48 ユミルの日常 4
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多くの視線に晒されながらも目的地である学校に到着した私は、クラスが違うマリちゃん達と別れ自分のクラスに向かっていた。
自分のクラスに向かう途中も着いた後も私達への注目は変わらず、そんなに珍しいものじゃないですよー、私はエミルじゃなくてユミルですよー、と心の中で言っておく。わざわざ口に出しても意味ないしね、言ったら寧ろもっと注目を浴びそうだし。
「え! エミル君って女の子なの?!」
「くそぉ、どっちも違和感無くて分からん!」
「僕には性別なんて関係ないさ。可愛いは正義だからね!」
これが一番最大の謎だ、私を見た人は殆ど同じ様な反応をするのだ。何をしたら男と間違われるのか聞きたい。え? わざと男装してた? 何でまた……あぁ、そういうことね。だったら私余計な事しちゃったかな? そっか、ありがと。
エミルが目覚めてからというもの、私の呼びかけに答えてくれる様になった。前はエミルと気軽にお話する事は出来なかったけど、私の意志が強くなったとかでそれも可能になったみたい。
実を言うとこの杖で発動している魔法はエミルが制御しているおかげで使えているだけで、私1人では使えない代物だ。もう少し魔法の扱いが上手くなれば1人でも使えるようになると、エミルのお墨付きを貰っているので焦らずに行こうと思う。
「よし皆集まったようだな、今日はお前らに重要な知らせがある。察している奴もいると思うが任務についての事だ。一月以上前に新種の魔物が発見された。それは別に不思議な事では無いが、発見された場所が問題だ。本来ならば低位の魔物しか存在しなかった場所に、そいつは突然現れたそうだ。現在国騎士と討魔者達によって調査しているが、人手が足りていないためにお前らにも働いてもらう事になる。細かい事は今から配布する書類を見てくれ」
バル先生が話し始めた瞬間から先程までの賑やかな雰囲気は一変し、緊張感を持って黙って聞いている。けれど、ジークさんを始めミサキちゃん達は何時もと変わらない様子で、回された紙を見ていた。
その後も先生の話は続き終わるまでの間手持ち無沙汰だった私は、杖でコンコンと地面を小さく叩いては暇をつぶしていた。まさかお話だけで2時間以上もかかるなんて思ってもみなかった。これは予想以上につまらないかも。
結局お昼ご飯の休憩以外はずっと先生のお話を聞いていただけで、身体を動かす事も魔法を使う事も無くずっと椅子に座っている一日だった。お尻が少し痛い。
帰り際にジークさんに何時もこんな感じなのか聞いてみると、普段とあまり変わらないそうだ。うーん、私がちゃんと内容を理解すれば退屈では無いのかも知れないけど、ずっと座っているだけなのはなぁ。それと沢山の人にじろじろ見られるのは、まだ苦手かも。
でも、家にいる時よりも子供っぽいジークさん達を見ていたら、一緒に学校に通うのも悪くないと思う。大人って感じの皆も好きだけど、あんな風にはしゃいでいる? 姿が私と同じ人って感じがあって安心する。
先生の言っていた任務は一週間後に決まった。それまでは各自武器や食料の調達まで詳細が書かれた書類を見て準備しろとの事。今の私には荷が重いが足を引っ張らないようにしないと。