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70 招待状

続きです。

「次の講義は? もし空いてるならお話しませんか?」

「エミルちゃん、今日も彼氏と仲良しだね。ところでさ、いい喫茶店見つけたんだど一緒にお茶しに行かない?」


任務を終えてからというもの、俺は学園内の様々な人に頻繫に声をかけられる。今はジークと以前よりもべったりしているので、男からのアプローチは減ったが今度は何故か女性から誘われる日々が続いている。俺的には同性の方が気楽にだけど、こいつらの狙いがジークかもしれないのでのーさんきゅーだ。


元々最初の頃にあった模擬戦から俺は有名人になっていたのだけれど、その時は視線を向けられるぐらいで話しかけて来る人はミサキ達とクラスメイト以外いなかった。もし魔物を討伐した件が漏れたならアルベルトから何か言ってくるはずなのでそれは関係無いと思うが、そうだとしたら急に人気者になった原因が分からない。


「珍しく悩んでいるな」

「私だって悩む」

「そうか」


好意を向けられるのは悪い気はしないんだけど、こうも多いと少し億劫になる。


「何でだと思う?」

「何がだよ」

「人気が出た理由」

「そっちかよ……俺の憶測だがーー」


ジーク曰く、ミハエルみたいな法の国の上流階級の奴らは俺の実力がばれており、自国に引き込むことが狙いで近づいている可能性大で、他の人は単純にランキング絡みで近づいていると思うらしい。そして現在ジークにべったりでベストカップルのランキング更新中の俺に他の女性が興味津々なのだそうだ。しかも更にその中に道化の救済者も混じっているかもしれないと、ここまで聞いたところで俺は考えるのを止めた。


「そう言えば最近ミサキ達を見ないけど、何か知ってる?」

「露骨に話題を変えたな」


いやいや、ブラン達が居候しているので寂しいとは余り感じ無かったけど、何時も家に入り浸っていた人が居なくなると気になるものだよ。決して、俺じゃ太刀打ちできないからって諦めた訳じゃない。


「あいつらは仕事だ」

「ふーん、本職?」

「本職だな」


ハシュマーもマリも今は自由に行動出来ないと愚痴ってたからな、きっと何か頼まれたのだろう。


「そんなことより、これどうする?」


ジークがアイテムボックスから取り出したのは、一つの紙切れだった。


「行きたくないぃ」

「俺も同感なんだが、拒否権はなさそうなんだよ」

「じゃあ聞かないでよ」


ご丁寧に魔法でコーティングされた紙切れは、なんと国のお偉いさん達が集まるパーティーへの招待状なのだ。ドレスと共に届いたそれは一瞬何かの間違いかと思ったのだが、招待状には俺とジークの名前がしっかりと記されていて、そのパーティーの主催者はまさかのこの国の王様だった。


事実上拒否するのが不可能な招待状なので、忘れようと他の事を考えていたのだが、ジークが現実に戻してくる。


「ドレスだけが送られきた辺り、十中八九お目当てはエミルだろうから気を付けておけよ」


ジークも招待されているのにね。ドンマイ。


「あれ着たくない」


ブランがしつこくて一回だけ試着したが俺のサイズとピッタリで、鳥肌が立ったのを覚えてる。個人情報駄々洩れ過ぎて怖いよ。


「似合ってたぞ?」

「そこは気にしてない」


対人関係で頼りになるジークは今回使い物にならないだろうし、ブラン達はそもそも招待されてないから連れていけない。マリやハシュマーも招待されているかもしれないが、間に入って余計な勘違いをされたらもっと面倒になりそう。


でも俺一人で腹黒紳士共の相手するとか、素手で魔物とやり合うぐらいに無謀な事だと思う。いっその事パーティー自体を無くしてしまえば……


「ほら、家に帰って準備しないと」


はぁ、魔物でも降ってこないかなぁ。


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