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杏子の花言葉シリーズ

杏子の花言葉

作者: 暇人書店

過去に縛られて前に進めて無い人が少なからず居ると僕は思う。実際僕自身がそうだし。なんでこんな事を言うかって?これが僕の目下の問題なんだよなぁ……




僕は相良 義和。今高校一年生の16歳。高校初の夏休みを満喫中。と言っても、友達と出掛ける訳でなく自室でごろごろしてるだけだけど。そういえば、今日はお祭りの日だっけ?去年、受験で行ってないから一人で行ってもいいかな?





ピンポーン




何だろう?父さんか母さんが何か頼んだのかな?でも、仕事に行く時に何か言いそうなもんだけど。僕の部屋二階だからちょっと降りるの面倒なんだよなぁ…………これで、宗教の勧誘だったら恨んでやる…

「はーい、今出まーす。」

誰だろう?宅配便かな?印鑑持って来るの忘れた。サインで良いか。

「はーい、どちら様でしょうか?」

えっ………嘘だよね………僕が開けたドアの向こうには僕が中学生の時酷い事を言って傷つけてその後、転校してしまった"杏 由梨"が立って居た。特徴的な白髪のショートボブにお淑やかでどこか儚げな印象を与える。彼女をそのまま成長させたようだった。

「初めまして。相良義和さんでしょうか。今日のお祭り、一緒に行きませんか?」

"由梨"によく似ている少女はそう言った。







現在5時10分前……僕はあの少女の事で頭がいっぱいだった。お祭りのお誘いの後から僕はずっと生返事で居たらしくあまり少女との会話を覚えていない。唯一覚えていることはあの少女の名前が"ユリカ”であったことは覚えている。”ユリカ”は”由梨”なのだろうか?なんで今頃になって?もしかしてこれは僕の罪なのか?それとも、僕への罰なのか?





ピンポーン





もう約束の時間かぁ。何持って行こうかな?とりあえず財布とスマホがあればいいか。後、家の鍵かけ忘れないようにしないとな。でも、罪とか罰とか考えつつもどこか楽しみにしている自分がいる。どうしてだろうか?″ユリカ″が″由梨″に似ているからだろうか?それとも一目惚れだろうか?考えれば考える程、謎が深まっていく。僕は、この感じが嫌いだ。この深まっていけば行く程ゴールが見えなくなるような。言うなれば、底なし沼のような。とりあえずは、お祭りを楽しむ事を考えよう。

「はーい、どちら様ですか?」

ユリカだろうけど。宅配便かもしれないし。

「ユリカです。義和さん、開けてください。一緒にお祭り行きましょう?」

僕がドア開けると、そこには浴衣を着たユリカがいた。とてもよく似合っていて不覚にも見とれてしまった。

「どうしたんですか?義和さん?大丈夫ですか?」

あんまりのぞき込まないで……僕の顔多分赤いから………でも、″ユリカ″と″由梨″は違う事を実感する。やっぱり″ユリカ″と″由梨″を僕は違うと分かっていても″ユリカ″に″由梨″であって欲しいという願望や希望を彼女に押し付けているのかもしれない。

「あぁ……大丈夫。昔の知り合いに似ていてね。」

ユリカの顔が少し曇った気がする。何故だろう?

「コイビトさんですか?」

″由梨″のことか……僕は、彼女の事が好きだった。彼女はどうだったのだろうか?クラスメイトであっただけの関係だったからな。

「どうかな?僕は好きだったかな。」

ユリカの顔がまだ曇っているような気がする。ホントに大丈夫かな?

「そうですかっ。」

何かユリカが不機嫌。ご機嫌でも取っておくかな?

「とりあえず、お祭りに行かないかい?」






現在、お祭りの中に僕達はいます。そして………

「義和さん!このお祭りはこんなにも人が多いのですか?こんなお祭り初めてです!」

絶賛ユリカのテンションがうなぎ上り中。さっきまで不機嫌だったのがウソみたい。でも、初めてこのお祭りに来たのか。これ結構ここのあたりだと有名な祭りだと思っていたんだけどなぁ。

「このお祭りでは、花火を打ち上げるのですか?これも一緒に見ませんか?」

今日はやたらと考え事が多い気がする。うーんどうだったかな?去年、打ち上げていたかな?よく覚えていないなぁ。

「覚えていないかなぁ。何で?」

ユリカはさっき買ったリンゴ飴を食べながら

「うーん、コイビト同士で見たら素敵かなぁと思って。」

コイビト同士って僕達!?

「義和さんが動揺してるー顔が真っ赤ですー」

からかわれた………こういう所が"由梨”に似ていると思う。性格は正反対だけど。しまった!考え事していたらユリカを見失った!







ユリカが全然見当たらない。人に聞いても見てないって言うし。どうしようかなぁ…………今、気付いたけど川辺まで来てしまったなぁ。ここで、花火が見えるのかな?人がかなり集まって来ているなぁ。僕は近くにあったベンチに座った。あれは……ユリカ?いつの間に通り過ぎたんだ?追っかけてみるか。




どれだけ追っかけたんだろう?何時になったら追いつけるの?てゆうかこんなにユリカ足はやいの?結構来てしまったなぁ。近くの神社の境内の様だ。確か、この神社は………




僕の視界がいきなり暗くなった。

「誰でしょーうか?ヨーシ君?」

すごく懐かしく声が聞こえた気がする。懐かしくて愛おしい声がした。

「……由……梨」

今日程、由梨の事を意識した日は無いだろう。

「せーいーかーい」

僕の視界が開けた時には白いワンピースを着たユリカもとい由梨が立っていた。その時、僕の頬にも彼女の頬にも涙がつたっていた。

「こんなことをするなんて珍しいね。」

「私だって進化するんです。」

「かっこいいね。なんか」

僕達は他愛のない会話をしながらもどちらの声も震えていた。

「こんな会話をしに来たわけではないんだろう?」

僕は耐えれなくなって切り出した。

「はぁ…変なところで鋭いですね…私が知りたいのはヨシ君があの時何であんなことを言ったのかが知りたいだけです。…いじめですか?」

鋭いのは君の方だよ。確かに僕はいじめられていた。だから僕は突き放した。ただそれだけ。

「図星ですか…少しは背負わせてくれもよかったのに……なんでですか?」

「何でなんだろうかな?由梨が大切だったかもしれない。」

この言葉には嘘も偽りもない。これが今日一日で僕が出した答え。

「恥ずかしいことを言ってくれますね。私だってヨシ君のことが大切です。だから私と付き合ってくれませんか?」

そうか…彼女が前にすすむならば…

「僕、相良義和は杏由梨さんのことがーーーー」

僕は前に進めているだろうか?

花火は僕達の事を祝福するかのように綺麗に散っていた。







最後まで読んでいただきありがとうございます。

杏の花言葉には”臆病な恋"という意味があるようです。関係ないような気がしますが。

後、一つ謝罪しなければなりません。今、私が投稿している作品の方をすべてリメイクするので、一時的に投稿を止めます。勝手ながらすみません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「ピンポーン」という言葉が活きていました。
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