転生とやらをしたようです。
私の名前は石田里照です。一応17歳です。
いえ、正確に言うなら、でした、です。
説明をしますね。
りで、なんて奇妙な名前ですが、私結構気に入っていたんです。
そう申しますのは、私は小さい頃から病気がちで、都会の大きな病院にこもっていて、自然の溢れる里にあこがれていたからです。
里を照らす。両親は、どんなところにも光を届ける太陽のように、どんな人にも手をさしのべる子になってほしいと、願いを込めたのです。
そんなことはおいといて。
私の体はとうとう限界を迎えていました。
あるとき、かかりつけの医師に告げられた余命。
その残り時間はあまりにも短く、家族は皆涙を流し、私を哀れんでくれました。
ですが私は余命を告げられたとき、ようやくか、と思っていました。不思議と恐怖はありませんでしたね。
私は家族に言いました。
――――私は大丈夫だよ。来世でしっかり生きてくから。
そうおちゃらけて、言いました。
家族はこれを冗談としてとらえたようですが、私は本気でした。
そうして、石田里照の人生は幕を閉じたのです。
冒頭に戻ります。
現在私は暗ぁーい空間に魂だけで浮いている状態です。
何故分かるかって?女の勘ですよ。
と、言ってもどうしましょうか。
生まれ変わる方法も分かりませんし。
うーんと悩んでいたら、前方に人が現れました。
その人は大変綺麗な方で、金髪と金目のキラキラした男の人でした。
18歳くらいですかねぇ。私と同じような歳かと思います。
〔君が里照ちゃん?〕
(はい、そうです)
声は出ませんよ。魂だけですから。
〔よかったぁー。違ったらどうしようかと……〕
むむ?私は声を出していないはず……。
〔聞こえるよぉー?だって僕は神なんだから〕
おぉ、テンプレ。このまま転生フラグが立っちゃいそうです。
〔うん。立ってるよ?その、てんぷれっていう風な使命を与えて僕の世界に送り込むつもり〕
まさにテンプレ。ちなみに聞きますけど―――
(何で私なんですか?)
〔バグが起きたんだ〕
(バグ?)
〔そうバグ。君は元々こちらの世界に生まれるはずだったんだ。なのに誰かが、『 』に干渉してこちらの世界におけなくなっちゃったんだ。
君って昔から体が弱かったのはその所為だったんだよね。寿命が短かったのも〕
なるほど、私のその所為で体が弱かったんですね。
というか、聞き取れない部分がありましたね。
〔気にしなくていいよ。人間には必要のない『 』だから〕
あ、また。まぁ、気にしなくていいって言っているのですから、気にしなくてもいいでしょう。
〔さっぱりしてるね。まいいや。君には王妃になってもらうよ〕
(いきなり王妃!?)
〔ごめん言葉が足りなかった。いつか王妃になる存在になってもらうよ。というのも、この国は賄賂やら誘拐やらかんやらが横行しててね、君にそれを止めて、国の治安向上を図ってほしいんだ〕
テンプレですねぇ。よくある話です。
〔とりあえず、よろしくね~〕
とりあえずでいいのでしょうか。
まぁ、そんなこんなで私、転生しちゃったみたいです。