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進むモノ、戻るモノ




「2人共準備できたか?」

「私は大丈夫です」

「ワシもじゃ」

「じゃあ、行こう」


正月から、あっという間に月日は過ぎた。

今日から、俺達は高校2年生である。


………見た目と年齢がそぐわない?


そこはホラ、日曜の某アニメ方式で。

年とらない、みたいな。

そういう感じでお願いします。



「おはよう、向井」

「久しぶりだな、宮野」


すまないな、宮野。

主人公の幼馴染で、イケメンなのに全然出してやれなくて。

これからは、出番増やすからな。


「おーい」


宮野が俺の顔の前で手を振っている。


「何してんだ?」

「それはこっちのセリフだ。お前が固まって動かないから」


すまん、それはよくあることだ。

その時は、落ち着いて右斜め45°………


「おーい」

「わるいわるい」

「本当に新学期から大丈夫か?」


これでも正常なんだ。

気遣いは無用。


「去年のこともあるからな」


ありがとう、宮野。

気遣い無用と言ったが、お前の優しさは身に沁みる。

持つべき者は親友だな。

でも、去年の主犯は既に俺の側にいるから大丈夫。


「今年は大丈夫だろう」


「恭弥さん」


クラス表を見に行っていた、由貴が帰ってきた。


「私達、2年C組です」

「私達?」

「はい、(りん)さんや宮野さん含めてです」


………それはよかった?


「………あと、香さんも」


香と一緒なの嫌なんだね。

もう少し、仲良くなっても良さそうだけどね。


「恭ちゃん、また一緒だよ」


噂をすれば、ってやつかな。

香が笑顔で登場する。

こういうタイミングで、来るんだよね。


「香さん、また一緒ですね」


なぜか、俺と香の間に由貴が立ち塞がる


「また一緒だね、由貴ちゃん」


2人共、目が笑ってない。

絵面は、普通に握手してるだけなんだけどな。

由貴、力加減はしろよ。

守護霊パワーとかで、香に怪我させるなよ。

その辺は考慮済みです、みたいな顔向けてくるけど、全然そんな風に見えないぞ。

あと、骨が軋むような音してるし。


「「………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」」


おーい、まだ学校始まってもないぞ。

なに、もう終わりました、みたいな顔してるんだよ。

普通、喧嘩して、握手して、仲直りじゃないのかよ。

なんで、握手して険悪になってるんだよ。


「………宮野」

「どうした?」

「もう、行こう」

「あの2人は?」


首を横に振る。

お前は優しいな。

だが、優しさだけじゃ生きていけないぞ。

こういう時はな、スルーするに限る。

(りん)は由貴と一緒に行くだろうから、放置しておこう。




「向井、久しぶりだな」


教室に入ると、バスケ部の宇田が声をかけてくる。


「久しぶり」


1年の時もクラスは同じだから、バスケ部のキャプテンの件以来、ちょくちょく話していた。

クラスの座席表を見ると、今回も宮野の後ろだ。

2人の間には何者を入れないらしい。


というのは嘘で、たまたま間の苗字のやつがいないだけだ。

この「たまたま」は結構頻繁な気がするが、それでも「たまたま」と言っていいのだろうか。

聞いてみたい。






今日は始業式だけなので、授業はない。

校長や先生の長話を聞いておけば、終わるのだ。

昼前には終わるので、今日は弁当もなしだ。


「終わったー」


新しい担任の田中先生の話も終わり、皆席を後にする。


「宮野、今日も部活か?」

「あぁ。3年生がいなくなって、俺もレギュラーになったからな」

「2年生でレギュラーって凄いな!」

「全然、俺より上手いやつは沢山いるからな」

「じゃあ、頑張れよ」

「おう!」


この学校のサッカー部は強い。

宮野は謙遜していたけど、2年生でレギュラーはやっぱり凄いと思う。

それにしても、青春してるな。

……俺も、部活入ればよかったかな。


「恭弥さん、帰りますよ」

「恭ちゃん、帰ろう」


また、このパターンですか。


「お主、どうするのじゃ?」

(りん)か。どうもしない、俺は帰る」

「なら、ワシも帰ろうかの」


由貴も待たないなんて、珍しい。

どうせ、腹が減ったとかだろうが。


「ワシは腹が減ったのじゃ」


そうだと思ったよ。






(りん)はうるさいし、実際お腹は空いているので、直接家に帰る。

家に着いて、鍵を開けようとしたが、なんだが人の気配がする。

由貴も(りん)も外だから、そんなはずはないと思うんだが。

試しに、玄関のドアを開けるとスンナリ開いた。

朝はちゃんと鍵閉めたと思うんだがな。

ゆっくり、ドアを開けてみる。


………玄関には誰もいない。

だが、知らない靴がある。


………泥棒?

そんなわけないか。

泥棒が、こんな綺麗靴を並べて脱ぐわけない。

それじゃあ、誰だ?

音を立てないように、家に進入する。


「お主、なにをやっておるのじゃ?」


バカ、大きな声出すと聞こえるだろう。


「静かにしろ」


小声と、指を口元にやる身振りをする。


「どうしたんじゃ?」


……効果はいまひとつのようだ。

お札を額に貼り付けるという、効果抜群な技使うぞ。

使ったことないから、効くかは不明。


「帰ってきたのかな?」

「そうみたいね」


………ん?

聞いたことある声だぞ。


「「お帰り、恭弥」」


そう言って、俺を出迎えたのは海外出張中の両親であった。


………もしかして、2人共幽霊?





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