










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