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29 変化

今回から少し短めにして更新ペースを上げていこうと思います。

あの子が抑えきれないのも無理はない。だって本来なら()()()()俺の役割だから。むしろこの状態が本来あるべき姿なんだけど、彼女にはまだ荷が重いようだ。


身体を自由に動かせる様に、目が見える様に、傷つかない様に……俺と言う存在が消えて無くなっても大丈夫な様に。気付いたら自分の為では無く、彼女の為になってしまった。それがエゴだと分かっていながら。


二本の角を生やした美しい鬼が本来の姿だ。目が見えず、魔法が無ければ動くことすら出来ない人形(おれ)では無い。



さてさて、あの子はどんな様子かな? 周りに迷惑かけていなければいいけど。


あ、一瞬だけハシュマー? の姿が見えたな。そしてすぐに真っ暗になったって事は、目をつぶっちゃったか。うーん、やっぱりまだジーク以外の男の人は苦手みたいだな。


あぁ、ハシュマーもあの攻撃は防ぎきれないか。まぁ、消耗してたとは言え、初見じゃどうしようもないか。って、え? 攻撃した後に辺りを見渡しているんだけど、もしかして今攻撃って無差別だったの?! ……今度からジーク以外の男の人の前で交代する時には、先に伝えておこう。


次はジークを探しているのかな? おぉ、他の人にばれない様にちゃんと瘴気と姿を消している! 偉い。……いや違うな単純に他の男の人に見つかりたくないからか。


そして迷っている。彼女って意外とどんくさいな。ん? 何で急に壁を見つめて立ち止まる?


まさか……うわぁ。心細かったのは分かるがそりゃないだろ。猪かお前は。


へー、ジークってこんな顔してたのか、と言うかめちゃくちゃ近い。あ。……あ、あいつ、あんな事ジークにしてたのか! 道理で俺が戻った後、様子がおかしくなるわけだ。ジークも変な罪悪感を感じていたのだろう。


俺の裸を何回も見ている、と言うかお風呂に一緒に入ってたりするくせに。


彼女を見たとたんジークの顔色が見る見るうちに険しくなっていく。そんなに口にキスされるの嫌だったのかな……口は嫌かぁ。はぁ。


そして最後はベッドで全裸にされてからのジークの強引なキス。彼女が何言ったか分からないけど、ぐっじょぶ。


『おかえり。色々大変そうだったね。』


戻ってきた彼女に声をかける。


『えっ、もしかして見てた?』

『うん。』

『私まだ感情のコントロールが、出来て無いの。』


彼女は俯きながら恥ずかしそうにそう答える。感情か、確かに自我を持ってから外に出たのはこれで5回目ぐらいだもんな。


『これから、慣れて行けばいいよ。』

『う、うん。でも、これは貴方の所為でもあるんだからね!』

『俺?』


何かしたかなぁ? コントロールはばっちりだと思っていたけど。


『そうよ。忘れたの? 私は貴方で貴方は私よ。 貴方の感情は私の感情でもあるんだから。』

『うん?』

『私がまだ男の人が怖いのも、ジークが大好きなのも貴方の感情って事。』

『そうか……』


もうそこまで分かる様になったんだ。


『私が言うのも何だけど、もっと感情に素直になったら?』

『素直にかぁ。』

『せめてジークにだけは、素直になりなさい。』

『出来るかな?』

『私がフォローするわ。』

『ふふ、さっきと逆だね。』

『あはは、そうね。』


仕方ないなぁ。彼女が言うなら少しだけ素直になってみるか。



俺はベッドの上から身体を起こす。


「やっと起きたな。おはようエミル。」


すぐ隣からジークの優しい声が聞こえる。よ、よし、やるぞ。


「ジーク、抱っこ。」


俺は甘える様にジークに両手を伸ばす。


「なんだ、まだ魔力が回復してないのか?」

「ん、おはよ。ジーク。」


そうして心配そうに近づいてきたジークの頬に当てるだけのキスをし、ぎこちない笑顔で挨拶をする。


……やっぱりこれ恥ずかしいな。


面白い、続きが気になると思った人はブクマ、評価、感想等お願いします。

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