第4話 九条遼による、お嬢様語り
なろうの先輩方の速筆振りには、この若輩者はおののくばかりです…
言い訳とかじゃないんだよ、ほんとだよ?!
ただ、筆が進まない、それだけなんです…。
「…くじょー。」
「はい、どうされました?」
「………くじょ……」
すー……
あぁ、お眠りになられたか。
今日はかなり体力を使われたから、もう起きて来られないかもしれない。
俺は九条遼。
古くから高月家のお側付きの家系であり、子供が出来れば当主に紹介されるはずの九条家において、旦那様から存在を認識されていなかった、九条家の庶子である。
お陰で、お嬢様という俺の主人に出会うことが出来、存分にお仕えさせて頂くことが出来ている。
元々、俺は九条として扱われていなかった。
それはしょうがないものであり、理解も納得もしている。母は、心労により早々に亡くなった、とされている。…それが事実かどうかは分からないが。そもそも、母親の身分はないに等しく、只の性欲処理の結果、俺ができてしまったというのだから、救いようがない。
そういう理由もあり、将来は使い潰される駒となる子供としてしか価値はなかった。お嬢様に引き合わされたのも、20歳まで生きるかわからないが、従者がいないと外聞が悪い、というだけの理由であり、お嬢様が亡くなれば、再び駒として扱われるようになるのだろう事も分かっている。
お嬢様は、最初からこの世の存在に見えなかった。まるで天使のようだったなどと阿呆なことは言うつもりは無い。確かに美しく、病弱さによる儚さも相まって、人間としては最上級の美しさであるのは贔屓目を除いても確かだろう。
しかし、俺が言いたいのはそういうことではない。なぜそう感じたのかはわからないが、とにかく、この世界に定着していないように見えたのだ。
俺がお嬢様と会った時は、今よりさらに起きている時間が短かった彼女が昼頃に起きており、さらに、体調がそれなりに良いという、奇跡にも思える時間だった。
俺はその時、駒として生きてきていたので、お嬢様のお側付きになるかもしれない事にも、主人がほとんど起きていられないことにもあまり興味が無かった。主人となる人の求めに従い、言われたことをやればいいと思っていさえしたのだ。
しかし、彼女の前に立ち、自己紹介をした時に、世界は一変した。
「そう…。あなたがわたしの……。」
「よろしく、おねがいいたします。くじょー。」
そうお嬢様に言われ、今にもあの世へ旅立とうとしている風情で、どこか遠い場所から自身を見つめているような、この世には決して自分の信じるものはないのだと言うような、そんな瞳を見た時から、俺、いや私の人生は始まったのだと思う。
その後は、お嬢様の側に出来るだけ長く付くことができるように全力を出したおかげで、蔑ろにされていたはずが、かなり目をつけられてしまったり、唯一自由にしていい俺という存在が出来たお嬢様に、かなり振り回されたりと、前の自分からは想像できない程慌ただしい日々を過ごすことになった。
「……ん…」
何にせよ、この愛しい我が主を守ることが、私の使命であることは間違いない。
お父さんのプロフ、ちょっぴり変更です(´・ω・`)