32 資源調達
続きです。
「いやぁ、快適快適。流石は文明の利器だよね。」
「お前、偶には散歩もいいとか言ってたじゃねえか。」
「それはそれ、これはこれだから。」
俺達は現在、最初の資源調達場所に向かっている最中だ。魔導車を使って。
「もはやエミル様だよ。一家に一台だよ。」
「さっきから意味の分からない事ばっかり言ってないで、私にも交代しなさいよ。」
「むーりー。」
「私も運転したいの!」
首都から離れて人の気配がなくなってから魔導車を取り出した所、ミサキ達は啞然としたいたけどすぐに俺だから仕方ないか、とよく分からない理由で納得したいた。
そこから交代交代で魔導車を運転する事になったのだが、ミサキは甚く気に入ったのか中々ハンドルを手放してくれない事態になり、運転してみたいイインチョウが駄々をこねていると言う状態になった。ジークとレオンは後ろでその様子に呆れながらも、周囲の警戒をしていた。
そして俺はと言うと、ジークとレオンに挟まれる形で座っているために何もさせてもらえず、やることがないので、お菓子をつまんでいた。
「それで、レオン達は他に、何の依頼を受けて来たんだ?」
「ん? えっと、アイントータスに鉄鋼樹皮。それと魔金土竜の討伐だな。」
暇なのかジークがレオンに質問する。んー、何か新しい装備品でも作るのかな?
「何に作るの?」
「あぁ、この前の戦闘で、俺の装備が壊れちまってよ。だから、また新しく作ろうと思ってな。」
「せっかくお金かけて、技の国出身の職人さんに作ってもらったのにねー」
「でも、あれは仕方ないと思います。」
「ま、そういう感じで、素材とお金が同時に集まる依頼を、受けてきたわけだ。」
なるほど。確かレオンの装備は籠手に脛当てだったかな? 俺はあんまり出歩かないから知らないけど、法の国に籠手と脛当て作る職人さんっていたかな?
「問題なのは、作ってくれる職人がいないことなんだよな。」
「魔道具のお店なら、沢山あるんだけどねー」
法の国は魔法を中心に発展しているために、生産物のほとんどが魔道具であり、武器もまた魔道具で出来ていた。魔剣と魔道具の違いは蓄積型と放出型で分けられていて、前者が魔剣、後者が魔道具となっている。主に魔道具は魔法付与された物が多い。
「だったら、私が作ってみようか?」
「え、いいのか?」
「うん。でも初めてだから、」
「大丈夫、大丈夫。エミルちゃんが作った物なら喜んで使うよ!」
「何でミサキが言う、使うのは俺なんだが……」
「細かい事は気にしてはいけませんよ、レオンさん。」
「まぁ、エミルなら問題ないだろ。何せこの魔導車作ったぐらいだし。」
「はぁ?」
エミルちゃんが一番チート、と言う事でミサキ達の心が一致した。
「そろそろ、目的地に到着だ。」
僅か3時間という速さで最初の目的地に到着するのであった。
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