竜断斧!
「随分と広い場所に出たな」
「うん……。広いねぇ……。早く黒血鉱石を採掘して帰りたい……」
俺達は、坑道内をさらに進み、広く開けた場所に辿り着いた。
この広場から道がいくつにも分岐し、以前までトロッコが走っていたと思われる、赤黒く錆びついたレールが、それぞれに延びている。
「クビキさぁーん! ここです、ここ! 綺麗な鉱石があります!」
エリゼがいる場所に、黒い透過性のある鉱石が見える。
それは壁に埋まり、素手では掘り出せそうに無い。
ーーそこで、このツルハシの出番というわけだ。
……ザクッザクッ。
しばらく岩壁を掘ると、黒い鉱石が地面に落下した。
それを拾い、光にかざすと、黒いガラスのような塊の中心部に、赤とも橙ともとれるような色が混じっている。
ーーこれが黒血鉱石でなかったら、何が黒血鉱石なのかと思うくらいにそれっぽい。
「目的は達成したぞ! 多分これが黒血鉱石だ! 違ってもこれが黒血鉱石なんだ‼︎ クエストは冒険者ギルドの受付に報告するまでがクエストだからな。帰るぞ!」
「やっと終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! やっと帰れるぅぅ‼︎ もう、絶対来ない! 坑道なんかもう来ない!」
「こんなに薄暗い所、早く出たいですね……。お風呂に入りたいです……」
俺達はヤケクソ気味のテンションで、黒血鉱石を袋に入れると出口を目指して歩き出した。
街に辿り着き、冒険者ギルドで採掘した鉱石を提示する。
それは間違いなく黒血鉱石で、成功報酬を受け取ることが出来た。
【採掘クエスト:黒血鉱石】
成功報酬30000S
「この報酬、私は要らないわ。クビキの武器を買うお金に当てていいよー!」
「私もそれでいいですよ」
「マジでか。じゃあありがたく頂戴するよ。ありがとうな、ドレーネ、エリゼ」
「武器屋はあそこにあるよー!」
ドレーネが指差した場所を見ると、白壁造りの小綺麗な武器屋が存在した。
中に入り、商品を眺めると、剣や槍、杖や弓など様々な武器が陳列されている。
ロングソード:32000S
ショートソード:18000S
鉄の槍:34000S
オークの杖:24000S
ロングボウ:20000S
武器というのは高すぎる。
ーーなにかリーズナブルで、極振り脳筋戦士にピッタリな武器はないものか……。
店内をキョロキョロと探していると、店の片隅に『ワゴンセール』と書かれた木箱があり、商品が無造作に放り込まれている。
ーーあった。
ーーあるじゃないか。脳筋戦士にピッタリな武器が。
俺の身長と同じくらいの大きさで、名前は竜断斧。
文字通りドラゴンの巨躯ですら切り落としてしまうほどの巨大な刃を持つ斧だ。
「店主、この斧はいくらだ?」
「それはワゴンセール品だからねぇ、買ってくれるなら20000Sでいいけど、この武器は凄く重くてねぇ……。
装備するのにstrengthポイントが最低でも40は必要なんだよ。
大抵strengthが40に到達するレベルなんて、他に強い武器がゴロゴロあるからねぇ」
今の俺でギリギリ扱える斧、それが20000Sで買えるのだ。
ーー乗るだろう?このビッグウェーブに。
「店主、この竜断斧をいただく」
「ありがとうございます。20000Sになりますねぇ……。プレゼント用にラッピングはなさいますか?」
「ーー…………えっ?」
「…………えっ? ……置物、インテリア用の装飾品じゃないんですか⁉︎」
「………………………………」
そんなこんなで新しい相棒、竜断斧を手に入れました。




