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26 決着?

遅くなりましたが続きです。戦闘描写が上手く伝わっているか不安です。

マリのユニーク魔法『等価召喚(イクゥイサモン)』は自身の魔力と引き換えに、自分の想像するありとあらゆる物を呼び出す事ができる。


そこには明確なイメージを必要とし、曖昧な物は召喚する事が出来ない。更に召喚した物は全て魔力によって構成されており、マリの意思によって自由自在に操作する事が出来る。


マリが模擬戦が始まってから何もしてこなかったのは、この魔法を使う事を前提としていたから。また、召喚する物によって魔力の消費量が変化する為に、余計な魔力を消費したくなかったのだ。


そして、エミルとジークが分断されている今が、ミサキ達3人を倒すチャンスなのだ。


「後を、頼んだぞ、マリ。」

「任せなさい。」


召喚するまで全て攻撃を防ぎ切ったファルスは、魔力が底をつき戦闘不能となり、 最初から魔法を放ち続けていた魔導師2人もまた、魔力切れにより戦闘不能となった。


「これで一気に形成逆転! とは行かないんだよねぇ……」

「寧ろ、ここらが本番だな。」

「来ますよ!」


マリが呼び出した全長2メートル程の人型をした武御雷(タケミカヅチ)は、魔力の性質を雷に変化させているため、魔法耐性の無い者は触れらただけで感電し、即戦闘不能だろう。


「戦闘狂想曲第3番『全ての人に耐性を(オールレジスト)』!!」

「先ずは、後方支援の貴女から潰すわ!」

「ひぃぃ〜!」


マリが指を指揮者の様に降ると、武御雷は瞬きの一瞬でミサキとの間合いを詰め、横薙ぎに手刀を放つ。


「させるかよ!」


レオンはミサキの間に割り込み、横薙ぎの手刀に合わせて下から蹴り上げる。


「おらぁぁぁ!!」


バチィィィィ!! と激しいスパーク音が鳴り響く中、僅かに手刀の軌道を上にずらす事に成功した。


ミサキはレオンが間に入ったの見た瞬間に、背を向けて一気に身体強化で距離を取り、レオンは蹴り上げた威力を利用して、バク転しながら距離を取る。


それと同時に上空にいるマキは、マリに向けて矢を放つ。


「やるわね。」


マリは感心した様な声で独り言を呟き、迫る矢を武御雷で防ぐ。


ミサキはレオンが必ず足留めをしてくれると信じていたから、レオンはミサキの魔法を信じ、マキの攻撃で自分が距離を取る時間を稼いでくれると信じていたから、マキは2人なら必ず大丈夫だと信じていたから。


一瞬の攻防だが、仲間を信頼していなければ絶対に不可能な連携に、マリは舌を巻くしか無かった。


「このまま押し切るよ! レオン!!」

「おうよ! 『第二歯車(センカンドギア)』発動!!」


レオンにも1つの透明な歯車が体内に吸い込まれる様にして消えた。


「本当に厄介な3人組ね……」


レオンは地上で移動しながら、第6級程度の放出魔法をほぼノータイムで連発し、マキは上空で矢の雨を降らせ、そのタイミングに合わせてミサキも支援の効果を変える。


ミサキ達3人の阿吽の呼吸な連携にマリは防戦一方となってしまった。しかし、3人とも魔力の消費量が激しいため荒い息を吐きながら、玉の様な汗をかいていた。


「くっそ! 押し切れねぇぇ!!」

「時間差でっ、放っているのにっ! なんで当たらないのよ!」

「もぉ、疲れたよぉ〜!」


ミサキ達が愚痴を吐きながらも攻め続けるも、マリはその全てを捌き切る。そこには一切の余裕は無く、目まぐるしく飛んでくる攻撃を防ぐ事に、全神経を集中させていた。


このまま我慢比べで勝敗が決まるかと思ったら、そうはならなかった。


「ハシュマー!! 」



マリがユニーク魔法を発動し始めた頃、エミル達の第2ラウンドも始まった。


「さぁ、俺を楽しませろ。」


ハシュマーがかかってこいと言わんばかりに片手でジェスチャーをしてくるので、身体強化のギアを上げた俺は真正面から突っ込み剣を振りかぶる。


「っ!」


ジークより数段速い俺の攻撃にギリギリ反応したハシュマーは、咄嗟に後ろに下がろうとする。


大地の壁(アースウォール)


俺は魔法を使って逃げ道を塞ぐ。


「ちっ!」


ハシュマーは魔法を吸収しようと壁に片手を向けるが、


「逃がさない。」


俺は間合いを詰め、新たに一本の魔剣を取り出し左右から胴を一閃しようとする。


「やるな! しかし、『暴風の衝撃(ストームインパクト)』!!」


攻撃が当たる前にハシュマーは両手をこちらに向け、第2級放出魔法を放った。


「っ、重力(グラビティ)。」


俺は自身の重さを消して、放たれた魔法と一緒に後方に弾け飛ぶ。


「ぐふっ! ……そういう事か……」


ハシュマーは、後ろから壁ごと自分の腹部を貫いている槍を見て納得した。


「だが、この程度で俺は倒せん! 『衝撃(インパクト)』」


ハシュマーは魔法で壁を破壊し、後ろにいるであろうジークを牽制する。


そして、案の定後ろにいたジークは槍を引き抜き距離を取る。


肉体再生(ライフアゲイン)


ハシュマーは特殊魔法の治癒魔法を使用し、瞬時に傷を治す。


「全くしてやられた。せっかく貯めた魔力が、パァになってしまったでは無いか。」


俺は後方でハシュマーの様子を確認してげんなりしながら、ついでにミサキ達の方の様子も伺う。


あちらはマリ以外の相手は既に全員リタイアしており、大立ち回りをしている。


先程の特殊な回復魔法を使用したハシュマーの魔力量を見て、これはもうそろそろ決着がつくと思っていたら、マリが大声でハシュマーの名前を呼ぶ。


その声に反応したハシュマーは、おもむろに右手を空に突き出す。


まさか……


意図に気づいた俺とジークは、即座にハシュマーに追い打ちをかけそうとするが、それよりも早くマリのユニーク魔法がハシュマーに直撃した。


マリはすぐに戦闘不能となったが、マリのユニーク魔法を吸収したハシュマーは、自身のユニーク魔法を発動する。


「『皇帝(エンペラー)』発動。我の力を知れ、『雷光(ライコウ)』」


ハシュマーが魔法を発動した瞬間、天から光速で放たれた雷を誰も避ける事が出来なかった。


戦闘描写って凄く難しい。

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