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10 法の国。

3日間の地獄を耐えてやっとの事で法の国に到着し、船酔いに苦しめられた俺はもう2度と船には乗らない事を決意した。


「やっと陸地だぁー! 地面が揺れてないって最高。」

「やっと元気になったな。」

「もう船には乗らない。海は魚介類の食材だけでいいや。」

「そうかい。」


此処からは法の国の首都であるヴァールテクスまではまた馬車で移動だ。


「やっぱり法の国は魔術師が多いな。」


法の国の人々の文化は魔法に頼り切った物が多く、様々魔法を使って生活している。そのため人の手を使わず魔法を使う事によって情報伝達を行う為に、リアルタイムでの情報収集が可能となっている。


法の国には学校が多くあり最新鋭の勉強が出来る事で有名だ。毎年、他国から学生が訪れるそうだ。


「首都行きの魔導車なんて物まであるのか。初めて見た。」

「私も。」


なんだこの鉄の箱見たいなのは?


「馬車の3倍のスピードで移動出来ると書いてあるが、値段設定がおかしいな。首都行きで金貨5枚だとよ。」


よく見ると魔剣と同じ様に魔力を流して操作するタイプのようだ。なるほど、魔力を燃料に側面に付いている4つの車輪を回すのか。確かにこれは魔法付与しなくても速そうだ。


「聞いてるか? おーい。」


魔剣と違って割とシンプルに出来てるな。これなら簡単に作れると思うだけどなぁ。確か今の手持ちに城から盗んで、借りてきた物で作れるかも?


「考え事か……仕方ない。よいしょっと。」


あー、これじゃない。あれ? あの部品持ってきて無かったかなぁ。これとあれを組み合わせて。でもやっぱり部品が足りない。何処かで買えない?


「ジーク買い物。」

「首都に着いてからな。今は馬車の中だし大人しくしとけ。」

「いつの間に。」

「エミルが魔導車を見つけて固まったから、脇に抱えて馬車に乗った。」


あ、本当だ。動いてる。


「本当にそっちの嬢ちゃんは人間だったのか。」

「動かないからてっきり人形かと思った。」

「良かった。人形つれてる変人と居合わせたのかと思っちゃったよ。」


俺達の他に馬車の中には男性2人と女性1人が乗っていた。見たところ3人とも魔力の心得はあるみたいだ。微量だが身体強化も行なっているのが分かる。


「首都までの2日間よろしくね。私の名前はアンナ、よろしくね。」

「俺はダインだ。討魔者でランクはDだが放出魔法は第4級まで使えるぜ。よろしくな。」

「僕の名前はレイだ。よろしくね人形ちゃん。」


なんか勝手に自己紹介し始めたんだけど。俺この人達に警戒はするけどそれ以外の事は興味無いよ?


とりあえずジークに対応を任せる。


「俺の名前はジーク、それでこっちがエミルだ。」

「あなた達は何の用で首都に行くの?」

「エミルと一緒に学校で勉強するためだ。」

「へー、そうなんだ? 因みに何処の学校か聞いてもいい?」

「……イージスアートだ。」

「えっ! 超名門じゃん! へぇ、凄いね。」

「まじかよ。今の時期に行くって事は推薦入学か?」

「でも、エミルちゃんは無理じゃない? 年齢的に。」

「と言うかエミルちゃんとジーク君って兄妹なの?」


暇だからって質問ばっかり。俺が全て無視しているので変わりにジークが律儀に答えてる。でも、ジークもイライラしているのが分かる。お前の犠牲は無駄にしない。



馬車は順調に進み夜になった。夜は馬の休憩もかねて野宿する事になる。一緒に乗っていた3人はアイテムボックスを使えるみたいでテントを取り出して、携帯食料を食べているようだ。


俺もジークも一緒に食べないかとお誘いが来たけど丁重に断った、ジークが。


俺はカナンさんから餞別で貰ったテントを出して、ジークと一緒に中に入る。これは空間魔法の付与されたテントで見た目は普通のテントだが、中にはベットやキッチンなどが置いてあり快適な空間が広がっていた。


夕飯は前に俺が作った手料理がジークに好評だったので、今日も作ってあげる。お礼も兼ねてジークの好きな肉をメインにしよう。


「疲れた……律儀に相手するんじゃなかった。」

「アンナ? だっけ、ジークへの食い付きが凄かったね。」


アンナとか言う女はジークに首ったけだった。俺とジークの関係を嫌という程聞いてきて、積極的にボディタッチしようとしてた。


「ジーク、モテモテだね。」

「それならエミルも一緒だ。ダインとレイはお前を愛玩動物を見る様な目で見ていたぞ。」

「それは何か違くない?」

「ほとんど同じだよ。ま、エミルは愛玩動物と言うより猛獣って感じの方がしっくりくるがな。」

「それは言えてる。」


分厚い肉のステーキを焼きながらジークと3人の話をする。


「この匂い、ブルーノのステーキか?」

「そうだよ、それも最高級部位。今日お礼。」

「よっしゃ! 味付けはエミルのおすすめで頼む。」

「はーい。」


それからジークと2人でステーキを堪能して今日はもう寝るだけだと思っていたが、完全に夜の帳が下がった頃に無粋な輩がやって来た。


「ジークも気付いた?」

「あぁ、これは御者とグルだろうな。馬車が移動している。」

「道中も不審な動きをしていたしね。」

「どうりで他の馬車より格安だったわけだ。」

「そんなの選ぶから。」

「すまん。まさかここまで治安が悪いとは思ってなかった。」

「ここの国の法律ってどうなってるの? 殺ってもいいの?」

「確か良かったはずだ。でも、捕縛したら懸賞金が貰えるかも知れないぞ?」

「面倒くさいからいい。」

「そうか、なら殲滅するか。あの3人はどうする?」

「んー、放置でいいんじゃない? 気付いてもないみたいだし。でも、一応結界を張っておくかな?」

「じゃ、行きますか。」

「ほい。」


数は10人弱、手練れらしき人は誰もいない。時間をかけるのもあれだから、全力で一気に行こう。


俺たちに手を出した事を後悔するがいい。


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