橘 亞里亞!①
それは竜断斧を手にした次の日。
ドレーネは野暮用があると言って、早朝から何処かへ出かけてしまった。
ならばエリゼに、と声をかけたが、「喫茶店でアルバイトがあるんです……。エリゼも、今日は一日中クビキさんにくっついていたかったです……ちゅっちゅ」と、やんわり断られてしまい、喫茶店のアルバイトへ出かけて行った。
とりあえず冒険者ギルドで、一人でも攻略可能なギルドクエストを探していたその時だった。
「ちょっとあんた!」
……?
「あんた、そこのごっつい武器を担いでるあんたよ!」
背後から声が聞こえ、振り返るも誰もいない。
ーー最近、キツイクエスト続きだったから、疲れているのかもしれない。
「どこ見てるの! 下よ! し‼︎ た‼︎」
慌てて下を見ると、身長が俺の腹部あたりまでしかない少女がこちらを見上げている。
何故こんな場所に子供が?
「……ああ!」
「な、なによ?」
「お嬢ちゃん迷子かい?」
「違うわよッ‼︎ あたしはこれでも義賊系統のアサシンなんだからね!」
義賊系統のアサシン……?
義賊系統は多種多様な職種があり、様々な職についている冒険者を見かける。
第一次職
《ローグ》《シーフ》《ハンター》《ロープ》
第二次職
《アサシン》《スティーラー》《レンジャー》《スカウト》
第三次職
《ニンジャ》《シューター》
第四次職
《ダークストーカー》《ボウエキスパート》
ーーこんな子供がアサシン?
「あんた、今「こんな子供がアサシン?」とか考えたでしょ?」
「エスパーか何かかよ‼︎」
「まあ、いいわ! あんた名前は?」
「…………神喰 クビキ・レイフォード・エルミラントだ。クビキでいい」
「…………? どういう字を書くの? クビキの名前」
「多分、見てもわからないと思うぞ?」
そう言って、ステータス画面を開くと、少女に見せた。
「…………‼︎」
少女は驚いたような表情を浮かべ、俺の顔をまじまじと見ている。
「…………クビキ、あんた日本人なの⁉︎」
……………………
…………………………えっ?
「……何故そんな事を君が知っている⁉︎ 君は一体……」
少女は自分の左手甲に触れ、ステータス画面をこちらに見せた。
『橘亞里亞』
レベル20
『strength :3』
『defense :10』
『intelligence :0』
『mentality :0』
『dexterity :50』
『vitality :5』
『agility :32』
「橘 亞里亞……?」
「読めるって事は日本人なのね……」
「亞里亞はどうやってこの世界に……?」
「…………今日はクエストを誰かに手伝ってもらおうかと思っていたのだけど、そうもいかないわね……。クビキ、場所を変えて話しましょう?」
不思議な少女、橘 亞里亞は、俺と同じように生前の世界から来たようだ。
詳しく話を聞く必要がある。
亞里亞は俺の手を引くと近くにある喫茶店へと入っていった。




