クビキの悶々劇場②!
俺こと、神喰 クビキ・レイフォード・エルミラントは考える。
ーー俺は確かに寝ていたはずだ。
不意に寝苦しく、うなされて目が覚めた俺は、奇妙な事態に遭遇する。
両手に花という言葉を耳にした事はあるが、『左手にドレーネ』『右手にエリゼ』『腹の上には亞里亞』という謎のフォーメーションが、この狭い範囲内で完成していた。
ーー何ですか? 何なんですか?
戦隊ヒーローものの、番組最後の方に、やたら合体するロボットになった気分だ。
ーー何故こいつらは自分の部屋があるのに、自分の部屋で寝ないのか。
ーー何故こいつらは男の俺にくっついて寝ているのか。危機意識が欠落している。
ーー何故こいつらはこんなに楽しそうで幸せそうな顔をしているのか。……怒る気も無くなる。
多分こういうのを異世界ハーレムと言うのだろう。
多分こういうのを平凡な幸せと言うのだろう。
多分こういうのを生前世界の俺は羨ましがったのだろう。
そんな事を考えながら、くすっと笑うと、俺はまた目を閉じた。
…………
………………?
「だからですね、何故ドレーネと亞里亞ちゃんまで、エリゼのクビキさんにくっついているのかって話ですよ!」
「ねぇ、カエル女さん? 『エリゼのクビキさん』って何よ? 正妻気取りなの? 残念、クビキはあたしのものでしたぁー!」
「あー、いやいや、君たち。クビキは私の熱いヴェーゼを所望してるんだよ。彼はおっぱいが好きだからね」
「ドレーネ。いや、妖怪化け乳は黙ってて」
「ドレーネって、乳をクビキに向けるだけしか脳がないじゃない。クビキが好きなのは、ドレーネじゃなくて、そのおっぱいよ」
「あー、君たち。言っちゃいけない事を言ったよ。ドレーネさんは傷ついちゃったよ。もうクビキにこの傷を癒してもらうしかないなぁ。二人っきりで……しっとりと……」
「嘘はよくないです。化け乳。そのおっぱいガードのおかげで、傷なんかつきませんから、癒してもらう必要もありません」
「クビキはあたしの事を好きなんだから、エリゼやドレーネの出る幕は無いわ。あんた達は冒険者ギルドでも行ってなさいよ。その間にクビキは、私が優しく起こしてあげるわ」
「子供は向こうに行ってなさい」
「亞里亞ちゃんはあっちでお菓子でも食べてて下さい」
「だ!か!ら 子供扱いしないでよね‼︎」
ーーこれがキャットファイト……
俺は寝てるフリを継続する他なかった。
ちなみにその後、三人から、「私達の中で誰が一番好き?」と質問され、「優しい人」と答えたら、漏れ無く全員が、
「やっぱり私か」
「ほらエリゼです」
「それって、あたしね」
と、照れていた。
こいつらダメだなと思った瞬間である。




