見ちゃいました。
「お嬢様ぁー!。朝食の時間でございますよぉー!。早く起きてくださいませー!」
「ふえええぇぇ!」
どうも、おはようございます。
私、ミディアンヌ、今日も元気に寝坊いたしました。
「お嬢様ー!今日のお召し物はこちらですぅー!」
「はいぃぃ」
今日は、黄色の明るめのワンピースで、お母様と一緒の群青色の髪によく映えます。
自分で言うのも何ですが、私、かなり美少女なのです。
さっきもいったように、髪はお母様と同じ群青色。眼はお父様と同じ薄い青で垂れ目気味。体はまだ、幼児体型ですが、この調子ですと結構期待できます。
髪は女の象徴として長いです。私は胸くらいですが、お母様は腰以上ありましたよ。あ、ゆるゆるウェーブもおそろいですね。
兄様はお父様のクリーム色と、お母様の蜂蜜色です。男ですから髪は短めですね。
ここの家は必要最低限の人しか雇っていません。それに私は強いですから。食堂までなら一人で行けます。と言うか、朝はほとんどの使用人が忙しいので、必然的に一人で行くことになります。
私は食堂の前につくとその両開きの扉をノックする。すると、扉の片方が開く。見慣れた侍女が顔を覗かせ、私を見るとすぐに笑顔になる。……そりゃそうですよね。一応主と同格ですから。
「お嬢様がいらっしゃいましたわ」
そして私が部屋に通される。こそにはすでに家族がそろっていました。寝坊したのは私だけですか。
「お父様、お母様、兄様、おはようございます」
家族ですが、一応貴族なので形式上挨拶はきちんとしなければなりません。
「おはようミディ」
「おはよう」
「おはよう」
上からお父様、お母様、兄様です。
「今日はずいぶんと遅かったわね」
「うっ……」
「勤勉なのはいいけど、書庫のこもるのはやめなさいとあれほど言ったのに」
そうなんです。昨日、かなり興味深い資料を見つけてしまったのです。あ、これ伏線ですので覚えておいてください。そしてそのまま読んでいたら、夜も更けてって、ことになってしまったのです。
「でも……」
「でも、なあに?他の人に迷惑がかかったのは確かなのよ?」
「……言い返す言葉もございません」
にこにこ笑顔のお母様に静かに怒られます。これ程恐ろしいものがこの世にあるのでしょうか。私は知りません。あったら教えてください。
「まあまあ、お母様。落ち着いてください」
兄様、お母様は十分落ち着いておられます!
「朝食が運び込まれましたし、そこまでにしておきましょう」
「そうね。ミディ、次にしたら書庫進入禁止にしますからね」
「はい!心得ますっ!」
ありがとう兄様、助かりました!
ふう、ようやく座れた。
気をつけなければなりませんね。
◇ ◇ ◇
さて、恐怖の朝食をくぐり抜け、平穏なる午前。
さっき伏線だと宣言したとおり、例の資料を読み進めようと思います。実はこの資料、そこそこ古い本の中から出てきたのです。しかも新しい。なんかくさかったので、読んじゃったんですよ。え、何でそう感じたか?女の勘ですよ。それ以外にありません。
それで中身なのですが、私どうも、やっちゃったみたいなのですよ。これ資料じゃなくて書類でした。しかも極秘なのです。っていうか、上に㊙って書いてあるのが分からず、読んじゃいました。読むとまぁ、なんと言うことでしょう。この国の各地からの報告書ではありませんか。
お父様が宰相だから家にあってもおかしくありませんが、何故本の間に挟まっていたのでしょうか。その本を資料として使ったら、片付けるときに間に挟んでしまった、みたいな感じですかね。
取りあえず、見てしまったものはしょうがないとして、内容が無視しがたいのです。
素人の私が見てもおかしいと思う。この報告書が書き換えられていないとしたら、これは――――――
私は気付くと書類を握りしめ、部屋を飛び出していた。
「お嬢様!?」
「お父様は何処!」
ちょうど部屋の前を通りかかった、執事が驚きの声を上げる。私はこれ幸いと思いっきり声をかけた。
「ほ、本日は王城の方に出向かれていらっしゃいます」
「お帰りになるのは?」
「遅くなると言うことなので、向こうに泊まられる――――お嬢様!お待ち下さい、何処に向かわれるのですか!」
「王城へ!」
何で今日に限ってお城にいらっしゃるのですか、お父様!
私は窓を勢いよく開けて、飛び出す。もちろん風の魔法を使って飛ぶ。
私はこのとき、自分で驚くほど動揺していました。
でもそんなことを気にしている余裕などありませんでした。
このことはある程度予想していましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。
この国、早くしないと壊れてしまう!