4 自己紹介。
沢山のブクマありがとうございます。まさか評価まで下さるとは思ってなくて感激です。
「今さらだけど私はここ、和の国で医者をやっているハザックだ。よろしく人形ちゃん。」
そう言って優しく頭を撫でてくれた。今鼻水やら何やらで顔が大変な事になっているはずなので、見られたら恥ずかしいので顔を見て伏せておく。
「人形ちゃん?」
「それは君が真っ白で可愛い人形に見えるからだよ。それに名前が無いと不便だろう?」
「ちゃんとした名前がいい。」
「ははは、安心してよ。名前を考えてくれる人に心当たりがあるからその人に付けて貰おうよ。」
そんな人がいるのか。どんな名前を付けてくれるんだろう?
「分かった。」
「じゃあ今から検査の為に移動するから抱っこするけど許してね。よいしょっと。あ、そうそう。知らないと思うけど君はここで有名でね。沢山の人に声を掛けられるかも知れないけど、皆んな良い人達だから安心してね。」
抱っこされるのが少し恥ずかしいけど、1人で歩けそうに無いので仕方ない。ハザックさんは軽々と俺を持ち上げたけど、今の俺って何歳なんだろう? そこら辺の事は後で教えて貰おう。
「ハザック様おはようございます。その子が例の人形ちゃんですか?」
「あの子が例の……小ちゃくて可愛いな。」
「本当に生きているのか? 人形じゃないよな?」
「あのハザックが笑顔だと? 俺は夢でも見ているのか……」
移動中はあちこちから言葉をかけられて緊張した。ハザックさん以外の人はどうしても警戒してしまう。その為つい反射的に人形の振りをしてしまった。それにしても病院? にしては人が多い気がする。皆んな集団で病気にでもかかったの?
ハザックさんが人気な所為で人が近くを通ると誰もが一言をかけていく。医者って言ってたから皆んなハザックさんに助けて貰ったのかな?
「はい、到着したよ。えーと、今から人形ちゃんには魔力の検査を受けて貰う事になる。少しでも身体に違和感を感じたら直ぐに私に教えてくれ。」
「分かった。」
「よろしい。ならば検査開始だ。」
そこから始まった検査は目が見えないため、ベットらしき物に寝かされた事と、よく分からない物を握って待機している事しか分からなかった。これ本当に検査してるの?
ハザックさんは他の人達とあれこれ話している声が聞こえるから、魔力? を測っているんだろうけど、その内容までは聞き取れなかった。そしてあっという間に検査は終了した。
「お疲れ様、これで今日の予定は終了だよ。そろそろお昼の時間だからご飯でも一緒に食べようか?」
「えっ! でも、」
「大丈夫、人形ちゃんの身体の事を考えて作ってあるご飯だから問題ないよ。それに1人で食べるのはまだ出来ないだろう? 私が食べさせてあげるよ。」
ハザックさんまじイケメン。なんなのこの人、俺を惚れさす気か?! そうなったら絶対責任取って貰うからな。
「おや? 人形ちゃんは真っ白だから赤くなると目立っちゃうね。」
「ッ! 見るな!」
「ごめん、ごめん。でも、その調子で人形ちゃんには元気なって欲しいな。」
「ッ〜〜!」
この人たらしだ。絶対たらしだ!影で絶対女の人泣かしているよ。今の俺にはやばすぎる。早くここから離脱しないと。
「それじゃ、食堂に行こうか。ついでに元気になった姿を皆んなに見てもらおうよ。」
今はダメだからもうちょっとだけ間を置いて。お願いだから!
「ははは、随分元気になったね。いい事だ。」
のぉーーー!
