討伐クエスト:ジャイアントデスワーム!
「思ってた以上にあれだな」
「思ってた以上にあれね」
「思ってた以上にあれです……」
「「「思ってた以上にうねうねしてるぅ!」」」
俺達三人はステラ領西側の耕作地帯に来ていた。ギルドクエストを受注し、現場に到着した途端に視界に飛び込んで来るジャイアントデスワーム達。
思った以上に、体皮は油か何かでネットリと光沢を放ち、ネバネバと口から粘液を撒き散らす。
うじゃうじゃ、うねうねと軽くショッキングな映像になっている。
上品に言えば、見ているだけで、存在そのものが不快に感じ、嫌悪感を抱く。
端的に言えば、キモい。
モザイクをかけてしまいたいほどだ。
駆逐しよう。俺の経験値のためにも駆逐しよう。
目測でどのくらいいるだろうか。
100、200では収まりがつかない。ひたすら畑を埋め尽くすジャイアントデスワーム達。
「でも、こいつらって、こちらに危害を加えてこないんだろ?楽勝じゃないか?」
「クビキさん、確かにジャイアントデスワームは敵対モンスターではありません」
敵対モンスター、人間を視認しただけで襲ってくるような、攻撃性の高いモンスターの事を指す。常闇の森のスリングバットもその例だ。
「だけどね、クビキ。こいつらは仲間意識が強くてね。1匹倒せば、周りのジャイアントデスワームが一斉に襲いかかってくるわ」
「1匹やれば後には引けないという事か。ちなみに、帰ってシャワーを浴びれるような場所はあるか?エリゼ」
「はい、クビキさん。エリゼはドレーネとルームシェアして暮らしているので、シャワーならそちらでどうぞ!」
「ありがとうな。それさえ聞ければ大満足だ。世界一滑稽で、世界一醜い、世界一華がないミミズ狩りといこうじゃないか!」
開戦の合図は、俺が振り下ろした鉄の棒にて果たされた。
一斉に跳ねて、体当たりを繰り出すジャイアントデスワーム。
粘液や油で俺はベトベトになる。
「………………」
エリゼは無言で手に持ったメイスをひたすら地面に叩きつけている。
回復やサポートはどうしたのだろうか。返り血や帰り粘液を浴びて暴走しているようにも見える。
「フレイムエッ……ぶふぅ! アイシク……リゅん‼︎」
ドレーネは魔法を繰り出そうとするも詠唱は途中で止められてしまう。少し涙目になっているのを俺は見逃さない。
そんな二人の事は置いといて、俺はというと……。
「ははははははははは‼︎ 当たるッ! 当たるぞ‼︎ 俺の攻撃が当たるっ! こんなにも嬉しいのかッ! ははははははははは‼︎」
思いのほか楽しんでいた。
攻撃が当たるという事は、こんなにも素晴らしいのかと改めて感じる。
「……………………」
なおも無言で地面にメイスを叩きつけるエリゼ。ジャイアントデスワームの体当たりが頭に直撃すると、しきりに小さく舌打ちが聞こえる。
ヤンデレって恐い。
「サンダースぴぃっ⁉︎…………プリズッぶぅ‼︎………………うぇぇぇぇぇ……もぉやぁだぁぁぁぁぁぁぁぁ……‼︎」
ドレーネはついに泣き出してしまった。
鼻水をぶら下げてわんわん泣き叫ぶ。
「甘いぜ‼︎ もっと来いよ‼︎ 俺には当たらないガフッ…………‼︎」
俺はまだまだジャイアントデスワームとの死闘を繰り広げていた。
三人合わせて既に100匹などとっくに討伐しているはずだ。
ただ連鎖的に全てのジャイアントデスワームが襲ってくるので、それを処理しなくてはいけない。
その後しばらく、俺達はジャイアントデスワームを相手に泥仕合を繰り広げていた。
全てのジャイアントデスワームを狩り尽くす頃には、三人とも何も喋らず、ベタベタで汚れた服のまま、王都ステラに帰還した。




