ある墓地の少年
ザーザー…
辺りは降り頻る雨によって轟音を奏でていた
土は水を含み泥となり、歩けばぬかるみができそうだ
周辺を見回すと景色は森、そしてそれを抜けた先に隠れるように設営されている墓地
事前に情報を聞いていなければ辿り着けない場所にある墓地は多くの人に祀られる事を目的とはしていない事が見て取れる
現に線香をあげられている痕跡のある墓石や墓参りの際に持ってこられる花が
他の墓地に比べあまりに少なすぎる
そんな人寂しい墓地に一人の少年が佇んでいた
少年は、歳に似合わないスーツを着ていて
ぱっと見た感じ、リクルート中の高校生に見えた
その表情は苦悶に喘いでいた
しかし、嗚咽の声はなかった
少年の視線の先には、他の墓石と全く同じ大きさ・全く同じ色・全く同じ材質で作られた
数多くの量産された墓石が一つあった
彫られている名前は、横山美香
ただそれだけ
家の名前でもなく、飾りの言葉も無く、ただただ姓名だけが刻まれていた
少年はその墓石を前に涙を堪えている様子だった
いや、溢れているのかもしれない
土砂降りの中に佇む少年の顔は雨が大量に付いていて雨か涙か判断がつかない
ただただ、悲しみの表情が浮かんでいるだけだった