◇
結局ハザックさんに抱っこされて食堂とやらに連れて行かれた。途中ですれ違った人が不思議そうに俺の事を聞いてくるで、余計に恥ずかしかった。それでも人形プレイを崩さなかった俺を褒めて欲しい。……絶対顔は真っ赤だったと思うけど。
そして現在不貞腐れています。
「じゃ、私は料理を持ってくるから此処で座っててね。ここには君に危害を加える人間は誰一人としていないと思うけど、もし何かされたら私がそいつを消してやろう。」
最後のセリフが異様に怖いんだけど。とりあえず頷いておく。返事はしてやらない。
ハザックさんはそのままテーブルから離れていった。でも、ハザックさんの火の玉は俺の見える範囲に常にいる為不安を感じ無かった。
昼時と言っていた為に周囲には沢山の人が集まっていた。その中の人達のほとんどが全身に線を巡らせている人型タイプだ。すれ違う人も大体が同じ様に人型だったので、此処では普通の事なのかも知れない。
でもその違いって何だろう? 何か意味があると思うんだけど分からない。
「考え事かい? 私で良ければ食事がてら相談に乗るよ?」
……ハザックさんはどうして俺の思考が分かるんだ? 俺そんなに分かり易い表情してた?
「あぁ、それは私が人形ちゃんに分析の魔法をかけているからだよ。この魔法はねその人の身体の状態を確認するもので思考そのものを読み取る能力は無いのだけど、喜怒哀楽などと言った断片的な感情ぐらいなら分かるんだ。そしてさっきは疑問を抱いていた。」
なるほど? 魔法で確認していたのか。だから、声に出さなくても分かるのね。解せぬ。
「あー、人形ちゃんが食堂にいるよ! もう身体は治ったの!?」
「ユキ、うるさいわよ。」
「ハザック様こんにちは。」
ハザックさんに説明を受けていると大声で俺を呼んでいる人がいた。この声何処かで聞いた事があるかも?
「ユキにカナン、それにスズか。バルドはどうしたんだい?」
「あー、隊長は今別任務で外に出てます。多分明日、明後日ぐらいには帰って来るんじゃないかな?」
「そうか、それは残念だね。元気になった人形ちゃんを見られないなんて。」
「もう元気になったのね。流石ハザック様ですわ。」
「私達を覚えているかな? 」
うー、思い出せそうで思い出せない。何だっけ?
「こらこら、あまり人形ちゃんを困らせないでやってくれ。」
「あぁ、ごめんね。困らせるつもりは無かったの。」
「あの状態で覚えていたら逆に感心するわ。」
あー、あと少しで思い出せそう。
「それじゃ、改めて自己紹介するね。私の名前はスズ。国騎士一番隊所属の魔導師です。よろしくね、人形ちゃん。」
「私の名前はカナンよ。スズと同じ一番隊所属の魔導師よ。よろしくですわ。」
「最後はこの私、一番隊所属の剣士ユキちゃんです。よろしくー、人形ちゃん。」
そう言って頬をつんつんしてきた。
この首にくる衝撃……こいつか!! 思い出したぞ! 力加減を考えない阿保だ!! 思い出してスッキリしたぁ。
「あのハザック様、人形ちゃんは本当に元気なんでしょうか? 全く反応が無いのですが……」
「大丈夫だよ。しっかり理解しているから。人形ちゃん挨拶は?」
ふんだ、今はハザックさんの言う事は聞きません。そっぽを向くジェスチャーだけする。
「! 今からご飯ですよね? 私達もご一緒にしても?」
「人形ちゃん可愛い〜。」
スズさんがものすごい勢いでハザックさんに詰め寄っていた。一体どうしたと言うのだろう。そして、いい加減つつくのやめてくれます? 前と違って普通に痛いから。
「ちょっと、頬が赤くなってるじゃない!? ユキの阿保!」
「へ? 」
「おやおや、私の目の前で人形ちゃんに傷を付けるとはいい度胸じゃないか。」
「あ、」
誰かに耳をそっと塞がれてその後の悲鳴は聞こえなかったけど、ボコボコにされている様子が分かってしまった。ご愁傷様です。
ファンタジーはやっぱり楽しい。