再会!①
再び、王都ステラの地を踏みしめる事が出来た俺は、喜びを感じながらも冒険者ギルドへと急ぐ。
街は相変わらず賑やかで、人々の明るい声や、笑い声を聞くだけでも元気が出るというものだ。
この大通りを走り抜け、あの角を曲がる。少し小高い丘を越えれば……。
目の前には12年という歳月を経てリニューアルをしたのか、外観が小綺麗になった冒険者ギルドが存在してた。
「クビキ?」
不意に背後から呼びかけられる。
振り返るとそこには、眼鏡をかけ、三つ編みの黒髪を下げた女性がこちらを見ている。
胸が凶器のように大きく鋭い。俺は一瞬にして、その胸に心を貫かれそうになる。
「やっぱりクビキだー! 元気してた? 変わりない? 相変わらず極振り⁉︎」
「ああ、元気だったぞ。ってか、極振りしか出来ねえから‼︎ …………に、しても、まさかチクリ魔委員長がこんなに美人な女性に変身してるとはな。驚いたよドレーネ」
「人の事を変なあだ名で呼ぶのはやめてー!クビキ君の事、先生に言うよー! ……ってね」
「はははは‼︎ それそれ‼︎ 懐かしいな! 他の奴らはどうしてるんだ?」
「ギドは相変わらずだね。昔と違うのは、スピードに磨きがかかってる事かな? 今は他国で国家任務を遂行中だとかなんとか……」
「ギドは、俺の唯一の男友達で、一番の理解者だったからな。いないのが残念だ」
「で、もう一方のエリゼなんだけど……」
ドレーネが、無理に口角を吊り上げ、困ったように苦笑いを浮かべる。
彼女は腕を上げると、俺の背後に向かって指差した。
「……あれ、だね……あはは」
振り返ると、冒険者ギルド内部の柱に隠れた、ブロンズヘアの女性。何故かカエルのお面を頭に付けている、とても目鼻立ちの整った、美しい女性がこちらを見ている。
「あれがエリゼ⁉︎ マジで言ってんの⁉︎ 女神2じゃん、あんなの‼︎」
「女神2? まあ、いいや。あの子、学校を卒業したクビキが田舎に帰っちゃったのが寂しくてねぇ……。それから変になったね。高飛車な感じも一切無くなった!」
「で、そのエリゼは何故隠れて出てこないのかな?」
「話しかけてくれるのを待ってるんじゃないのかなー? エリゼ心は難しいの……」
「ちょっと行ってくるわ」
俺は柱に隠れたエリゼの元に歩み寄る。
彼女は一瞬、ビクッとしたが、それを受け入れ覚悟を決めたようだ。
「よう、エリゼ。ただいま」
「……クビキさん、おかえりなさい……」
ーーあれあれぇ?
エリゼって、あの高飛車で、人を見下したような喋り方をするあの人ですよね?
ーーさん付け?
お嬢様ポジだと思っていたのに、予想外過ぎてさすがに驚きを隠せない。
「……うん、エリゼ、ちょっと待っててね」
エリゼから離れ、ドレーネの元に早足で距離を詰める。
「ちょっと、あれ何があったんだ⁉︎ 別人なんだけど‼︎ 俺の知ってるエリゼじゃないんだけど‼︎ 誰か知らない人なんだけど‼︎」
「私に言われてもわかんないよ! なんか日に日に元気が無くなっていって、でも今日、クビキを見つけた時の顔は、死んだ魚に水をやったような目をしていたよ!」
「いや、それ結局死んだ魚だよ‼︎ 水をやっても死んだ魚もいいとこだよ‼︎ ……とにかく、じっくり話を聞く必要があるな……」
俺はゆっくりとエリゼの所へ戻っていった。




