着きました、京都
結局、バカ3人は乗り過ごすことなく、ちゃんと降りたのである。
………大変残念である。
「残念そうな顔をするな!」
「京都に降り立ってしまったんだな、とな」
「そりゃ、降りるわ!」
「パスポートは?」
「あるわけないだろう」
「俺達は日本人じゃないのか!」
「密入国ですね。お巡りさーん」
「おーい。なに警察呼ぼうとしてんだよ」
東京の恥を晒して、すみません。
そして、勝手に京都に入府して、すみません。
「皆、並んでるぞ」
「すまん」
慌てて、前を追う。
「では、皆さん今からバスで宿泊先に移動します」
「1人で動き回らないように」
クラス別にバスに乗り込んでいく。
1日目はクラス別でバスでの観光となる。
2日目は朝食を食べたら、自由行動。
3日目は1日目と同じく、クラス別でバスの観光となっている。
「皆さん、ようこそおいでやす〜」
「「「「「おいでやす」」」」」
「ようできました」
………皆、練習してきたのか?
「向井」
「なんだ?」
「しおり」
なるほど!
確認してみるも、旅行のしおりに簡単な京都弁などが書いてあった。
というか、よく見てるな。
「では、本日皆さんに京都を案内させていただきます坂内と申します。
よろしう」
「「「「「よろしくお願いします」」」」」
「運転手は後場が務めます」
「では、皆さん参りましょうか。
移動中も有名な場所をお伝えしていきます。
明日の、自由行動の参考にしてください」
明日の自由行動の事まで、考えてあるな。
「では、まずは世界遺産、下鴨神社へ向かいます。
正式名称は、賀茂御祖神社と言います。
加茂川と高野川が、合流する地点にある三角州 鴨川デルタに位置しています。
京都駅からはバス、電車、地下鉄で行くことができ、所要時間は約30分」
女子達は入口左側にある「河合神社」で参拝をしていた。
どうやら、安産、育児、縁結びなどに良いそうだ。
下鴨神社に行く前には、緑豊かな「糺の森」というものが広がっていた。
この森は紀元前3世紀頃の原生林と同じ植生を今に伝えているそうだ。
すごいような、すごくないような。
あまり、ピンとこない。
糺の森の美しい自然を抜けると、そこには下鴨神社。
創設は、紀元前とも言われる歴史的神社である。
京都有数の縁結びのパワースポットとして人気だが、他にも厄除けや学業成就、交通安全など様々である。
「では次は、京阪三条方面からさらに東、大文字山方面に向かったところにある南禅寺へ向かいます。
秋には、真っ赤に燃える紅葉が美しいお寺として有名です。
しかし、見どころは秋だけに限らず、ちょうど葵祭が終わった新緑の季節も、青もみじが茂る美しい景色を見られるんどすえ」
臨済宗南禅寺派の大本山である南禅寺。
境内に入ってまず目をひきつけられるのが、高さ22mもある巨大な三門。
別名「天下竜門」とも呼ばれ、日本三大門の1つに数えられているそうな。
1899年 (明治32年)に国指定の重要文化財にもなり、階段で楼上まであがることも可能となっています。
南禅寺三門より更に奥にある「水路閣」。
南禅寺といえばこの水路閣を思い浮かべる方も多いでしょう。
琵琶湖から京都市内に向けて水路が引かれているのですが、これを疎水と言い、この疎水がここ南禅寺を通っているのです。
「和」とはまた違うどこか哀愁ただようレトロな雰囲気が、あたりの自然に調和しています。
「京都に来て忘れちゃいけないのが、祇園の街のシンボルとも言える「八坂神社」。
祇園四条駅から八坂神社に向かうと、大きな朱色の門である「西楼門」が目に入ります。
参拝したことのない人でも、この西楼門を目にしたことがある人は多いはず。
なのでここが入り口かと思いきや、本当は西楼門の右手側に位置する「南楼門」こそが正門。参拝をする際は、南楼門から入るようにしてみましょう」
八坂神社に参拝すると「縁結び」のご利益があるとも言われています。
その理由の1つとされているのが、「大国主命」を祀る「大国主社」があるから。
大国主命は縁結びのご利益で有名な出雲大社のご祭神でもあり、出会いを司る神様としても有名なんです。
また本殿から向かって右奥には、女性に人気の「美御前社」があります。
ここには祇園の舞妓さんも通っているという情報が………。
その秘密は、ここに湧き出ている神水にあるそうです。
この社の前にある神水を2~3滴肌につければ、肌だけではなく、心まで美しく磨かれるという伝説があるんだとか。
「皆さん、1日目の京都はいかがでしたか?」
「楽しかったです」
「いっぱい写真撮りました」
「それは、よかったです」
俺が思ったのは、イントネーションの違いはあれど、あんまり京都弁が出なかっことが気になったくらいだ。
「では、今から宿泊先の旅館へと向かいます」
「ひ………広いな」
旅館は大きく、和風建築。
部屋に案内されたが、和風なだけあって、やはり畳であった。
さすがに、この人数を部屋毎に分けるのは難しい。
よって、男女別で1つの広い部屋に布団を敷くことになった。
「なんか………思ってたのと違う」
「でも、面白そうじゃないか?」
「この人数で一緒に寝ることなんて、一生なさそうだな」
「確かにな」
「荷物を置いたら、夕食ですので、皆さん食堂の方へ集まってください」
「「「「「はーい」」」」」




