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最後の楽しみ




「今日最後の場所は、御室仁和寺駅から約18分。

嵐山です」


2015年秋、野宮神社の少し北に新たに作られたのが「竹林の散策路」。

ゆっくりと竹林の情景を楽しめる穴場的な新散策ルートとして誕生。

従来から知られる「嵯峨野 竹林の道」は勿論人気スポットだが、その分混雑も予想される。

駅からは少し足を延ばすことになるが、その分のんびりと散策を楽しめるのが魅力的とのこと。






「恭弥さん、見てください!」


日が暮れて、渡月橋が茜色に染まっている。


「風が気持ちいいですね」

「そうだな」

「秋は、もっと綺麗みたいですよ」

「………また、見に来ないとな」

「絶対に来ましょうね」






旅館に戻る頃には、辺りは薄暗くなっていた。


「遅かったな」


俺の場合、帰りが遅いんじゃなくて、始まりが遅かったからな。


「そういえば、誰とも会わなかったんだが」

「どこに行ったんだ? 」

「二条城、金閣寺、龍安寺、仁和寺、嵐山かな」

「その通りに行ったのか?」

「そうだな」

「なら、会わないはずだ。

たぶん、皆逆に回ってるんだよ。離れた所から戻るようにな」


なるほど。

俺達と逆な訳か。

道理で会わないはずだ。


「宮野は、京都満喫してきたか?」

「楽しんできたぞ!」

「美味い物も食ったしな!」

「京美人も見てきた!」

「外国美人も見てきたぞ!」


後半はともかく、皆各々楽しんできたようだ。


「今日は最後の宿泊だからな。

飯も風呂も部屋も、満喫しないとな」

「じゃあ、今日は早く寝ないとな」

「俺達に寝るという選択肢はないぞ!」


昨日、真っ先に寝てたやつが何を言う。


「俺は寝るぞ」

「寝せると思うか?」

「その時は最終手段だ」

「なんだと?」

「先生に密告の上、部屋まで確認に来てもらう」

「な、なんだと!」

「黙っていてほしければ、俺を眠らせることだな」


寝てしまえば、どうしようもないんだけどな。

だが、気づくのは朝起きてからだろう。


「………仕方ない」

「今日は必ず、ミッションを成功せねばなるまいからな」


………ミッション?

何の話?


「いいだろう」

「お前は1人で寝てるがよい」

「俺達は今日、エデンへと至るだろう」


さっきから、横文字使われても、わからないのだが。

お前ら、遂に召されるのか?


「アーメン」

「ラーメン?」






結局、昨日は女子部屋に侵入しようとした所で教師達に捕まり、廊下で正座させられたようだ。


よかったな、寝れなくて。

見事な有言実行である。


その男達は足が痺れているのか、歩き方がぎこちない。


「………宮野、お前も行ったんだな」

「あぁ」

「その割に足は大丈夫そうだな」

「慣れているからな」


お前家、寺だったか?


「今日が京都最後だぞ」

「心残りがないように楽しまないとな」






外にバスが到着し、クラス別で乗っていく。


「皆さん、京都は楽しんではりますか?」

「「「「「はーい」」」」」

「京都最後の日も、私坂内と後場が皆さんを案内させていただきます」






「まず最初は、京都の中心部からやや南に位置する伏見。

お目当ては、あの千本鳥居で有名な「伏見稲荷大社」。

日本全国に3万あると言われている伏見稲荷神社の総本宮が、まさにここ伏見稲荷大社なのです」


食べる方のお稲荷さんで有名だな。

(りん)食べ過ぎるなよ。


「1万本以上の大小様々な鳥居がトンネルのように連なるその光景は、まるで異世界に迷い込んでしまったかのよう。

千本鳥居を抜けると、通称"奥の院"と呼ばれる奥社奉拝所があったり、人気スポットの「おもかる石」があったりと、伏見稲荷大社の見どころは千本鳥居にだけに限りません。

稲荷山にまたがる神社のため、山の至るところに見どころがあり、山頂まですべて回ろうととすると約2時間はかかる道のり。

しかし、40分程で回れるお手軽コースなどもあります」


「次は、長建寺東河川沿いにある「伏見十石舟」乗船場へ足を運んでみましょう。

酒蔵が建ち並ぶ風情ある伏見エリアを流れる宇治川派流(濠川)。

その宇治川派流を運航する遊覧船「伏見十石舟」に乗ることができます。

伏見は江戸時代、大阪と京都を結ぶ水運の要衝として栄えましたが、伏見十石舟はその江戸時代に輸送船として活躍した十石舟を再現したものです。

十石舟では約55分間、ゆっくりと酒蔵が並ぶ伏見の風情あふれる景色や川沿いの美しい自然が楽しめます。

京都旅の締めくくりに、のんびりと美しい景色を目に焼き付けてください」


川沿いには桜並木が立ち並び、川にも沢山の花びらが浮かんでいる。



「皆さん、いかがでしたか?

京都を楽しんでいただけましたか?」

「「「「「はーい」」」」」

「おおきに」

「「「「「おおきに」」」」」

「それでは、最後の場所、京都タワーに案内します。

駅も近く、お土産もここで買うといいですよ」


……… 両親が帰ってくるまで、待つかな。

最悪、お取り寄せするとして、面白い調味料や京野菜でも買っていこう。

食べ物は(りん)とか(りん)とか(りん)が買ってくるだろう。

由貴は堅実的な物だとして、美奈は謎。

さすがに、おにぎりを買うことはないと信じたい。

アメリアは、変な物を買ってくる予感がする。


「………これで、2年生も終わりか」

「俺達も、もう3年生だぞ」

「いたのか」

「後悔しないように頑張らないとな」

「お前の場合、部活だな」

「そうだな」

「向井も、後悔すんなよ」

「わかってる」


後悔しないように、普通の学校生活を送るさ。


………あれ?

なにか、忘れてないか?











何も見えない、真っ暗な場所。

そこで、いくつかの声が木霊する。


「………そろそろか」

「待ちに待った」

「時はきた」

「我らの悲願」

「今こそ叶えよう」




というわけで、2年生は進展なし。

ただの学校行事回でした笑

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