採掘クエスト:黒血鉱石!①
俺達が住む借家から冒険者ギルドまでは、徒歩三分とかなり近い位置にある。
ギルドクエストを受けるつもりがなくても、その日だけしか受けることが出来ない『デイリークエスト』に何が並んでいるのかを吟味するのもいいだろう。
「今日はめぼしいデイリークエストが無いわね……」
「クビキさんの武器を買いに行くのはどうですか?」
「確かに、欲しいけど金が無いな……。もう少しお金を稼ぎたい」
「じゃあ何か稼げるクエストをうけましょうか!」
「これはどうだ?」
【黒血鉱石の採掘:宝石加工職人からの依頼で、ステラ領北西にある坑道から黒血鉱石を採掘してきて欲しいそうです。採掘道具は坑道に転がっています】
採掘クエスト、特定の鉱石や原石を採掘し、冒険者ギルドに持ち帰ることで成功報酬と交換して貰える。
賢い冒険者は鉱石や原石を多めに持ち帰る。
それらを必要とする依頼が貼り出されたら、所持品の中からその場で報酬と引き換えるのだ。
「坑道採掘クエストね……。久しぶりの力仕事だわ……」
「ほら、そこらへんはstrength極振りの俺がいるからさ。掘りまくってやる。採掘は男のロマンだ!」
「クビキさん、期待しています! 坑道は強いモンスターが沢山いますから気を付けて行きましょう」
「エリゼの回復魔法に期待してるぞ。危なくなったら頼む」
「はいっ! 了解です!」
ステラ領北西、坑道。
山岳地帯の中には、鉱夫達の坑道がいくつか存在する。
鉱夫がいるのに冒険者ギルドに採掘を依頼するという事は、モンスターの存在があり、鉱夫達ではどうすることも出来ない、という状況に他ならない。
早急に鉱石が必要な場合は、今回のような採掘依頼を。
坑道を再使用したいという依頼者からは【掃討依頼:坑道のモンスターを一掃する】という依頼が冒険者ギルドに寄せられる。
ただ、【採掘依頼】より【掃討依頼】の方が、冒険者達の命の危険が強いため、契約金も格段に高い。
よほどの事がない限りは、掃討依頼は寄せられないのだ。
「不気味なとこだな……」
「やっぱり坑道って気温が低いねー!寒いなー!」
「ドレーネも、クビキさんにくっつけばいいんですよ。あったかいですよ」
「そう? じゃあ、悪いね。おじゃましまーす!」
エリゼとドレーネが両方の腕にくっつく。
ーーこれが異世界ハーレム。悪くない。悪くは無いけどさすがに恥ずかしい。
「ツルハシが、転がっている。 ……これで黒血鉱石を掘るんだな。結構簡単そうだ」
「ところで黒血鉱石ってどんな鉱石なの?」
「……? エリゼは知りませんよ? てっきりドレーネが知っているのかと……」
「いや、私も知らないなー。魔法使いは、ひたすら討伐系のクエストを受けるからね……。当然クビキも知らないよね?」
「全くわからない。これ、どうすればいいの?」
「しばらく坑道を探索して、それっぽいのがあったら片っ端からお持ち帰りしようかー!」
「そうですね! 黒血鉱石と言うのですから赤黒いのでしょうね」
何を持って帰ればいいのかわからないという、前代未聞で見切り発車な俺達は無事に黒血鉱石を見つける事が出来るのだろうか。




