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79 告げられる事実

続きです。

ハザックさんと同じでメリダには俺の身体の事は全てお見通しなのかもしれない。


「誤魔化しても無駄よ。ハザックから、君が初潮を迎えている事は聞いているわ。それにエミル君は知らないと思うけど、そもそもの話しそれが来たから、自分の年齢さえ覚えていなかった君の実年齢を、ある程度特定する事が出来たのよ」


そうだったのか……てっきり、見た目だけで判断していると思い込んでいた。


「それに獣人君達も気にしていたわ、君にあの日が来ていないってね。私は最初、ジーク君の子供でも孕んでいるのかと思ったけど、そうじゃないのはすぐに分かった」


二人共獣人だから感覚的にそういうのは匂いで気付いてしまうのだろう。それでも俺に直接聞かなかったのは、ブラン達の優しさなのかも知れない。


「それで、もう一度聞くけど、いつから止まっている?」

「……二ヶ月以上前から、ずっと」

「そんなに前からか……どうしてそれを早く言わないんだい?」

「だって私は……」


だって俺は普通の人じゃない、人ですら無い。自分の身体に異変があっても、そういう()()()なのだと思って気にも留めなかった。


「君は十四歳の女の子だ。それ以上でも以下でも無い、普通の女の子なのよ。だから、よく聞いて頂戴」


すぐ近くに腰を下ろし幼子に言い聞かせる様に優しく、頭を撫でながらメリダはエミルの抱えている問題を丁寧に説明していく。


「君の日々の食事量は成人男性の約三倍。普通は栄養過多だ。けれど君の身体は、生殖機能を放棄する程に栄養が足りていない。これは恐らくだけど、殆どの栄養を消費した魔力を補うために、使っているからだと思うの」

「問題はね、栄養不足にも関わらず二度も死にかけた事にある。もう君の身体は、いつ機能を停止してもおかしくない状態まで弱っているわ。そうなったら、魔力が幾らあっても手遅れなの」

「このままの生活を続けていたら、持って数年、早くて一年も経つ前に君は死ぬ。これは紛れもない事実よ。だからね、そんな結末を迎えないために今は絶対安静なの、分かった?」


メリダの言う事は多分本当なのだろう。でも、今は目先の危機を脱するのが先決なんだ。そうしないと、あの子も俺も幸せにはなれない。


「理由は分かったけど、従えない」

「どうして?」

「私には、まだやる事がある」

「それは、今しか出来ない事なの?」

「うん」

「自分の命より大切なの?」

「うん」


メリダはエミルが道化の救済者に狙われている事を知らない。それはジークはメリダが巻き込まれないようにと配慮した結果だった。だからメリダにはエミルが自分の命を削ってまで何をしようとしているのか分からない。


「……それなら仕方ない、か。本当は医者として、抵抗されてでも君をベッドに縛り付けておきたいのだけど、ハザックに君の意思は尊重するように言われているからね、今回だけ見逃すわ。でも、そのかわり終わったら必ず私の元に来なさい」


けれど、メリダの答えは否定では無く許容だった。


「分かった」

「全く、君は聡明な良い子だと聞いていたのに、とんだじゃじゃ馬じゃない。ハザックめ、メリダさんを騙したわね」

「なんか、ごめん」


どんな感じに伝わっていたか分からないけど、ハザックさんって割とお茶目な人だから仕方ないよ。


「まぁ、でもきっとハザックも含めて送り出した人達も、君が法の国でここまで無茶するとは思っていなかったでしょうね」

「うぅ……」

「それにーー」


メリダの話は終わったはずなのに、何だかんだと今日一日は付き合わされるみたいだ。


最近のマイブームはホットカスタードパイ。

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