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実況の江田です。榎本です。




「宣誓、我々選手一同はスポーツマンシップに則り、日頃の練習の成果を十二分に発揮し、正々堂々戦うことを誓います………」


本日、体育祭の開催日である。


………練習?

そんなの忘れた。

都合の悪いことは迷わず消去。

そういうわけである。


星蓮高校では、毎年6月に体育祭が開催される。

3色、赤、青、黄、3つの団に分けられる。

応援団は2年生から参加することができる。

それに伴い、衣装や小道具、パネルなども2年生から集められる。


もちろん、俺はパス。

アメリアは、自分からパネルに参加。

相変わらず、多才だな。

由貴は、頼まれて衣装に参加していた。

由貴は花嫁修行の一環として、やっていたようだ。

(りん)も俺と同じでパス。

なので、ここ最近は俺が夕食、由貴が朝食になっていた。

夜は、香が来てくれようとしたが、遠慮した。

なんせ、今は女所帯だからな。

男の俺は形見が狭い。

なので、これ以上家に女を増やしたくないのだ。

そもそも、仕方ないとはいえ、年頃の男女が一緒に住むのはどうかと思う。


パネルのカバーが外された。

赤軍は鳳凰、青軍は青龍、黄軍は麒麟が描かれている。

すごい迫力だ。


そろそろ、種目が始まるみたいだ。

プログラムによると、まずはエール交換のようだ。

あの手拍子するやつだな。

ちなみに、今俺の横には宮野がいない。

団員として選ばれたからだ。

普段から、他の男子とあまり絡みがないため、気まずい。

今俺の近くにいるのは、たぶんモブ川、モブ田、モブ井くんである。


「俺は前川」

「俺は森山」

「俺は安元だ」


ここで、モブの名前出しても覚えられないからね。

君達は3Mで十分だ。


とりあえず全体の場合、皆に合わせて手を叩いたフリ+声出したフリをすれば問題ない。

この競技と応援合戦は問題ない。


「問題は出場種目の方なんだよな」



ちなみに、プログラムはこの通り


1.開会式

2.エール交換

3.100m走

4.綱引き

5.障害物競走

6.玉入れ

7.騎馬戦

8.クラブ対抗リレー

9.お昼休み

10.応援合戦

11.組体操

12.借り物競走

13.棒倒し

14.軍対抗リレー

15.フォークダンス

16.閉会式



もちろん、種目は学年によって違う。

俺が出場するのは、100m走と借り物競走である。

あとは、男子全員参加の組み体操とフォークダンス。

本当は、先にサクッと終わらせてしまえば楽だったのだが、玉と棒が上下になってるのはマズイということで、変わったしまった。


「100m走に出場する選手は、所定の場所に集まってください」


放送による呼び出しがかかる。

危ない、危ない。

2番目なのを忘れてた。

慌てて、集合場所へと向かう。


「2年C組、向井恭弥はいるか?」

「すみません、ここです」

「遅いぞ」

「すみません」


俺は最後から2番目か。

ビリにならないようにだけ、気をつけよう。



「次、あのラインまで進んで」


俺の番がきた。

言われた通り、白線まで進む。


「恭ちゃん、頑張って」

「恭弥さん、頑張ってください」

「恭弥、ファイト」


変わり者といっても、美少女。

その3人からの応援。

(りん)は参加しているが、マスコットとして使われているようだ。

周りの視線が痛い。

俺と同じレーンの選手には、嫉妬と羨望の眼差しが向けられる。

走る前から、プレッシャーで押し潰されそうなんだが。


「よーい、ドンと言ったらスタートね」


定番ですね。

でも、それ本番でするもの?


「では、よーい………パァン」


ピストル音が鳴ると共に走り出す。


「全員勢いよく、スタート! 」

「実況は私江田と」

「私榎本が担当致します」

「おーっと、今の所横1列に並んでいる!」

「100m走は残りの50mが鍵となります!」

「おーっと、デッドヒートが繰り広げられている」

「1番に抜け出すのは誰だー」

「向井選手は期待に応えることができるのかー」


余計なお世話だ!


「確かに、向井選手は公私共に有名ですからね」


なんの話しだ!


「血の雨が降らないことを願います」


なんの競技だ!


「そうこうしているうちに、残り50m」

「最初に抜け出したのは岡田選手」

「それを追う3人」

「そして、向井選手がやや遅れている」

「パチパチパチパチ」

「おーっと、ここで突然の拍手だ」


おい、拍手のタイミングおかしくないか。


「男性陣による、喜びの拍手でしょうね」

「ですが、それにより黄色歓声が湧き上がります」

「始まる男達のブーイング」

「このまま負けて、苦しみを伴うのか」


言われっぱなしで終わるのは癪だ。

応援してもらってるから、頑張りますか。


「向井選手、スピードを上げ、前の集団に追いついたー」

「そして、岡田選手に追いつき、追いつき」

「「追い越したー」」

「1位、赤軍、向井選手」

「最後は笑っていましたね」

「勝利と歓声、全てさらっていきましたね」


放送に対する、苦笑だ。


まぁ、これで午前の部は終わりだな。

あとは昼のために、お腹を空かせておこう。

そういえば、高校の体育祭って保護者があまり来ないような気がする。

生徒の自主性を育てる、みたいな感じかな?




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