ネア!①
しばらく竜車を走らせた俺達は、盗賊襲撃イベントがあったものの、何とか無事に王都ウルまで辿り着いた。
胸を撫で下ろす一同。辺りはすっかり日も暮れはじめていた。
「雑貨商人、雑貨商人、お店は……っと」
ーーネア雑貨店。
ーーあった。ここで間違い無い。
「失礼しまーす。ギルドクエストの積荷をお届けに参りましたぁー」
「私も失礼しまぁーす!」
「エリゼもですっ!」
「あたしもお邪魔するわ」
……。
ーーおかしい。返事がない。凄く嫌な予感がする。店主はいないのだろうか?
ーー考えられる選択肢一覧。
①死んでる。
②死んでる。
③死んでる。
ーーどうしよう。三択あるはずの選択肢が一択しかない。
「クビキっ! 大変……‼︎ あそこで誰か倒れているわ‼︎」
「現実となってしまったぁぁぁぁぁ‼︎ フラグ立てちまったぁぁぁぁぁぁ‼︎」
少女だろうか。カウンター脇で倒れている髪の長い女性。
その指先で、床に何か文字が書かれている。
ーー『水をかけてください』
ーーは?
ーーいや、ちょっと意味がわからないですね。
「ペッ‼︎」
倒れる少女に向かい、ツバを吐き捨てるエリゼ。
ーーえ、この子何やってんの⁉︎ 斜め上の解答過ぎるだろ⁉︎ 水をかけてという意味もわからないけど、いきなりツバを吐き捨てるエリゼも大概ではない。
案の定、俺の愉快な仲間達まで、ドン引きしていた。
「エ、エリゼ……それはちょっと……」
「そ、そうよ! さすがにそれはやり過ぎだと思うわ‼︎」
「……いいんですよ。これくらい……」
エリゼは複雑そうな顔をすると続けて言葉を加えた。
「さあ、ネア……起きなさい」
その場にいる誰もが目を丸くして残念ツルペタを眺めていた。




