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41 日常と変化

二章の始まりなので短いです。

本来存在するはずのない魔物が現れたということで、法の国は騒然としていた。関所には武装した国騎士が多く配置され、領土内に未確認の魔物がいないかを確認するために、高ランクの討魔者を調査団として何度も領土内を調べることになった。


俺達学生は特に変化があったわけではないが、一部の人、特に他国から来た留学生には気づかれないように監視の目が付いているそうだ。


その理由はある程度予測できる。まずこの事件は他国からのテロ行為である可能性が挙げられる。次に他国も同様の事件が起きているせいで各国が疑心暗鬼に陥っている。


このことから留学生は他国からの刺客である可能性がでた為に、あくまで秘密裏に行われているらしい。まぁ、ミサキ達は直ぐに気付いたみたいだけど……


あれから一週間が経って落ち着きを見せ始めたと言うのに、エミルは未だに目を覚まさない。あの時の姿は何だったのか、何を伝えようとしたのか、色々と聞きたいことが山ほどある。


けれど、俺にもエミルに隠している事があるから無理に聞き出す事はしない。お前が幸せならそれでいい。



微睡む意識の中で、柔らかい布の感触とお日様の香りを全身で堪能しようと寝返りを打とうとして違和感に気付く。


思うように身体が動かない。重い手足をゆっくりとした動作で動かし、枕に顔を埋めて今の状態を確認する。


鈍った四肢に真っ暗な世界、頭を支配する激情は無くクリアな思考。私が投げ出したはずの感覚を取り戻した今の状況を思い出す。


「そっか……元に戻ったんだ」


はぁ、どうやってジークさんに説明しよう。この状態会うのは初めてだし、以前の様に接するのはちょっと恥ずかしい。それに、あの子の真似をしようにもすぐにばれるだろう。というか真似出来ない。あの子はちょっとおかしいと思うのよね、この身体で魔物と戦闘とか私には無理無理だ。


それにしてもこのふかふかした枕は気持ち良い。ふぁ、どうしようかなぁ。



「……まだ…………みたい」

「でも……だぞ」

「それなら……たら?」


うぅん、五月蠅い。今とても心地良いから邪魔しないで。


「……うるしゃい」


そう呟くと周りから聞こえていた騒音が不意に消えた。むふぅ、満足。


「……エミル?」


あの子の名前を呼びながら私の身体を優しく揺する。その声は聞きなれた雄、ジークの声。


「……もうちょっと」


ジークなら我儘を聞いてくれるだろと思ったら、一気に辺りが騒がしくなった。どうして……


結局私が起きるまで待ってくれたジークはやっぱり優しい。私も甘えてばっかりじゃなくて頑張らないとね。

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