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第1話 いつもの朝

…………


……暗い…








…………誰か……たすけ…








***



「ーーーーーーっ!」

「っ、紗良‼︎

起きたのっ⁉︎」

「紗良様っ!」


何か恐ろしい物が近づいて来たような気がして、慌てて目を開けた。…のだが。

目の前に、超絶麗しい顔と、軽めだがありえないほど整っている顔があった。



……いや、近過ぎですお兄様‼︎あと世話役!



いや〜、寝起きで麗しい顔がどアップだと、思わず再び夢の世界へ飛び込みたくなるわ。


じゃない!


「おはようござります、おにーさま、くじょー。

どうされたのですか。

おかおがちかいです。」

「いや、どうされたのかって…

お嬢様、昨日、ま」

「九条。

言わなくていい。」

「…申し訳ありません。」


…ははぁ、もしかして私、また高熱出して意識が朦朧(もうろう)としてたりしたんですね。

で、そんなこと聞かせて不安がらせるくらいなら、何も言わないでおこうって腹ですか。


……まぁ、いいですよ。

嬉しいですしね。


「それより、気分悪くないかい、紗良。

どこか痛いとか、何か欲しいとかがあったら、いくらでも九条に言っていいからね。」

「いくらでもってあんた…

まあ、お嬢様がおっしゃるなら何でもいたしますがね、はぁ…」


おい、おにーさま。

あんた結構九条に当たり強くないか?

まあ、いつものことだがな!


「だいじょーぶです、おにーさま。

というか、おにーさまはおじかんだいじょーぶなの

ですか?」

「うん、大丈夫だよ。

紗良はいい子だね。

…よし‼︎

紗良の寝顔も堪能(たんのう)できたし、もうお兄様は行くね。」

「やっとですか。

…全く、あんたがいってくださらないと寝起きの紗良様が堪能出来ないんですよ。

さっさと行っちゃってください。」


おい、世話役。

そこはかとなく犯罪臭がするぞ、その発言。

…っは!

もしや、ロリコンなのか、九条!


「(ックソ、羨ましいとか思ってないからな!)

紗良、そこの変態になにかされそうになったら、絶対に誰か呼ぶんだよ。

いいね?」

「…?

わかりました!

くじょーは、へんたいさんなのですね!」

「ぐっは!

お嬢様、それ位にしてください…

九条は、犯罪者になってお嬢様に会えなくなるような事はしないので、大丈夫ですよ…」

「そっか、それならだいじょーぶですね!」


うんうん、大丈夫ならいいんだよ、世話役よ。


「じゃあ、学校から帰ったらすぐにまた来るからね。

九条の言う事聞いて、いい子にして待っててくれるかい?」

「はい、おにーさま。

いーこにして待ってます。」


暇なんだよな〜、ベットにずっといるの。

…まあどうせ、すぐに寝るんだけどな!


「…ああ、紗良が可愛すぎて、学校行きたくない…!

ごめんね、すぐ帰って来るから‼︎」

「おい、早く行けよあんた。

行ってくるって言って何分経ったよ。

遅刻するぞ。

(紗良様が疲れます。早く行って下さい。)」


…?

なんかこそこそしゃべってる?


「(そうか。もう行く。)

じゃあ行くね、紗良。」

「はい、行ってらっしゃいです。」


「やっと行きましたね…

紗良様、顔色があまりよくありませんので、もう横になってください。」

「ごめんなさい、くじょー。

いっつもわたしはめいわくばかり…」

「大丈夫ですよ。

…さあ、お眠り下さい。

きっといい夢が見られますよ。」

「うん…

おやすみ、くじょー……」



いい夢、見られるといいな……












いきなり寝込んでいる主人公って…(泣)




豆腐メンタルにつき、優しく見守ってやって下さい…‼︎

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