表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢の改革記  作者: 内田美紀
2章 そして歯車は廻り出す。
10/14

見ちゃいました。

「お嬢様ぁー!。朝食の時間でございますよぉー!。早く起きてくださいませー!」

「ふえええぇぇ!」


 どうも、おはようございます。

 私、ミディアンヌ、今日も元気に寝坊いたしました。


「お嬢様ー!今日のお召し物はこちらですぅー!」

「はいぃぃ」


 今日は、黄色の明るめのワンピースで、お母様と一緒の群青色の髪によく映えます。

 自分で言うのも何ですが、私、かなり美少女なのです。

 さっきもいったように、髪はお母様と同じ群青色。眼はお父様と同じ薄い青で垂れ目気味。体はまだ、幼児体型ですが、この調子ですと結構期待できます。

 髪は女の象徴として長いです。私は胸くらいですが、お母様は腰以上ありましたよ。あ、ゆるゆるウェーブもおそろいですね。

 兄様はお父様のクリーム色と、お母様の蜂蜜色です。男ですから髪は短めですね。


 ここの家は必要最低限の人しか雇っていません。それに私は強いですから。食堂までなら一人で行けます。と言うか、朝はほとんどの使用人が忙しいので、必然的に一人で行くことになります。


 私は食堂の前につくとその両開きの扉をノックする。すると、扉の片方が開く。見慣れた侍女が顔を覗かせ、私を見るとすぐに笑顔になる。……そりゃそうですよね。一応主と同格ですから。


「お嬢様がいらっしゃいましたわ」


 そして私が部屋に通される。こそにはすでに家族がそろっていました。寝坊したのは私だけですか。


「お父様、お母様、兄様、おはようございます」


 家族ですが、一応貴族なので形式上挨拶はきちんとしなければなりません。


「おはようミディ」

「おはよう」

「おはよう」


 上からお父様、お母様、兄様です。


「今日はずいぶんと遅かったわね」

「うっ……」

「勤勉なのはいいけど、書庫のこもるのはやめなさいとあれほど言ったのに」


 そうなんです。昨日、かなり興味深い資料を見つけてしまったのです。あ、これ伏線ですので覚えておいてください。そしてそのまま読んでいたら、夜も更けてって、ことになってしまったのです。


「でも……」

「でも、なあに?他の人に迷惑がかかったのは確かなのよ?」

「……言い返す言葉もございません」


 にこにこ笑顔のお母様に静かに怒られます。これ程恐ろしいものがこの世にあるのでしょうか。私は知りません。あったら教えてください。


「まあまあ、お母様。落ち着いてください」


 兄様、お母様は十分落ち着いておられます!


「朝食が運び込まれましたし、そこまでにしておきましょう」

「そうね。ミディ、次にしたら書庫進入禁止にしますからね」

「はい!心得ますっ!」


 ありがとう兄様、助かりました!


 ふう、ようやく座れた。

 気をつけなければなりませんね。


◇  ◇  ◇


 さて、恐怖の朝食をくぐり抜け、平穏なる午前。


 さっき伏線だと宣言したとおり、例の資料を読み進めようと思います。実はこの資料、そこそこ古い本の中から出てきたのです。しかも新しい。なんかくさかったので、読んじゃったんですよ。え、何でそう感じたか?女の勘ですよ。それ以外にありません。


 それで中身なのですが、私どうも、やっちゃったみたいなのですよ。これ資料じゃなくて書類でした。しかも極秘なのです。っていうか、上に㊙って書いてあるのが分からず、読んじゃいました。読むとまぁ、なんと言うことでしょう。この国の各地からの報告書ではありませんか。

 お父様が宰相だから家にあってもおかしくありませんが、何故本の間に挟まっていたのでしょうか。その本を資料として使ったら、片付けるときに間に挟んでしまった、みたいな感じですかね。


 取りあえず、見てしまったものはしょうがないとして、内容が無視しがたいのです。

 素人の私が見てもおかしいと思う。この報告書が書き換えられていないとしたら、これは――――――


 私は気付くと書類を握りしめ、部屋を飛び出していた。


「お嬢様!?」

「お父様は何処!」


 ちょうど部屋の前を通りかかった、執事が驚きの声を上げる。私はこれ幸いと思いっきり声をかけた。


「ほ、本日は王城の方に出向かれていらっしゃいます」

「お帰りになるのは?」

「遅くなると言うことなので、向こうに泊まられる――――お嬢様!お待ち下さい、何処に向かわれるのですか!」

「王城へ!」


 何で今日に限ってお城にいらっしゃるのですか、お父様!

 私は窓を勢いよく開けて、飛び出す。もちろん風の魔法を使って飛ぶ。


 私はこのとき、自分で驚くほど動揺していました。

 でもそんなことを気にしている余裕などありませんでした。


 このことはある程度予想していましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。

 この国、早くしないと壊れてしまう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