30 変わらないもの
続きです。
これは無いな。俺がやっても違和感がありすぎる。それが原因なのかジークが固まってしまった。
「ジーク?」
「はっ、俺は夢でも見ているのか?」
「何言ってるの?」
意味の分からない事を呟く程に、衝撃を与えてしまったようだ。やっぱり、ああいうのは彼女に任せよう。
「あれから、どれぐらい経った?」
「ん、あぁ。丸々二日って所だ。」
「学校は?」
「エミルを置いて、行くわけないだろ。それに今は臨時休業中だ。」
「そうなの?」
「知能持ちの魔物が現れた、とかで明日明後日ぐらいまでは休みだ。」
「あはは……ごめん。」
「エミルが気に病む必要はない。ミサキ達にも手回しは済んでいる。」
「流石ジーク。」
俺が寝ていた二日間の出来事を粗方聞いた所で、くぅーっと腹の音がなった。
「お腹減った。」
「はは、飯にするか。」
「うん!」
ご飯を食べながらこれからの予定を話し合う。ジークは家で安静にしろと言って聞かないのを、どうにか説得する。身体的には何の問題も無いので大丈夫なんだけど、ジークは心配性で過保護だからな。心配してくれるのは嬉しいけど、行動全てに対して何か言って来るのは少し鬱陶しい。全く贅沢な悩みである。
「はぁ、それでエミルは何がしたいんだ?」
「んー、資源調達?」
「あぁ、そう言えばこっちに来てから、一回も行って無いな。」
「食料と素材が欲しい。」
「そうすると外での現地調達になるな。エミルが満足する量を買おうと思ったら、金がいくらあっても足りないから。」
資源調達は討魔ギルドで依頼が出ているし、ランクが低くても受ける事が出来るので、ご飯を食べた後に向かうことにしよう。
「よし、ならミサキ達も呼んで一緒に行くか。あいつらも暇だろうし。」
「おー。」
そう言ってジークは何かを取り出したかと思ったら、急に独り言を始めた。突然の事にどうしたのかと聞けば、何でも委員長の作り出した通信機器? らしい。よく分からないけど、それを使えばどこにいてもすぐに連絡を取ることができるみたい。
ほへー、と感心しながらご飯を食べていると家の戸がノックされる。えぇ、まだ連絡してから全然時間たってないんだけど。もしかして近くで待機していた?
ジークが苦笑した感じで出迎えに行くと、案の定ミサキ達3人であった。
「おはよう、エミルちゃん。あはは、体調はどうって、聞くまでもないね。」
「朝からそれだけ元気に食事しているなら、大丈夫そうね。」
「俺も見てたら腹減ってきた。何かくれジーク。」
朝から随分と賑やかになったなと思いながら、俺はご飯を食べる手を止めなかった。
大体1000~1500字の目安で更新していこうと思います。
続きが気になる、面白い、と思ったらブクマ、評価、感想等お願いします。




