5 魔力とは。
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「うぅ、酷い目にあった。」
「それはあんたの自業自得よ。」
食事の前にバイオレンスな事をして欲しくないんだけど、食欲が無くなるから。
「人形ちゃんはまだ固形物はダメだからスープを持ってきたよ。栄養価が高く美味しいさも兼ね備えてるから心配しないで。」
ハザックさん、食べ方はあれだけどスープだったら1人で大丈夫なのでその皿頂戴。手を伸ばすも無視された。
「はい、あーん。」
「……」
「あーん。」
「……」
断固としてハザックさんのあーんは受けない。俺の心を弄んだ罪は大きいのだよ。
「……人形ちゃん凄く嫌がってますけど。」
「少しからかいすぎたかな?」
「何してるんですかハザック様……私が代わりに食べさせてあげましょうか?」
そう提案してきたのは多分スズさん? だった。ハザックさん以外なら誰でもいいや。有り難く頂きます。
「はい、あーん。」
「あむ。」
美味い! 味覚があるって幸せ〜、これはミルクシチューなのかな? 意外とさっぱりしていて問題無く食べれそう。
「まるで餌付けしてるみたいね。」
「変な事言わないでよカナン。」
「私もあげたーい。」
「ユキはダメだから。間接的でも触れさせないから。」
「何でぇー!」
スプーンをユキさんに渡した暁には、俺は喉をやられるだろう。痛いのはもう嫌だ。
「あんたはもう少しは力加減って物を覚えなさい。今日も訓練用の刀壊したでしょ?」
「うっ! 何でそれを。」
「剣士の教官が愚痴っていたわよ?」
ユキさんは周りの人型に比べて身体に巡っていり線が太い気がする。何か関係あるのかな?
「質問なら何でも受け付けるよ?」
ぐぅ、そうだった。魔法かけられてるの忘れてた。もういいや、気になるから色々聞いちゃえ。
「魔力って何?」
「簡単に説明すると魔力とは生命力と同義であり、この世の生物は例外なく魔力を持っている。また魔力とは魔法を使うための燃料でもある。またその燃料、魔力を消費し枯渇すれば最悪死ぬ。ぐらいかな?」
ふむふむ。魔力は生命力で魔法の燃料になると、覚えました。
「魔法は?」
「魔法とは魔力を燃料に発動する物で、その能力によって階級が設けられている。その階級は第1級から第6級に分類されており、また魔法には放出型と蓄積型の2タイプに分かれる。放出型とは魔力を様々な物に変化させて体外に放つもので、蓄積型は外では無く内に、肉体そのものにかける魔法だ。」
なるほど。魔法は魔力を消費して使う物で、能力によって階級に分けられると。放出型と蓄積型の2タイプがあるのね。
「理解してるのかな?」
「多分大丈夫だよ。ちゃんと考えているみたいだからね。」
ということは、この心臓に位置する火の玉はもしかして魔力なのかな? あれこれと考えているうちに食事が終わったみたいで、いつの間にか最初に目覚めた手触りの良いベットに戻ってきていた。
「もう考え事はいいのかい?」
「もういい。」
「そうかい。なら今から人形ちゃんが1人で自立出来るようにリハビリを開始するよ。」
「分かった。」
リハビリか。今は手足は動くけど物を持つ握力や、立って歩く足の筋肉が全く無いので出来ることは限られるけど、何するんだろう?
「人形ちゃんにはこれから身体強化の魔法を覚えてもらう。まず君の身体は他の人に比べて脆弱だ。その上、盲目の状態では身を守る事もままならないだろう。だから先ずは身体強化の魔法を覚えて身体を強くする必要がある。幸い君には膨大な魔力がある、使い方さえ学べば常人以上になれるよ。」
そうなの? 常人がどのレベルか分からないけど頑張って見るか。膨大な魔力って言っていたけど自分の心臓を見ても火の玉の大きさは対して変化してないんだよな。
「やっぱり……起きてからずっと様子を見て気付いたのだけど。人形ちゃん何か見えてるのかい?」
「火の玉が見える。」
「火の玉? それはどういう事だい。詳しく教えてくれ。」
おぉう。ハザックさんがこんなに食いついて来るなんて思わなかった。そこで俺が見えている物をあれこれと説明し、さっき教えて貰った魔力について考えた事も伝えた。
「魔力を感知する第六感か……もしかするとあの臓器は魔力を感知する魔物から移植したのか? そうなると考えられるのは、」
また独り言が始まった。癖なのかな?
「どうしたの?」
「あぁ、すまないね。考え事をしていた。それは確かにそれは魔力で間違いないと思うよ。しかし、見た目によらず人形ちゃんは賢いね。これなら魔法を覚えるのは早いかもね。」
見た目によらずって俺は今何歳ぐらいに見えているのだろう?
「俺の見た目ってどうなの?」
「ん? 人形ちゃんは十二歳ぐらいの女の子で、髪も肌も真っ白な正しくお人形さんみたいな見た目だよ。」
「そう。」
十二歳の女の子で真っ白か。もっと年を取っていると思った。もしかしたら見た目が十二歳だけかも知れないど、まぁいいか。
「何はともあれ、リハビリを始めようか。」
「了解。」
ホワイトドールでガンダムを連想してしまう作者であった。