いい湯だなアハハ
「………カランカラン」
「おー当たり!」
「チリンチリンチリンチリン」
「2等賞、日帰り温泉です」
「おめでとうございます」
「恭弥さん、当たりましたよ」
そうである。
当てたのはもちろん俺ではない。
由貴である。
初売りの福引き抽選会で、見事2等賞である。
もしや、俺の運って由貴に吸い取られている?
「すごいな」
「これ、6人分あるみたいですから、皆で行きましょう」
ペアを3枚とかではないんだな。
最初から6人分って、どんなご都合主義だよ。
俺が当てたわけではないので、何も言わない。
ありがたく、連れて行ってもらおう。
「じゃあ、皆に連絡しておくぞ」
「お願いします」
「いつ行くんだ?」
「大丈夫そうなら、明日にしましょう」
「わかった」
冬休みももう終わる
ゆっくりできる今の内に行った方が、確かにいいな。
「皆、大丈夫だとよ」
「じゃあ、明日ですね」
次の日
電車に乗り約3時間。
温泉に到着しました。
「臭いね」
最初に言うことがそれか。
臭いのは否定しないが、もう少し言い方というものがあるだろう。
「温泉特有の匂いですね」
見ろ、この由貴のお手本を。
「やっぱり、人は多いね」
温泉入りに、わざわざここまで来るというのはすごい。
もちろん、温泉だけではなく、魅力があるということだろう。
「ねぇ、見て! 川から湯気が出てる」
「おー」
「あれも温泉なのかな?」
下に降りて、手を浸けてみる。
「………あったかい」
「あったかいよ、ホラ」
そう言って、水を飛ばしてくるアホが1名。
「あ、あそこ足湯みたいですよ」
「無料だって」
「では、失礼して」
おーい。
温泉入るのに、足湯入る意味あるのか?
と、思っても口にしない。
ここは、足を浸けて、身体を温めよう。
「あったかいね」
「ホカホカ」
美奈は、どうやら擬音語を覚えたらしい。
短語マスターでも目指しているのだろうか。
十分温まった所で、お昼を食べに行くことになった。
皆、電車で食べてなかったか?
「それにしても、輪は変わらないな」
「なんじゃと」
あれだけ毎日食べているのに、1mも身長が伸びた様子はない。
それにグータラなくせに、太ってもいない。
これも幽霊?神?の加護みたいなものなのだろうか。
「で、何食べるんだ?」
「私達はそんなに食べないので、蕎麦なんてどうですか?」
「………唐揚げではないのか」
「………おにぎり」
「そうだな。蕎麦にするか」
2人には、家に帰ったら作ってやろう。
遠出するなら、その土地ならではのものや人気のものを食べないとな。
「こちらの汁につけて、お召し上がりください」
「ありがとうございます」
「見てください、つけ汁が4種類もあります」
「美味しそう」
「じゃあ、いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
「うーん、美味しい」
「1つは普通のみたいだな」
「ネギが入ってるのは、醤油みたいだよ。
あと、何か魚かな?」
魚を出汁にしているなら、いりこや鰹かな?
味はアッサリしている。
「このトロッとしているのは、味噌のようです」
確かに味噌のようだ。
少し濃いが、具沢山で、このままでも食べられそうだ。
「これ、ラーメンみたい」
俺も食べてみると、確かにラーメンにありそうだ味だ。
だが、豚骨のようなものではない。
最初の魚系が、濃厚になったような感じである。
「どれも美味いのじゃ」
「美味しい」
2人共、満足してくれたようでよかった。
たぶん、食べようと思えば、食べれるのだろう。
だが、そこまで食べさせてやる気はない。
そんなことになったら、帰れないからな。
「じゃあ、本来の目的である温泉に行くか」
「そうですね」
「じゃあ、後でな」
「はい」
温泉に着き、女子達と別れる。
………やっと、1人だ。
温泉くらい、ゆっくり浸からせてもらおう。
中は広く、5ヶ所もあるようだ。
あ、打たせ湯あたってみたい。
修行みたいで楽しそう。
「………カタン」
「………ふぅ」
温度は暑すぎず、足を広げても全然余裕な広さだ。
………女子達は騒いでないよな?
女湯
「おー、香すごいね」
「ちょっと、見ないで」
「輪さん、流しますよ」
「ゆっくりじゃぞ」
「………」
「………ザバァー」
「頭振らないでください」
「ムフフ」
「ヒャッ、ちょっとアメリア」
「これが、1番手っ取り早い」
「………」
「………浮いてる」
「大きいと浮くのじゃな」
「香ー」
「アメリアも十分大きいでしょ」
「よいではないか、よいではないか」
「皆、他の方の迷惑にならないようにしてくださいね」
「「「「はーい」」」」
やはり、風呂上がりはコーヒー牛乳に限る。
以上、中継でした。




