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探偵物語(仮)  作者: mello
7/8

Little girl tears ♯03

葛西はその後しばらく宅内を探索し、もう見るところはない

と口にしてサッサと玄関へ向かった

その後を五木早恵と高砂未海は早歩きで追いかけた


五木「ねえ、さっきの『そうとは限らない』ってどういう意味?あの髪の女の人が犯人なんじゃないの?」


五木早恵は追いつきざまに先程の葛西の言葉の意味を聞く

葛西は黒目だけを上へ動かし、少し考えこむようなポーズを取りすぐに振り返った


葛西「五木君、今回の君は依頼人でもなければ関係者でもない。それに高砂君の目の前で聞く事ではないだろう。事件は凄惨だ。君達のような小学生が詳細を聞くには刺激が強すぎる」


嗜めるように五木早恵に苦言を呈す葛西

それを見た高砂未海は意を決したように半歩前に出る


高砂「私は依頼人よ。葛西さんの推理を聞く権利はあるわ」


葛西「確かに。高砂君、君はこの事件における私の依頼人だ。しかし、私が受けた依頼は『この事件の解明』であって、事件に関する私の推理を一から十まで君に懇切丁寧に説明してやる義務はない。…勘違いしてもらいたくないが、君達が小学生だから適当に誤魔化して煙に巻こうとしているわけではない。どんな依頼人であろうが、いちいち説明しないのが私のやり方だ」


葛西は右手の人差し指を立て、五木早恵にしたように高砂未海も嗜めた


高砂「それでも!…それでも未海はなんでパパが死んだのか知りたいの!」


高砂未海も引かなかった


そのまま動きを止め、目を見つめ合う二人

3秒程して折れたのは葛西だった


葛西「君達には馴染みもないだろうが、女が男の浮気を疑う時に男には分からないような第六感が働く、という話がある。」


再び振り返り、エレベーターの前に着きボタンを押しエレベーターの到着待ちの間に話す葛西


葛西「まあ何て事は無い、自分以外の女の痕跡を感じ取っているだけだ。例えば歯ブラシ、男の歯ブラシの毛の好みは固めのはずなのに、歯ブラシのストックに柔らかいのがあるだとか、粒子タイプの歯磨き粉を使っているのを見た事がないのに使いさしがあるだとか」


そこでエレベーターが到着し、エレベーターに乗り込む一同


五木「それでそんな歯ブラシや歯磨き粉があったの?」


葛西「いや、無かった。誰かが持ち去った痕跡もなかった。部屋のインテリアは当然だが、トイレの小物なんかにも女の気配はなかった。彩音氏と離婚後、新しい交際を始めた訳ではなさそうだ」


五木「じゃあなんでお風呂に女の人の髪があったの?」


葛西「さっきも言った通り、女性は痕跡を見つけるのが上手い。逆に、自ら痕跡を消そうとする時には男性に比べ細かい所まで気が付く。実際、風呂の排水溝の蓋には短い毛しかなかった。おそらく進一氏の物だろう」


五木「なるほど。じゃあ女の人が処理した、けど排水溝の中までは気が付かなかった。っていう訳ね」


五木早恵は鼻を鳴らし、納得したようだ

しかし葛西はそれに返事をしなかった

高砂未海は口を挟むでもなく、自分の疑問をぶつけるでもなく

動揺・戸惑い・困惑、どれとも取れる表情のまま葛西の話を聞いていた






2日後


葛西はいつもの自分の事務所に居た

五木早恵と高砂未海もいつも通り事務所に来ていた

普段通り、二人がかりで事務所内の掃除をしていると葛西のデスクの電話機がなった


葛西「はい、葛西探偵事務所」


葛西は気だるげに受話器を耳に当て、やる気の感じられない返事で電話に出た

しかし、すぐに声も変わり背筋も少しだけ伸びた


葛西「ええ、ほお…水上豊…第一発見者ですね、なるほどどうも。では」


電話を簡潔に終わらせ、少しデスクの上に視線を落とす葛西

しかし次の瞬間には目線を上げ


葛西「高砂君、君の母親の会社に行きたい。連絡しておいてくれないか」


葛西は再びジャケットを羽織り、事務所を出て行った

それを見て、五木早恵と高砂未海も後ろに付いていった






50分後


未海「ママ、この人が葛西さん。未海がお願いしている探偵さんだよ。」


高砂未海は普段のクールな雰囲気ではなく、母親に甘える小学生の顔になっていた


彩音「未海…あの話、本当だったのね。…私は高砂彩音、この高砂水産の顧問をしております。貴方は葛西薫さんでしたね、色々調べさせてもらいましたが正直、あの人の自殺になぜ貴方が興味を持ったのか疑問です」


