その頃の陛下(になる予定)は①
ミディアンヌのお相手、陛下のお話。
普通の子供なので、ひらがな多めで読みにくいかもです。
おれの名はレアガルド・マッキア・エルフィアン。3さい。
この国のだい一王子だ。
好きなことはきしたちとの剣の訓練とか、たんれんをすること。運動することが好き。
逆にきらいなことはかていきょうしたちの勉強とか、他のきぞくたちとのおしゃべり。あいつらおれと会うたびに「でんか、でんか」とよってきて、何かよく分からねー話を始めんだ。でも話を聞くかぎり、この国はとてもへいわで、うるおっているらしい。
それでもやっぱりきしたちといた方が楽しい。
そんなおれだが、さすがにだい一王子だから国王になるために勉強しなければならない。
だから今日、国王であるお父上さまがおれを、じょうか町につれて行ってくれる。
じつはすっごい楽しみだったんだ。きぞくたちが言ってるへいわでうるおっている国。どんなこうけいなのか、すごく楽しみなんだ。
それをお父上さまに伝えたら、すごくこわい顔をして言ったんだ。
―――本当にそうなのかはお前が決めろ。
ってね。本当にこわかったよ。
そしておれたちはいこくのししゃたちが来るときに使う大きな門じゃなくて、くらいのひくい使用人がつかう小さな門から出た。おうじょうをうまれてはじめて出た。
今日はお父上さまと二人だけだから、世に言うおしのびってヤツだ。
お父上さまがおれの歩調に合わせてゆっくり歩いてくれる。道はきちんとほそうしきれていなくて歩きにくい。だからころばないようお父上が手をつないでくれる。
「良いか?今でもそうだが、私から決して離れてはならない。死にたくなければ絶対に離れるな」
おれはお父上さまの言っているいみがよく分からなかった。
だって、この国はうるおっていて、あぶないことなど無いってきぞくたちが言ってたからだ。
おれはお父上さまにそのことを言った。
そしたらお父上さまはこう言った。
「お前がこれから見るのはこの国の真実だ。目を逸らすな」
しんじつ?お父上さまの話はいつもむづかしいものばかり。おれにはとうてい理解できない。
こんなことを思っていたらちらほら小さないえが見えてきた。
そのいえは、おうじょうとは“てんとちほどのさ”があった。おれのへやよりも小さなものもあった。
「フードは絶対に取るな」
おれは父上になぜかと聞いた。
「お前の身を守るためだ。大丈夫だ、安心しろ。襲われても私が着いている。お前は絶対に戦うな」
よく分からないけど、お父上さまが言うんだったら止めておこう。今のお父上さまにあんまりめいわくをかけたくない。
お父上さまはおれがしつもんをするたびに顔がこわくなっていくんだ。
このままだと、あのきびしくてもやさしいお父上さまが消えてしまうような気がしたから。このままただこわくておそろしい人になっちゃう気がしたから。
だからそれまでずーっと足下を見て歩いた。フードがじゃまで前がよく見えないこともあるけど、お父上さまのこわい顔を見たくなかった。
だからおれは気がつかなかった。うつむいたおれの頭をお父上様がかなしそうな目で見ていたことに。
だんだん周りがさわがしくなってきた。
「顔を上げろ」
お父上さまにそう言われたので、おれは顔を上げる。
そこはたぶん、しょうてんがいっていうものだった。
人がたくさんいた。みんな、笑っていた。
おれは、なんだぁ、って思った。
だってみんな笑ってるから。だからこの国はへいわだ。きぞくたちが言っているとおり、この国はへいわなんだ。
お父上さまがおれの手を引いていく。おれはだまってお父上さまについて行った。
おれはあれって思った。お父上さまが向かったのは、人がたくさんいるしょうてんがいじゃなくて、おみせとおみせの間にある、うすぐらい道だったから。
おれはお父上さまが道をまちがえたのかと思った。だから言った。
「お父上さま?ここはちがうのではないですか?」
お父上さまはこう答えた。
「あっているよ。あそこは国の『表』なんだよ。今から見るのはこの国の『裏』であり、真実だ」
………まったく分からない。
おれはそのことをお父上さまに伝えた。
お父上さまは笑って言った。
「大きくなれば分かる」
やっぱりよく分からない。
おれが首をかしげていると、だんだん変なにおいがしてきた。とってもくさい。
おくに行くにつれて、においが強くなっていく。
そこでおれは――――
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