表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/81

立場逆転




「秋葉原ですー!」


やって来ました、秋葉原。

それにしても、人が多い。

普段来ないからよくわからないが、休みの日だから多いのかな?


「人多いですね!」

「人がゴミのようだ!」


その言葉、どこで覚えてくるんだ?


「あの大きいのは何ですか?」

「あれはたぶん本屋だな」

「あれは?」

「たぶん、ゲーム」

「あれは何ですか?」

「たぶん、電器屋」

「………たぶん?」


俺に聞かないでくれ!

残念ながら、秋葉原は詳しくない。


「アメリアは秋葉原詳しいか?」

「来たことはありませんが、下調べは完璧です!」


うん、アメリアに聞こう。

間違いなく、俺より詳しいだろう。


「俺は詳しくないから、アメリアの行きたい所に行こう。2人はそれでいいか?」

「大丈夫です」

「ワシも問題ない」

「では、行きましょう!」


アメリアは1人走り出す。

それを、後ろから慌てて追いかける。


「おーい、どこ行くんだ?」

「まずはここです!」


………どこ?


「通称、ブックビル。6階まであり、売っているのは、マンガや小説など、本系が多岐に渡ります」


………なんか、案内するどころか、案内してもらってる。

恐るべき、予習。


「私は中で探してきますので、皆もゆっくりどうぞ」


それだけ言うと、スタコラ入って行った。

………俺達をおいて。


「2人共、どこか行きたい所ないか?」

「私はメイドカフェという所に興味があります」


由貴さん、意外ですね。


「ワシはゲームじゃ!」


すまん、聞かなくてもわかった。


行きたい所は皆一緒か。

ということは、1つずつ行きますか。


アメリアを探しにビルに入って行く。

1階に入り、本の多さに驚かされる。


「まるで、図書館みたいですね」


種類は少ないだろうが、物量が多い。

携帯があるから、迷子になることはないだろう。


「2人共、見たい本ないのか?」

「私は料理の本ですかね」


流石、主婦の鏡。


「ワシは特にないな」

「絵本とかいらないか?」

「ワシを子供扱いするな」


(りん)と俺は身長に差があるので、抗議したい時は俺の手をベシベシ叩く。

マンガはこの前買ったから、なにか面白いのがないか見てみるか。

マンガだけでなく、小説も沢山ある。

表紙絵が気になり、1つの本を手にする。

あらすじを読むと、自分と同じ高校生が送る青春物語のようだ。

これは、もっと青春したいということの現れかな。

学校は、なんとか普通に過ごすことができている。

だから、学校だけは年相応の事をやれ、って訓えかな。

その忠告はありがたく受け取ろう。


「恭弥」


いつの間にか、アメリアは戻ってきていた。


「もういいのか?」

「大丈V」


アメリアはまず、日本語を勉強し直そうな。


2人には、携帯で連絡する。

2人共、同じフロアにいたようだ。

由貴だけ、荷物が増えている。


「由貴は料理の本買ったのか?」

「はい」


ここにしかないような、珍しくものだったのかな?


「アメリア、次はゲームの店に行こう」

「わかった、こっちだよ」


俺達はその後ろをついていく。

………まるで、雛鳥みたいだ。


「この建物」

「あーーー」


中に入った瞬間、(りん)が声を上げる

驚きの顔を浮かべ、口が開きっぱなしだ。

開いた口が塞がらない、とはこのことか。

おーい、涎たれるぞ。

すかさず、由貴がハンカチで拭う。

さすがお母さん、頼りになります。

由貴以外は基本ゲームをするから、皆でやれるものを買おう。



「アメリア、欲しいのはあるのか?」


俺はアメリアと物色しつつ、(りん)は由貴に任せる。


「恭弥、コレにしよう」


そう言って、アメリアが手にしたのは、4人でプレイできる対戦ゲームだ。

この手のゲームは昔からあり、ゲーム機本体が新しくなる度に、バージョンアップされて発売されている。

確かにコレなら、家にないし、4人で遊べるな。


「よし、コレにしよう」


さて、俺の方は決まった。

由貴達を探すとしよう。


「由貴達は、個人用のソフトの所にいるらしい」


………お前、仕事できるな。


由貴達は………見つけた。

新作ソフトの所にいる。


「あ! 恭弥さん」


由貴が先に気づいたようだ。

(りん)は場所を動かず、顔を動かさない。


「………あれ、どうしたんだ?」

「あのソフトが欲しいらしく、いくら声を掛けても反応しないんです」


よし、ここは俺の出番だ。

お父さんに任せてもらおう。


(りん)、そのソフト欲しいのか?」

「欲しい!」


(りん)が見ていたのは持ち運びしやすいポータブルゲーム。

それの人気の最新作ソフトだ。


「夕食のおかずが一品になっても?」

「恭弥さん」


もちろん、冗談だ。

どうせ、4人分なんだから、おかずが一品なんてことはない。

というか、由貴が許してくれないだろう。


「ほ………ほしい」

「なら、1つ条件がある」

「なんじゃ?」

「俺と子を為すことを諦めること」


もちろん、アメリアには聞こえないように言ってある。


「それは………」

「それは?」

「無理じゃ」


まぁ、そうなるよな。

それが(りん)の1番の目的だからな。


「なら、俺に報告、連絡、相談を忘れず、俺含め、香やアメリアを巻き込まないこと」


由貴はどちらかといえば、(りん)と同じ立場だからな。


「それは、1つなのか?」


確かに、1文に纏めているが、1つではない。

だが、これくらいなら飲んでくれるだろう。


「………わかった。ただ、不可抗力の場合もある」

「それは仕方ない」

「なら、よいぞ」

「じゃあ、買ってやろう」


幽霊チョロいな。

今度からチョロUと名乗るのいい。

しかし、ゲーム強いな。

(りん)にとっては最大の武器だな。


後は、由貴の行きたがっていた、メイド喫茶だな。

小腹が空いたし、丁度いい。


「アメリア、最後にメイド喫茶を頼む」

「わかった!」


一切躊躇うことなく、進んで行く。

お目当の店に入っていくと、


「おかえりなさいませ、ご主人様」

「はぁ、どうも」


如何せん、こんな言葉を言われたことがないので、マトモに返すことができない。

(りん)なんかは


「大義である」


と、どこが間違ったことを言っていた。


「由貴、なんでメイド喫茶に来たかったんだ?」

「面白そうだと思いまして、家でもやってみようかと」

「それは止めてくれ」


反射で言葉が出ていた。

そんなことになったら、世間的に死にかねない。


「私もしようか?」

「だから、しなくていいよ」

「残念です」


どこに残念がる要素があるんだよ。


その店で


「美味しくな〜れ、美味しくな〜れ」


など、珍しい経験をすることができました。

俺には、ひどく違う世界でそのくらいしか覚えていない。


「今日は楽しかったです!」

「………それはよかった」

「今度から1人で行けます」


次もついて来い、とか言われなくてよかったよ。

結局、最後までアメリアを頼ってしまった。

すまない。

そして、ありがとう。


………今後は、お世話になることがないことを願う。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