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13 新しい家

今回はかなり短めです。明日、土曜日の更新はお休みです。

バルザークさんに連れられて首都の中に入ると、街は活気に溢れていた。酒場で魔法について議論している人や、広場で酔っぱらって人も皆楽しそうに騒いでいる。


「そんなことがあったのか、災難だったな。」

「ここまで法の国の治安が悪いと思ってませんでした。」

「この国は自分の身は自身で守れがモットーだからな。」


辺りを観察しながら歩いていると、街灯など街のありとあらゆる建造物に魔力回路があることに気付いた。


「凄い……」

「だな、和の国と全然違う。お、亜人までいるぞ。珍しい。」

「そりゃそうだ。何たって各国から変人が集まるのがここヴァールテクスだからな。」

「なら私達も変人?」

「かっかっか、そうだな。」


広場を抜けた先には学園都市と言う様々な分野の学校が密集して隣接している区画があり、俺たちが通うことになっているイージスアートもその中に含まれているようだ。学園都市の中は多くの学生が住んでおり、俺たちもそこに住むことになっている。


「ジークとエミルは同じ家で本当に良かったのか? 特にエミルは大丈夫なのか?」

「問題なし。それに今更。」

「間違いが起こっても俺は知らないからな。」

「俺がもし手を出したら確実にエミルに殺られますから、エミルが自分から来ない限り大丈夫ですよ、バルザークさん。」

「なんだその情けない理由は。」

「事実。それに私もそんな気は無い。」

「お前らの関係は良くわからんな。」


それは俺も分からない。


「よし、到着だ。ここが今からお前ら2人の住む家だ。」


着いた場所は2人で住むには広いぐらいの家だった。


「部屋は4部屋あって鍛錬用の地下室に工房まである一等地だ。学費も含めた金は後払いでいいぞ。」

「ちなみに幾らですか?」

「大金貨1枚ってところだな。学校に通う3年間で返済してくれればいいぞ。」


何故かニヤニヤしながら言ってきたけど、大金貨1枚って安くない? 金貨100枚でしょ?


「具体的な実力は知らないがあのバルドが推薦するんだ。これぐらい出来るだろ。」

「大金貨1枚ですか、覚えておきます。」

「おう、そうしてくれ。何かあれば俺はイージスアートの研究室にいるからよ。事務に聞けばすぐわかるはずだ。それじゃ、学園生活楽しんでくれよ。」

「ありがとう。」

「じゃあな。」


そう言って夜の街に消えていった。


ジークと家の中に入り、アイテムボックスに入れて持って来た家具を配置していく。その他にも結界を張ったり魔法付与をかけたりなどをして、ひと段落着く頃には日が完全に沈んでしまった。


「ひとまず今日は終わりにして夕飯食べに行こうぜ。腹減ったわ。」

「なら久しぶりに酒場行きたい。」

「あぁ、それなら道中に良さそうな店を見つけたからそこに行くか。」

「お酒~、お酒~。」

「でもエミルにはお酒は飲ませない。お前酒癖悪いだろ。」

「いいじゃん、ケチ。」


師匠もハザックさんもいない今、飲酒出来ると思ってたけどジークも邪魔をするのか。


「はぁ、仕方ないな。数杯だけだぞ。」

「やった!」


結局なんだかんだ優しいジークは好きよ。


毎週土曜日お休みにしたいと思います。ご了承ください。

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