21 ランキング
またしてもギリギリの更新。そして物語が全く進んでない!
申し訳ございません。次こそは……
昨日は随分と賑やからな夕食だったな。和の国の城の中にいた時を思い出してしまった。
「そろそろ学校行くから準備しろよ。」
「ほーい。」
制服に着替えてからジークと2人で手を繋いで登校する。ジークが過保護なのは相変わらずだけど、別に嫌じゃないので成すがままに身を任せている。
今日の講義は昨日の話しの続きで国騎士の役目と、討魔者について説明してくれるみたいだ。
その後に修練場にて基礎訓練をして、最後は班を組んで簡単な模擬戦をする予定だ。
「ほらこれ。」
しばらく無言で歩いていると、ジークがアクセサリーを手渡してきた。
「何これ?」
「髪留めだ。髪伸びてきただろ?」
「そうだね。」
「何時もなら俺が切っていたけど、今回は少しだけ伸ばして見ないか?」
「邪魔くさい。」
「いいから。つけてやるから一旦止まれ。」
そう言って強引に、けれど手つきは優しく後髪をまとめてくれた。
着け心地を確かめるために頭を軽く振ってみる。
「どうだ?」
「んー、分かんない。でもいいかも。」
「そう言えば髪留め自体つけるの初めてだったか?」
「うん、初めて。でも急にどうしたの?」
「昨日あいつらに散々言われてな。もっと可愛くしてやれとさ。」
「そうなんだ?」
俺は早めに寝ちゃったからどんな会話がされていたか知らないけど、昨日そんな事言われてたのか。
「エミルはやっぱり女性制服の方が良かったか?」
「ううん。男子制服の方が何かと楽だし、女性制服だと手足を隠しきれないから嫌。それに胸が無いから違和感無いし……」
側から見たら一目で女と分かる人はいないだろう、だって女らしい体型してないからね。……ちくしょう。まぁ、男と思われている方が学園都市の中では生活しやすいからってのもあるけど。
「そうか。」
「髪留めありがと。」
「気にするな。」
お礼を伝えたところで周りから多くの視線を集めている事に気付いた。
「流石イージスアートの学生ね、男同士でアブノーマルだわ……」
「白髪の男の子可愛いぃ!」
「恋人なのかな? 男の同士で恋人なのかな!?」
通学路の途中で立ち止まっていたので、通りすがりの人達の注目を集めてしまったようだ。
「……学校行くか。」
「うん。」
ジークが照れて少し恥ずかしそうにしているのを珍しく感じながら学校に向かうのだった。
◇
「エミルちゃんおはよー!」
教室に着くと昨日の3人組の1人であるミサキさんが元気良く挨拶してきた。
「おは。」
「そのリボン可愛いよー。よく似合ってる。」
「ありがと。」
「ジーク君もやるねぇ。」
昨日初めて会ったばかりなのに凄い馴れ馴れしい。これがコミュニケーション能力を差なのか。
「朝から大胆ねジークさん。」
「何がだよ?」
「一緒に手をつないで、髪を結んであげたんだって?」
「なっ! 見てたのか?」
「いいえ、この目で見たわけじゃないわ。」
「だったらどうして知っている?」
「これよ、これ。」
イインチョウさんがジークに何かを見せて説明しているので、俺はミサキさんの話に適当に相槌返しながらジークから貰った髪留めに魔法をかけていた。
「……失敗した。」
「その様子だと本当に知らなかったのね。」
「ぶっ! ド、ドンマイ、ジーク。」
「何かあったのー?」
説明を聞いて項垂れていたジークをレオンさんが笑いながら慰めている様子を見て、ミサキさんはやっと俺の下を離れてくれた。助かった。
「ジークどうしたの?」
「あぁ、それがちょっとな……」
なんだか元気がないジークに理由を聞くとさっきイインチョウから聞いた事を説明してくれた。
この学園都市には年頃の男女が多く存在している。そんな彼等彼女等が娯楽の一つとしてある物を作った。
それが学園都市ランキングと言うものだ。
このランキングは多種多様で、学園都市美少女ランキングや美男子ランキングなど、くだらないものまで存在している。
その様々なランキングの上位に入る人達は学園都市でちょっとした有名人になるわけだが、ジークが言うにはそのランキングに俺達が載ってしまったらしい。
何のランキングに載ったかまでは何故か教えてくれなかったけど、今日の登校中の俺とジークの事が皆に知られてしまったそうだ。
「へー。」
「遅かれ早かれ何かのランキングに入る事は間違いなかったんだから気にするなよ。男色のジーク君。」
「レオンてめぇ。」
「ほら、講義始まるよ。」
「くそっ、覚えてろよ。」
ランキングとかよりも、周りにいじられているジークはなんだか出会った頃の様で少し嬉しく思ってしまった。
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