24 それぞれの実力 1
遅くなり申し訳ございません。続きです。
ジークのユニーク魔法に気を取られた瞬間に3人はファルスさん達を中心に囲む様に移動し、一斉に放出魔法にて攻撃をする。
「大雷」 「風刃」「氷槍」 「重力爆弾」 「凍焔之槍」
ジークは二振りの刀を1つの槍に変形させて投擲していた。
どれか1つでも直撃したら戦闘不能は確実だろう。さぁ、どう動く?
「ファルス、私を守りなさい。」
「はっ! 女王の守護者!!」
地面に大楯を突き立て、ファルスさんは魔法を発動する。俺達の魔法が当たる瞬間にマリさんを中心に5人全員を包み込む様にして、結界の様な物が現れた。
ドォゴォォォォォン!!
俺達の高威力魔法が当たり修練場を揺らす様な爆発が起きた。
さっきの結界と言いこの前の完全防御もそうだけど、ジークも言っていた通りファルスさんのユニーク魔法は守りに特化したものみたいだな。
相手が誰も戦闘不能になっていないと言う事は、ファルスさんの張った結界は俺達の攻撃を全て防ぎ切ったようだ。ファルスさん凄いな。
でも、その結界壊させて貰うよ。
「えいっ!」
俺は間髪入れずに身体強化のギアを上げ、正面から完全防御を貫通した時と同じ力で殴りつける。
ガァァァン!! と金属を殴りつけた様な音が響いた。
「痛ぃ。」
「ふっ、マリ様には指一本触れさせんよ。」
硬度がこの前とは比較にならなくなってるんだけど。殴ったこっちの手が痛い。
「戻ってこいエミル!」
「うい。」
適当に魔法を放ちながら、追撃されない様に急いでジークの下まで後退する。
魔法はその人のイメージで多少の変化するものだけど、楯があるだけでここまで強度が変わるのか。
「何あれ。」
「あれがファルスの本来の力だ。守る事に関しては最強だろう?」
「どうしよ。」
「魔力切れを待つしかないだろうな。あんな魔法は何十回も使えないだろ。」
「そうだよね。」
俺が後退してからファルスさんは結界を解き、バラバラなっている俺達を各個撃破しに動き出した。
ミサキさん達に新入生代表以外の4人が相対し、1人で俺達2人の方にゆっくりと歩いてきた。
「この俺、ハシュマー様が、お前等の相手をしてやろう。」
余程の自信があるのか腕を組んだまま、かかってこいとでも言いたげに顎をしゃくってきた。そういや、そんな名前でしたね。
「返り討ちにする。」
「おう!」
ジークは新たに一振りの刀を作り出し、準備を整える。
始まってから未だに何もしてこなかったハシュマーの能力は未知数なので慎重にいかないとな。
ただ最初に俺が放った魔法を無力化している時点で、何かしらのユニーク魔法を持っていると考えていいだろう。どんな魔法なのか見極めないとな。
「まずは俺が行く! はっ。」
ジークが刀で攻撃を仕掛けるも全て最小限動きで回避されている。ジークの刀は魔法そのものなので、武器等で防ぐことは出来ない。それが分かっているのかハシュマーは刀に触れない様に、立ち回っている。
自信満々なだけ態度なだけあってその実力は確かなようだ。
「その程度か?」
「言ってろ。」
ジークがわざと大振りで攻撃して気を引き付けている間に、俺は隙を見て魔法を放つ。
「火の玉」
階級の低い魔法を最速で数発放つ。
「無駄だ。」
そう言って右手を突き出した瞬間、俺の魔法は何かに吸収された様に消え去った。
「ふん、その魔法にも飽きたな。」
「なにっ!?」
今度はジークの魔法の刀を素手で受け止め、吸収した。獲物を失ったジークにハシュマーは、ジークと全く同じ武器を片手に切り伏せようとした。
「大地の壁」
ギリギリのところで魔法を挟むことに成功し、ジークが距離を取るための時間を少し稼げた。ハシュマーは追撃してくる様子は無く、慢心したようにその場で腕を組んでこちらを見ていた。
「そこの白い方は、中々やるようだが。お前はダメだな。」
「くそが。」
「挑発に乗らないの。」
まったくジークは短気なんだから。
ふぅ、それにしてもあれは厄介だな。ジークと同じユニーク魔法を使っていた所を見る限り、相手の魔法を吸収し、その魔法を自分が行使する事ができるみたいだ。
しかも、吸収したのは魔法そのものだけでなく、その魔法に使った魔力まで吸収してたようだ。つまり、ハシュマーは吸収した魔法を何の代償もなく発動でき、また、発動しなくても魔力を自身の力に変えることができる、っと。
吸収する上限がどれ程なのか分からないが、これ程強力なユニーク魔法を持っていたらそれは誰だって慢心する。魔導士タイプには絶対に勝てない相手だな。
ならば身体強化等の蓄積魔法で攻めるまでの事だ。
ハシュマーが攻めてこないうちにジークに俺の情報を伝え、アイテムボックスから魔剣を取り出す。
「ほぉ、たったあれだけの戦闘で、俺のユニーク魔法を見破るか……ふふふ、気に入ったぞ白いの!」
こうして第二ラウンドが始まった。
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