初めての転移
俺はH県K市に住む高校生。名前は庶民感のありふれた「山田鷹志」、周りからはなんのひねりもなく「たかし」、と呼ばれている。 いや、呼ばれていた。
高二の冬に夜のデート中、何かが弾けた音がしたと思ったら変なところにいた。
「何処だよここ、訳わかんねぇよ」
そう思ったのもつかの間、目の前にはいかにも女神だの神だのといった感じの女の人がいた。
「ここ何処だよ!ってかあんた誰!」
今はあまり覚えていないが怒っていたんだろう。かなり激しい口調で叫んだ。
「貴方はテロリストの流れ弾で亡くなりました。」
「(´・ω・`)?」
何を言っているかわからなかったがすぐに理解できた。あの時殺されたんだ。
「俺は死んだのか… 童貞のまま死んだのか。」
死んでいるのに死にたくなった。
「貴方は向こうの世界で亡くなりました。しかし、貴方の死はあまりにも理不尽過ぎました。そこで貴方に三つの選択肢を出します。好きな死後を選んでください。」
勝手に話が進んでいく。
「まず一つは天に召されること、そして二つ目は転生、最後の三つ目は貴方のいた世界とは違う世界に今の姿のまま召喚される。」
思ってはいけないことを思ってしまった。ファンタジー系のありきたりのパターンだと。俺はありきたりのパターンが嫌いだ。例えたら死亡フラグをたててお約束のように死んでいくようなのが大嫌いなんだ。
かといって大人しく天に召されるのも嫌だ、転生してこれまで得たものが無駄になるのも嫌だ。
「このまま引き下がるのは嫌だね。とことん暴れてやる。俺はあんたの言う別の世界に行く。」
「わかりました。しかし、あの世界は危険です。なので、貴方が欲しい物を三種類、無制限に持って行くことができます。物でなくても能力でも結構です。」
んんん? 無制限!? こんなに都合のいいことはない。さらに能力でもいいときた。
「なら銃をくれ、コルトのM1911 A1を二丁だ。それと45口径のコルト社製の弾丸、さらにアニメでよく見る二丁拳銃のスキルだ。」
「はい? なぜそんなものを?」
なぜって、逆に危険と聞いて銃を選ばない馬鹿がいるのか?
「弾丸は無制限、おまけに銃が壊れてもパーツを送れるようにしてくれ。」
「ええ? そんな、こと…」
俺の勝ちだ、無制限といってしまったんだ。無制限チートを使えねえなら身ぐるみひん剥いてやる、っといやらしいところが出てしまった。それにしてもあの驚き方、俺がおかしいのだろうか。
「早くしろ、どうせあっちで魔王かなんかと戦わされるんだろ?さっさと片付けてやるよ。」
「わ、わかりました。とりあえず気をつけてくださいね?貴方が選んだものは向こうの世界に着いたらすでに身につけてあります。」
「そうかい、じゃあな」
無愛想なさよならを言って何となく目を閉じたら、そこはそれまでの空間と違っていた。田舎に見えるが田んぼは無く、家が建っているが日本のものと異なっている。そして新しい死後の世界が幕を開けた。
向こうで死んで異世界にきた。町にはエルフ(?)や犬族(?)や人間が行ったり来たりしている。 まぁそこはいい、女神みたいだったあいつの言い草なら魔王かなんかと戦わなきゃいけないのは変わらないだろう。
「とりあえず、ギルドみたいなの探すか。」
なんだかんだで俺はファンタジー系のゲームをやっていたから、どうすればいいかよくわかる。
ってなわけでギルドに着いた
「いらっしゃいませ、ギルドの加入はこちらでお願いします。」
今まで言っていなかったが俺はかなりヤバイヲタクだ。こう言う世界の動きは大体わかるし、敵とみなした人間への仕打ちは人間じゃないとまでいわれた。
「登録しゅうりょうしましたー。」
「あざす」
「このギルドの冒険者はですね〜…」
ギルドのお姉さんが説明を始めたが何も聞いていない、こっちの世界でやることを考えている。
高校では教師からイジメを受けてたし、付き合ってそれなりにいい感じに進んでいたのに殺されて、挙句、女神にもキチ○イ扱いされた。
溜まったストレスは尋常じゃない。
「職業は何にされます?」
俺は銃を持っている。俺が選んだM1911 A1はピストルだから手の自由もきく、思いきって格闘家で行くことにした。
ギルドに入れたはいいが金がない。住民を殺して奪ってもいいが何か違う。
とりあえず仲間募集をしてから寝床を探した。
「とは言っても無銭じゃ鶏小屋が精一杯か…」
明日から金稼ぎをするから、今日は早く寝る。
朝が来てギルドに行くと変なのがいた。 女性だ。
見てくれは黒髪セミロングで杖を持っている。おそらく魔法使い。服は一言では説明しにくい、強いて一言で言えばダサかった。
「貴方か、パーティーを募集しているのは。私はユカリ、攻撃魔法を得意とする魔法使いだ! 私が貴方のパーティーに入った暁には…」
厨二かよ。まぁいないよりマシだな。
「俺は鷹志、とりあえず俺の弱小パーティーに参加してくれるのを感謝する。」
最初は礼儀正しく生きましょう。初対面で本性を表すのは流石にヤバイ。俺は自分でもヤバイと感じるサディストだ、女神様…あんたは人選を誤った。
「とりあえず今は駆け出しでお金が欲しい。これから何かクエストに行くのですが一緒に行きませんか?」
「ああ、構わん。私の魔法があれば下級モンスターなど….」
言い忘れていたがこのユカリとかいう女魔法使いは言動から見てあまり頭は良さそうじゃない、しかし見た目はなかなか俺のタイプだ。残念な美女とでも言っておこう。
年齢は15〜17歳くらい、身長は160センチほどだ。胸は…普通だ。
「これからは仲間として共に行動することが多くなる、お互いにタメ語で話し合おう。」
「構わない。」
俺からしたら威勢のいい返事に聞こえた、しかしそれが仮初めだということにゴブリン退治のクエストで気がついた。
「ぎゃあああああ!助けてください!鷹志さまぁぁぁ!」
使えなかった…
俺はというと、愛銃の銃口から火を吹かせ、スライドが後退するたびに飛び出る薬莢の山の中、着々とゴブリンをなぎ倒して行く。
「ちょっ…お前、杖は殴る武器じゃねえ!魔法使えやぁぁぁ!」
俺には二丁拳銃のスキルがあったからそもそも武器を持たないゴブリンを殺すのはわけない。しかしユカリはどうだ。戦闘序盤には呪文らしきものを唱えてはいたが、魔法は使っていない、そもそも使えるのか?
「ありがどうごじゃいます〜」
さっきのキャラがたっていない。そもそもたてる気もあるのかわからない。
「魔法使えよ。」
「使えません。」
(´・ω・`)
どうやらこのなんちゃって魔法使い詐欺師は動き回るものをピンポイントで当てることができないらしい。
さらにタチが悪く敵を殺したくないらしく、目を閉じて魔法を使う。なんで魔法使いしてんの…
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
厨二キャラが崩壊した。こんなやつとこの先一緒と思うと悲しくなって来た。
そんなこととは関係なくゴブリンに向けて撃ち続けた両手のピストルからは絶え間なく硝煙が上がり続けていた。