高砂彩音がオフィスの最上階にて出迎えてくれた

事件以来、実務を離れていた彩音も今回の事件のゴタゴタで現場に顔を出す事も多くなったようだ

こちらも高砂未海に見せる母親の顔とそれ以外の顔が違うようだ


葛西「4か月前に別れたばかりの元夫の死に、ずいぶんと達観しているようにお見受けしますが…離婚の原因は?」


高砂彩音の質問には答えず、自分の質問をぶつける葛西

その際に勝手にオフィスをうろつき色々と見回っている


彩音「性格の不一致…ということでどうでしょう」


どうやらまともに答える気はなさそうだ

葛西も例の如く『ふぅん』と鼻を鳴らし


葛西「現場に女の影がちらついていました。心当たりは?貴方はあのマンションに足を踏み入れた事もないと思われますが」


目的の物が見当たらないのか高砂彩音の方を振り返りながら聞く葛西


彩音「さぁ…あの人は仕事人間でしたから」


また『ふぅん』と鼻を鳴らす葛西


彩音「で、お電話いただいたのはその質問の為ですか?」


葛西「いやいや、お宅の従業員の方に用がありましてね。水上豊氏は今は?」


高砂彩音は少し反応が遅れて顎を上げ納得したように


彩音「ああ、自殺の第一発見者の…」


と言い、一息間をあけ自分のデスクの受話器を上げる


高砂「品質保証部の水上は居る?…ええ、私のオフィスへ来るよう言って頂戴、今すぐ」


有無を言わせぬ言葉遣いで呼ぶ高砂彩音

受話器を置くのを確認し口を開く葛西


葛西「ここ禁煙ですか?」


彩音「ええ、ですから一つ階段を下りてもらって突き当りに喫煙ルームがありますのでそちらで吸って来て下さい」


葛西「では失礼して…直ぐに戻って来ますので」


すっと出て行く葛西

それに伴い、彩音の視線は自然と五木早恵に向き優しい表情になり


彩音「貴方が早恵ちゃんね、未海から聞いてるわ。」


五木早恵は若干緊張したような声で返事した


五木「こ、こんにちは」


彩音「未海がこんな事に巻き込んでしまってごめんなさいね」


五木「い…いえ、そんなことは…」


高砂彩音と五木早恵が軽く話しているとすぐにまた扉がノックされた


コンコンコンッ


男「先ほどお電話頂いた水上です」


ノックの後、名乗りを上げた


彩音「ええ、入って頂戴」


ノックを聞いた直後からまた、葛西と話している時と同じ怖い表情に戻った

顔が忙しく変わる人だ

そんな風に五木早恵が感じていると扉の開く音が聞こえ

先程の扉越しに聞いた声よりかは幾分かだけクリアに聞こえる男の声がした


水上「し、失礼します。御用でしょうか高砂代表」


明らかに緊張しまくってるのが分かる青年だった

事前情報として33歳と聞いては居たが、もう少し若く見える

小学生の五木早恵の見立てでは葛西と同じくらい


彩音「仕事中に悪いわね、例の事件の件で探偵さんが貴方に聞きたい事があるって言っていたのだけど。今喫煙ルームにいるからちょっとここで待っていてくれる?」


水上「はぁ…分かりました。しかし代表、事件の事を聞かれるのは構いませんが、相手は探偵…なんですよね?」


彩音「そうよ」


水上「お言葉ですけど代表、どこの馬の骨とも知れぬ探偵に一々時間を掛けるのはどうかと思われますが…」


水上豊は至極当然の疑問を高砂彩音にぶつける

すると高砂彩音は深いため息を吐き先日調べた情報を伝える


               ※


彩音「これは少し前に調べたんだけど…葛西薫という探偵は、驚いた事に日本警察と同じ権限を葛西薫という個人で所有しているの。さらに驚いた事に、その権限を与えている組織が『どこの・どういった組織』なのか不明であるのにも関わらず、日本政府がそれを許可してるみたい」


葛西薫が事件現場にて若い警官二人に見せた手帳には『極秘特殊機関探偵部発行』と大きく書かれていた

その中には、『各国警察組織にはこの手帳を持つ者の捜査を妨害することを禁ずる。これに反する権利を持つ組織はどの国にも存在しない事を保証する』と書かれていた

もちろんこんな悪戯のような手帳に書かれている内容など、本来は国家警察組織には考慮に値しない

しかし、日本政府はすんなりと『極秘特殊機関の発行書類は国家重要書類であり、記載されている内容は全てに従う必要がある』と法令に載せてしまった


こんな事は本来あり得ない

日本という国はアメリカ等と違い、『警察』という組織の中で細分化されてはいるがあくまで『警察』という一つの組織だけに権限を与えている

アメリカでは警察、FBI、CEA、DEAなどなど、組織が多くそれぞれに権限が存在する

そうすることで警察という一つの組織の幹部クラスの人間が買収される等して悪人が逃げおおせる事を防いだりするのが狙いだ

しかし双方にメリットとデメリットがあると言える

日本などの一つの組織に巨大な権限を与え治安維持を任せきりにするという方法は先程挙げた組織の上の方に腐ったミカンが存在すると、組織全体がダメになる

しかしアメリカなどの権限を分散し他の組織にも同等の権限を与え、競わせるという方法は莫大なお金が掛かる

それぞれが、建物・人件費・車両・法・ノウハウの蓄積

細かい事を言えばそれぞれの制服・書類・携帯品等々を用意し

それを維持・向上させていかねばならない

つまり、日本型が発展途上国向け、アメリカ型が先進国向けの治安維持組織運営方法といえる

そんな中、日本は先進国であるにも関わらず発展途上国向けの制度を執っている

それは偏に日本人の国民性のおかげである

古来より日本においてはそれほど巨大すぎる治安維持組織は必要なかった

島国特有の団体行動の考えが日本人の根底にあるからである

『自分一人だけが得を出来れば良い』という考えをする人間が少ないのである

断っておくが、アメリカ人の国民性が『異常』な訳ではない、むしろ人として普通の感覚であると言えよう


そんな日本が、訳の分からない組織に権限を与えるという事態がいかに『異常』であるかお分かり頂けるだろうか


            ※

※部分について


私は警察関係の仕事はしていませんし、関係者の方が気分を害されたら申し訳ありません

完全に私の空想で書いていますので、現実には即しません

フィクションであることをご了承下さい

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