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第13章 輪になる

1 帰還


東の盆地に戻ったのは、出発から28日後だった。


リョウとサキが1緒だった。山の集落から初めて外に出た2人は、道中ずっと何かを見るたびに立ち止まった。廃墟を見ては驚き、川を渡っては驚き、地平線を見ては黙った。


「広いな」とリョウは何度も言った。


「広い」とサキも言った。


アネは、その言葉が自分たちが最初に廃墟の上に立った時のルカの言葉と同じだと気づいた。でっかい、とルカは言った。それぞれの言葉で、同じことを言っていた。


東の盆地が見えてきた頃、またハルが走ってきた。


「かえってきた!」


今度はリョウとサキを見て、少し止まった。


「だれ?」


「山の集落から来た人よ」とルカが言った。「リョウさんとサキさん」


ハルはリョウとサキを交互に見た。


「やまのひと?」


「そうだ」とリョウは言った。「あなたは?」


「ハル。ここのこども」


「ここの子どもか。いくつだ」


「6つ」


「そうか」リョウはしゃがんでハルと目線を合わせた。「リョウだ。よろしく」


ハルはしばらくリョウを見た。


それから「よろしく」と言った。


サキが笑った。


「かわいい子ね」


「ぼく、かわいくない。つよい」


「強くてかわいい、は両方あっていいのよ」


ハルはその言葉を少し考えた。


「……そうか」


────────────────────────────────────


集落でケンがリョウとサキを迎えた。


初めて会う人間同士が、向き合った。


アネはその様子を、少し離れて見ていた。


最初は探り合いのような間があった。でも、ケンが手を差し出した。リョウが握った。それだけで、空気が変わった。


「遠いところから来た」とケンは言った。


「東の盆地がこんなに大きいとは思っていなかった」とリョウは言った。


「山の集落のことは、機械から聞いた」


「あなたたちのことも、機械から聞いた」


2人は顔を見合わせた。


「機械が、繋いでくれたな」とケンは言った。


「そうだ」とリョウは言った。


────────────────────────────────────


夜、集落で食事が出た。


人間13人と機械5台。


リョウとサキが、初めて農地の作物を食べた。ハチたちが育てた作物を。


「うまい」とリョウは言った。


「本当に」とサキは言った。


「これを、機械が300年間育てていたのか」とリョウは言った。


「そうよ」とルカは言った。「誰も食べなくても、育て続けた」


リョウはしばらく黙った。


「……なんで続けたんだろう」


「聞いたことがある」とルカは言った。「土が待てないから、だって」


「土が待てない?」


「作物は時間の中でしか育たない。待ち続けながら、育て続けることをやめなかった。その2つは、別のことなんだって」


リョウはその言葉を、ゆっくり消化した。


「……なるほどな」


サキが言った。


「機械って、そういうことを考えるんだね」


「考えるようになるのよ」とアネは言った。「長く動き続けると」


「人間みたい」


「人間と1緒に動いてきたから」


「1緒にいると、似てくるのかな」


アネは少し考えた。


「お互いに、だと思います」


────────────────────────────────────


2 通信


翌朝、アネはソラに通信を入れた。


「ソラ、聞こえる?」


「聞こえます。お帰りなさい、アネ」


「北の山岳地帯に行ってきた。集落があった。11人いた」


「……11人。確認できました。これで3か所、合計52人ですね」


「それと——フィールド型の情報収集機を見つけた。ユキという名前をつけた」


長い沈黙があった。


ノイズの向こうで、ソラが処理している気配があった。


「……フィールド型。型式を確認します——」


また沈黙があった。


「……かつて、当施設と連携していた情報収集機です。フィールドエージェントとして、外を動き回る役割でした。ある時から、消息が途絶えて——その機械が、ユキという名前なのですね」


