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天使の狂想曲(2章)  作者: ムイミ
2/3

脱出

天使が行ってはいけない領域ゲヘナここからどうやって脱出しようか。ここへ来た天使は脱出不能、死ぬまでここに囚われると、聞いたこともある。

「あれ、お姉ちゃん?」

「カルマ、おはよう、心配かけてごめんね」

「良かった!お姉ちゃん死んじゃうのかと思った!」

本当に心配かけてしまった。せめてカルマだけでもにがしてやりたいな。

「カルマ、私はのぐらい寝てた?」

「うーんとね、一日ぐらいかな」

やっぱりか、体への負担を考えてそのぐらいだと思ったが、ここでの一日は、かなり危険だな、そろそろ脱出しようと足掻いてみるか、

「カルマそろそろ出発するけど大丈夫?」

「うん、お姉ちゃんこそ大丈夫?」

「うん大丈夫だよ、それじゃあ行こうか」

カルマとの長い旅が始まった。

あれからどのくらい歩いただろうか、まったく終わりの見えない旅に私もカルマも疲れが出てきていた。そんな時、

「グェーーーー!!」

という鳴き声とともに空から何かが降ってきた。

「カルマ下がって!」

反射的にカルマをかばい、戦闘態勢に入る、

「お姉ちゃん、これ何?」

「カルマ、これはゲヘナの魔物、このゲヘナに天使が入ってきた時に殺すために用意された魔物だ」

「勝てるの?」

そんなカルマの声を聞き思わず私は言ってしまった。

「大丈夫、勝てるよ」

勝てるはずがないにもかかわらず、思わず行ってしまったことへの重圧が降り掛かってきた。まぁでもやるしかないみたいだし、できる所までやってやる。

「今宵魔術は、完成する・・柴に光る雷の精霊よ、汝の力をここに示せ」

雷魔法≪エクレール≫、しかし、魔物にはかすり傷一つつけることが出来なかった。

「クソ!」

思わずそんなことを言ってしまった。

「お姉ちゃん、僕も手伝う!」

「ダメ、カルマはまだ戦っちゃいけない」

「なんで?」

「おそらくこいつ以外にもまだ魔物は出てくる、カルマは、私より強いから、体力残しといてほしい」

嘘だ、本当はカルマが目の前で死ぬのを見たくないだけだ。そんなことを思いながら私は、ほんの一瞬だけカルマを見てしまった。

「お姉ちゃん!危ない!」

「!!」

体にかかる圧力、骨が折れる音、魔物の攻撃が当たった。音よりも早く私の体を振り投げる、

「・・グッ!ゴハァ!」

致命的だった、あの一瞬、カルマを見た刹那な的な隙に魔物は攻撃した。野生の勘だろうか、立つことが出来ないよう、丁寧に足の骨を粉々にしてくれた。

「お姉ちゃん!」

泣きながら近づくカルマ

「カル・・マ!来るな!」

魔物のターゲットは、まだ私にある、でも、ここにカルマが来たら、そのターゲットはカルマに行ってしまう。

「カルマ、大丈夫だから」

人生最後の笑み、清々しくとても気持ちよく微笑むことが出来た。一歩ずつ近ずいてくる魔物、ついに私の元までやって来た。あぁ、終わるんだな、脳が焼ける感覚、今までの記憶が蘇る、走馬灯だろうか、とても美しく心地よい時間だ。

「うぅ、お姉・・ちゃん、グス」

カルマは、今泣いているのか、視界がぼやけてよく見えないな、ついに、か。そう覚悟を決めて目をつぶる、次の衝撃を受け止めるために。

「・・・・・、ん?」

確かに音はした、鈍く重い音が、だが全く痛くない、むしろ当たってすらいない。そう私が不思議にしているとある声が聞こえた。

「あれ~~ぇ?なんかひっさしぶりなかおだねぇ~、ヒッック、こんなとこでなんしてんの~?」

「お姉ちゃん大丈夫!」

「うん大丈夫だよ」

目の前の酔っ払いに助けてもらったからだ

「お姉ちゃん、この人誰?」

「知らない、って言いたいけど知ってる」

「誰なの?」

「一応私の師匠だよ」

そう、この人こそ私に禁術や、魔術を教えた人物、魔術の腕は超エリート、非の打ち所がない、まさに最強だ。

「ひっどいな~一応ってどういうこと~?アリスちゃん泣いちゃうよ~ヒッック」

だが残念なことに、酒癖が悪い、それも相当。

「師匠、酒臭いです。よらないでください」

「いいじゃんか~久しぶりなんだもん、抱きつくぐらい許してよ~」

うわぁーほんとに酒臭い、寄らないでほしい・・・、

「師匠、怒りますよ」

「え~そんなこと言って~本当は私にあえて~嬉しいんでしょ~」

あぁもう無理だ我慢出来ない、

「今宵魔術は、完成する・・水も凍てつく氷の精霊よ、汝の力をここに示せ」

氷魔法≪ギアチャイオ≫渾身の一撃、周りの空間ごと凍てつかせる、だが、

「あっぶな~い、エルエルちゃん容赦ないな~」

「師匠、誰のせいだと思っているんですか」

「それを言われると・・・て言うか~なんでエルエルちゃんここにいるの?」

「それを聞かれると説明が困りますが」

と言いながらも、説明していく。

「実はですね、カクカクシカジカ、ということがあってここに来てしまったんです。」

「ふ~んなるほどね~、私の教えた禁術、使ったんだ~。」

「はい、すいませんでした」

私は頭を下げる、

「まぁ気にしなくていいよ~、私がいれば、だいたいなんとかなるし~、えへへ~」

本当に何とかなってしまうのが怖いところだ、

「で、師匠ここから脱出する方法知ってるんですか?」

恐る恐る聞いてみた。

「ん~、知らな~い」

「知らねえのかよ!この酔っぱらいが!さっき言った言葉思い出せ。」

「ごめんて~、方法は知らないけど~、予想はつくよ~、」

方法は知らないが見当はつくと言うことか。

「てか、なんで師匠ここにいるんですか?」

それが一番謎だった。

「それは、内緒~」

やはりむかつく言い方だ、まぁどうでもいいけど

「で?ここから出るの?」

突然真面目になる師匠に驚いてしまった。

「はい、出たいです。協力お願いします」

それを返すように、私も真面目に返答する。

「分かった~、じゃあ~ばば~んとやっちおっか~、じゃあいくよ~」

「今宵、魔術は変化する・・・闇に潜みし虚無の精霊よ、汝の力をここに示せ!」

黒魔法ジャッジメントホール

空間にヒビが入る音、風が激しく吹き荒れて前が見えない、だが一つ分かることはある、ここから出られると・・・。


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