冬休みに入りました
球技大会も無事に終わり、冬休みにはいった。
ちなみに球技大会だが、女子のバレーは優勝した。
男達が、俺達の代わりにと応援するのに駆り出された。
その応援のおかげかは謎だが、優勝することができたようだ。
話は戻るが、高校生の冬休みは短い。
夏休みが長いからというのもあるだろうが、どうにも受験に関係してるように思えてならない。
今は2年生。
もう、受験は来年に控えている。
特に考えてはないが、大学には行こうと思っている。
将来の事がまだ不透明だから、大学で探すという人も大勢いるだろう。
次の就職を考えて、進学している人もいるだろう。
俺の場合は、今の問題が解決しないことには、未来の事など不透明なのだ。
その原因はこたつに篭り、みかんを食べている。
「食うか?」
「………食う」
輪には、俺が食べたそうに見えたらしい。
まぁ、貰うけど。
みかんの食べ過ぎか、手を黄色くしている。
アメリアはこの寒い中、出掛けている。
日本での、ホームステイを満喫しているようだ。
美奈は、黙々とみかんを口に運んでいる。
由貴はキッチンだ。
今の所、大きな問題が起こってないのが幸いだ。
輪も、学校を休んでは色々調べているが、まだ良い結果は得られてないらしい。
学校では、身体が弱いキャラとされ、気を遣ってか、あまり近づいてこないのはありがたい。
アメリアは相変わらずの元気一杯で、クラスの人気者。
美奈は、声を聞いたらその日いい事がある、と言われるくらいだ。
由貴は相変わらずのクールビューティー。
最近では、頼んでなくても、ちょくちょく香が家に来る。
俺の意見は無視で、強行突破らしい。
それ、他の家だと通報される恐れがあるぞ。
とまぁ、そんな感じの日常を送っている。
そして、明日にはクリスマスが迫っているのである。
時の流れは早いものである。
明日は家でパーティーをすることが決定しており、アメリアが張り切っている。
………出掛けたのって、もしかしてその買い物?
「由貴、アメリアはクリスマスの買い出しか?」
「そうですよ」
遊んでいると決めつけてすまなかった、アメリア。
「俺も手伝いに行ってくる」
「じゃあ、私も行きます」
「昼食は?」
「もうできてますから、大丈夫です」
輪はこたつの中から、手を振っている。
美奈は縦に首を振る。
………これが、以心伝心というやつだろうか。
言葉を出さずとも、考えが伝わる。
というのは冗談で、あの2人が考えそうな事と、日頃の経験によって培われた、言わば努力の結晶である。
「じゃあ、行きましょうか」
「そうだな」
街を歩けば、人が沢山歩いている。
クリスマスが終われば、年末が待っている。
どこも、その準備で忙しいのだろう。
この辺のお店は2日からが初売りのため、元旦は閉まっている。
家に籠る家庭は、食材の確保など大変なのだろう。
「由貴は、いつまでサンタ信じてた?」
「………そうですね。中学生になる前、くらいまででしょうか?」
「………長いな」
「気になって、起きたまま待っていたこともあるんですが、眠気に負けて」
なるほどな。
子供だからのあるあるだ。
「恭弥さんは?」
「幼稚園くらいかな」
「早くないですか?」
「両親仕事が忙しくてさ、早めに準備してたりしてたんだよ。
それをたまたま見つけちゃってな」
「なるほどですね」
それも、今はいい思い出だ。
今なんて、クリスマスを名目に海外から色々と変な物を送ってくるからな。
昔の素直な心なんて、消えてしまったよ。
「プレゼント交換でもしますか?」
「それもいいかもな」
「でも、輪や美奈は準備できなくないか?」
「じゃあ、その分も買っていってあげましょう」
由貴、それは既にプレゼント交換ではない気がする。
「香には連絡しておく」
香は、去年来れなかったから今年は来ると言っていた。
連絡しなければ後でどうなるか、考えたくない。
「2人共遅いよ」
「すまん、待たせた」
既にアメリアは買い物をしていたようで、両手に荷物を持っている。
荷物を受け取りながら、袋の中身を見てみる。
「………アメリア、これは?」
「それは、私の私物」
前言撤回。
ただの私用の買い物だった。
「クリスマスの買い出しは?」
「今から」
「それなら、丁度よかった。
さっき、由貴と話していて、プレゼント交換をすることに決めたんだ」
「私は、家にある物をあげようかな」
その考えはいいな。
新しく買っていると、どうしても出費がかさむ。
特に最近は、輪の食事事情により、増大の一途を辿っている。
「じゃあ、私は何か作ります」
「………明日だぞ?」
「大丈夫です」
これほど、安心感のある大丈夫は他にない。
「なら、俺も買う選択は無しだな」
「じゃあ、クリスマスの買い出しを済ませて、帰りましょう」
「うん」
店内では、クリスマスソングが流れている。
辺りは薄暗くなり、イルミネーションが付き始めている。
その光に人が集まっている。
「綺麗」
「綺麗だね」
今年もまた、1年が終わる。
「また来年も、こうやって見ることができたらいいな」
「そうですね」
「そうだね」




