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45 ユミルの日常 1

遅くなりました。続きです。

鬱蒼とした森。灼熱の砂漠。果ての見えぬ広大な海。猛威を振るう大自然の中で、魑魅魍魎の魔物が跋扈する世界。


その様々な景色を覚えている。けれど、何故私はその景色を覚えているのだろう?



朝か昼かも分からないけれど、ぽかぽかと温かい日差しを受けた私は目を覚ます。ふぁ、と欠伸をかいてなんか変な夢を見たなぁ、何て思いつつ身体を伸ばそうとしたところで気付く。


身体が動かない。どうして……と焦った事で一気に意識が覚醒する。けれども、その焦りは私の隣から聞こえてくる誰かの寝息で治まった。だって直ぐ隣からよく知った匂いがするんだもの。それに手の指や脚はちゃんと動くしね。


ジークが何で私を抱きしめて寝ているのか分からないけれど、取り敢えず離してくれないかなぁ。なんか変な匂いも混じっていて臭いし……


起きてー、と僅かに動かすことが出来る指でジークの身体を突く。でもジークは身体をよじるだけで全く起きる気配は無かった。と言うかむしろ更に抱きしめる力が強くなった。なんでなのよ。


ならば比較的に動かせる脚を使ってどうにか出来ないかと思ったけど、仰向けに寝ている私に多分横から抱きついている形のジークに蹴りを入れる事はかなわず、ただ脚をばたつかせる事しか出来なかった。


ベッドが衝撃を吸収してぽす、ぽす、と小さな音が出るが、それでジークが起きるわけもなく無駄に体力を使っただけだった。


これはジークが起きるまで待つしかないかなぁ、何て悠長な考えは一瞬で吹き飛んでしまった。寝起きから運動したせいでかいた汗とは違う冷たい汗が背中に伝う……おしっこ行きたい。


このままジークが起きなければベッドが大変な事になってしまう。それだけは絶対に嫌だ、このふかふかした寝床を私の汚物で汚してしまうのは避けないと。


だから私は最終手段を使う。少し可哀想だけど元々はジークせいなんだから許してくれるよね?



「おはよー、ってあれ? どうしたのジーク君、その鼻?」

「聞くな」

「おはよう。えーっと、ミサキ?」

「はーい、ミサキちゃんですよー」


最後にやってきたミサキに挨拶を返す。うんうん、私の鼻と耳は今日も絶好調のようで安心だ。


何とか惨事になるのを回避した私は、そのままジークに連れられてご飯を食べていた。ジークと同じく変な匂いが混ざっているイインチョウとレオンは、私が食べ始めた頃にやってきたけど2人共体調が悪いのか、未だに呻き声を上げている。


「うぅ、ミサキさんの声が頭に響くわ……」

「あははー、委員長は完全にグロッキーだねー」

「お前も相当飲んでいたけど、大丈夫なのか?」

「もち!」

「こいつは、後に残らないタイプなんだよ……」

「ご飯ーご飯ー」


昨日私が寝た後に変なものでも食べたのかな?


「俺はユミルと家で過ごすが、お前らはどうする?」

「今日はこのまま、一緒に居させてくれないかしら……」

「俺もそうさせてくれ」

「皆がいるなら私もー、外に出ても監視が鬱陶しいし?」


うーん、私はどうしようかな。何かしなくちゃいけないと思うのに、何をすればいいのかが分からない。あの子みたいに魔法を覚える? それとも武器の使い方? あぁ、思い付くのは沢山あるのに、私に出来そうなものが1つも思い当たらない。


1人で考えて分からないなら、ジークに聞いてみればいいかも。一緒にいてくれるみたいだし。でも、最低限私が出来る事にして欲しいな。


ご飯も食べ終えたところでジークに聞いてみた。他の3人も私の話を聞いていたのか、一緒になって考えてくれているようだ。


「先ずは魔法からじゃないか?」

「そうですね。身を守る術は覚えていて、損はないですしね」

「無難に身体強化から、始めたらいいんじゃないか?」

「楽器はどう? 楽しいよー?」


1人の提案は見事に無視されて魔法、しんたいきょうか? を学ぶ事になった。程度は違うけれど誰しもが使うことの出来る魔法、だそうだ。それで私が、あの子の様に出来るようになるかな? と聞いたら皆少し無言になってその後に、そうなったらユミルが俺たちに教える側になると笑っていた。


私は本当にあの子に追いつけるのかな?


炬燵が恋しくなりました。

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