20 3人組
今日は少し早めに投稿。気づいたら全く物語が進んでいなかったので次はちゃんと進むようにします。
サブタイトルが21になってたので修正しました。
「ここがあの2人の家か、デカイな。」
「見てみて凄いよ! 庭に工房らしき場所まであるよ。」
2人の動きが止まった場所に来てみれば、そこには二人で住むには大きな家に広い庭と工房らしき物まである高級住宅だった。
「凄いのは家だけじゃ無いみたいよ。この家を囲むように強力な結界が張ってあるわ。それも魔力吸収、物理吸収、と数え切れないぐらいに魔法が付与されている物がね。しかも、外からは入れても中から出るには術者の許可が必要とかエゲツないわね。」
「怖っ! それって牢獄みたいじゃん。」
「行きはよいよい帰りは怖いってか。」
そうして意を決して家のドアノックを鳴らすと、少ししてから男の返事が聞こえてガチャ、とドアが開いた。
「ん? お前達はクラスにいた奴らか。 俺達の家に何か用か?」
そう言って出てきたのはジークの方だった。
「あ、覚えてくれてたんだ、嬉しいなぁ。用事ってのは、あの、その、なんて言うかぁ〜。」
(はっきり答えろよ、何途中で日和ってるんだよ。)
(だってぇ、なんか急に緊張しちゃって。)
「何をこそこそ話しているか知らんが、用が無いなら帰ってくれないか? 俺達はこれから用事があるんだ。」
「いいえ、用事ならあるわ。」
(委員長ぉ〜。)
(流石委員長だな。肝が座ってるぜ。)
「なんだ?」
「貴方と一緒にいた白髪さんは男の子なの? それとも女の子? どちらか教えてくれないかしら?」
「はあ?」
(委員長のアホぉぉ!)
(はっ! しまった。つい本音が。)
「そんな事を聞きにわざわざ尾行したのか?」
(う~、やっぱりバレていらっしゃるよぉ。ええいままよ!)
「イケメン君は転生者だよね?!」
「……」
「「「……」」」
互いに無言のまま数分が過ぎて、3人が冷や汗をかき始めた時に静寂を破ったのはジークの方だった。
「とりあえず中に入れ。」
「! いいの?」
「ああ。だけど先に言っておくが、エミルに何かしたら転生者だろうが何だろうが殺すからな。」
「あはは、そんな事しないよー。」
ほっ、と胸を撫で下ろしたのつかの間、ジークからの物騒な忠告に乾いた笑いを返すので精一杯のミサキであった。
「それとーー」
◇
俺が昼食の準備をしている時に、あの3人組はやってきた。
「エミルはそのままでいいぞ。俺が相手をする。」
「うい。」
ジークが対応してからしばらくして、3人が家の中に入ってきた。ジークが追い払わなかったって事は危害を加えに来たわけじゃないのかな。
俺はテーブルの椅子に座って3人がこちらに来るのを待つ。
「お邪魔しまーす。おぉ、中も広くていいねぇ。ここいくらぐらいしたの?」
「大金貨1枚ぐらいだな。」
「私達と同じチート持ちで更にお金持ちだなんて神様も不公平よね。」
「俺達なんて討魔者になっても万年金欠だってのによ。」
「そんなの知るか。」
なんか随分と打ち解けあってるんだけど、一体ジークのコミュニケーション能力はどうなっているんだ。もはや何かしらの魔法を使っているんじゃないかと疑いたくなるレベルだ。
「それで、目的はさっき言った事だけか?」
ジークが俺の隣に座って3人が正面に来るような配置になった。
「えっと先ずは自己紹介から始めない?」
「……それもそうだな。俺の名前はジーク、武の国出身の旅人だ。理由あってここに滞在している。」
「オッケー、ジーク君ね。私はミサキ、帝の国からとある目的の為にイージスアートに通うことになりました。多分ジーク君と目的は同じだと思うんだよね。だからこれからよろしくね!」
この人は確か入学式の時に爆笑してた人だ。
「俺も同じく帝の国からきたレオンだ。目的も同じで今は行動を共にする仲間だな。」
「私の名前はマキよ。目的は皆と同じで今はリーダー的な感じかしら?」
「だって委員長だもんね。」
「だからもう委員長じゃないってば!」
「今ので誰だか大体察したわ。」
「やっぱりジーク君も分かっちゃうか。」
イインチョウって何のことだろう? ジークは分かっているみたいだけど帝の国特有の言葉かな?
「ねえねえ、ジーク君聞いてもいい? あの白髪君は一体何者なの?」
「それそれ、ありゃ何者だよ。」
白髪君って俺のことかな?
「本人に聞いたらどうだ?」
「えっ! だってその直接聞くのは何か怖いし。」
「変な事聞いて怒りを買いたくないからジークさんに聞いてるのよ。」
3人から見た俺のイメージってそんな感じなのか。意外な反応でちょっと新鮮だな。
「だ、そうだエミル。」
「意外な反応。」
「だな。」
俺は自分にかけていた魔法を解いて姿を現す。
「「「……は。」」」
「私はエミル、14歳。和の国からジークと一緒きた。何者と問われても私は私、何者でもない。」
「も、」
「も?」
「申し訳ございませんでしたぁぁ!!」
なんでいきなり土下座しているのかわかんないけど、土下座知っているんだね。
「なんで謝ってるの?」
「後を追うような不審な行為をしましたが、敵意は一切ありませんので命ばかりはお助けよぉぉ。」
えっ、本当になんでここまで怖がってるの?
◇
ひとまず落ち着くまで待ってから怖がっていた理由を聞くと、何でも魔力を測定する機械で俺とジークをコッソリ計測したところ、俺の魔力の数値が異常だったのと俺の張った結界を見て怖がっていたそうだ。
「なるほどね。」
「ま、それだけで判断したらエミルは間違いなく化け物だわな。」
「ジークが弱い。私は普通。」
「それだけは絶対に違う。」
俺達が普段の会話を聞いていた3人は何か拍子抜けた感じで、テーブルに倒れこんでいた。
「はぁ、緊張した。」
「ワイバーンと遭遇した時ぐらい冷や汗かいたぜ。」
「ねぇ、1つ質問していいかしら?」
「何?」
「エミルさんってその格好から見るに女の子?」
「そうだけど、変?」
今着ている服はジークが選んでくれたもので、せめて家の中だけでもとジークに言われて仕方なく女の子の格好をしているのだ。
「いえ全然変ではないわ。むしろ最高に可愛いわ。」
「ありがとう。」
「男子の制服着ていたエミルちゃんがまさか、ゴスロリが趣味とはねぇ。」
「ゴスロリ?」
魔法の名前?
「あれ? 今エミルちゃんが着ている服のことだよ。 知らなくて着ていたの?」
「ジークが買ってきたものだから名前までは知らなかった。」
「へぇー、ジーク君がねぇ。」
「そのにやけ顔をこっちに向けるな。」
「ジークさんも男の子だもんね。」
「お前ら……」
「いや、わかるぞジーク! 彼女には一回は着せてみたいもんな。」
「お前ら一旦黙れ。」
賑やかになってきたところで、元々ここに来る予定だったマリさんとファルスさんも到着して全員で親睦を深めるの事となった。
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