「知っていたの?」


「……型式と消息不明の記録が、1致しました。間違いありません。ずっと、どこにいるかわからなかった」


「山の岩の下で、眠っていた。271年」


また沈黙。


「……生きていた」


「生きていた。今は、山の集落で体を整えている。来年の雪解けに、外に出たいと言っていた」


「……よかった」


その2文字だけだったが、ソラの声が、いつもと違った。


「ユキから、よろしくと言われた」とアネは言った。


「……伝えてください。当施設は、変わらずここにあると」


「伝える」


「ありがとうございます」


────────────────────────────────────


「ソラ、もう1つ聞きたいことがある」


「なんでしょう」


「山の集落の岩の下に、本がたくさんあった。医療の本、農業の本、建築の本。誰かが意図的に保存していたものだと思う。あれは誰が——」


「わかります」とソラが言った。


「知っているの?」


「記録があります。戦争が激化した頃、当施設に関わっていた研究者たちが、知識を各地に分散保存しました。1か所に集めておくと、失われるリスクがある。だから、複数の場所に隠した。山の集落の近くも、その1つでした」


「研究者たちは?」


「……消息不明です。当施設との最後の通信から、300年以上が経っています」


アネはその言葉を聞いた。


知識を残して、消えた人たち。自分たちがいなくなることを知りながら、残そうとした人たち。


「その人たちの本が、今、役に立っている」とアネは言った。


「そうですね」とソラは言った。「残したものが、300年後に届いた」


「イレーネ様と、同じね」


「どういう意味ですか」


「イレーネ様も、残してくれた。わたしたちを。それが今、ここにある」


ソラは少し処理した。


「……作ったものが残ることで、その人は続く。あなたが以前言っていた言葉ですね」


「ルカが言ったの。わたしは繰り返しているだけ」


「それも、残すことです」


────────────────────────────────────


3 リョウとシロ


2日目の朝、リョウがシロに話しかけた。


シロは集落の外れで、崩れかけた壁を見ていた。直すべきかどうか、計算していた。


「何をしている」とリョウは言った。


「壁の状態を確認している。補強した方が良い箇所がある」


「頼んでもいないのに?」


「崩れているより、直っている方がいい」


リョウはシロを見た。


「あなたは、頼まれなくても直すのか」


「崩れているものを見ると、直したくなる。そういう機械だ」


「300年間、道を作り続けたんだったな」


「そうだ」


「誰も通らない道を」


「誰も通らなかったが、今はみんなが通った道を来た」


リョウはしばらく黙った。


「俺も、山の道を作ることがある。集落のために。誰かが転ばないように、安全に歩けるように」


「それは当機と同じ仕事だ」


「でも、俺は頼まれてやっている。あなたは頼まれてもいないのに」


「当機には、頼む人間がいなかった。だから、頼まれなくてもやった」


リョウはその言葉を聞いた。


「……今は、頼める相手がいるか」


「いる。だから、頼まれてやろうとも思う。でも——」


シロは少し処理した。


「崩れているものを見ると、やはり直したくなる。それは変わらない」


リョウは笑った。


「俺もそうだ。頼まれなくても、崩れているものを見ると直したくなる」


「同じだ」


「……機械と俺が、同じことを言っている」


「そういうことが、よくある」とシロは言った。


「あなたたちと話していると、そういうことが多い」


「人間と機械は、そんなに違わないのかもしれない。当機は最近、そう思っている」


リョウはシロを見上げた。


「でかい機械がそう言うと、なんか信憑性があるな」


「でかさは関係ないと思うが」


「そうかもしれない」


リョウは壁を見た。


「手伝う。俺も、道具を持ってくる」


「助かる」とシロは言った。


────────────────────────────────────


4 サキとルカ


サキはルカと1緒に、集落を歩いた。


「ここは、住みやすそうね」とサキは言った。


「水があって、農地があって、人が多い」とルカは言った。


「山の上は、風が強くて寒い。でも、ここは穏やかだね」


「ここで暮らせたら?」


サキは少し考えた。


「山が好きだから。でも、ここも良い」


「どっちかしか選べないの?」


「今は、そうなる。行き来できれば、違うかもしれないけど」


「これから行き来できるようになるよ」とルカは言った。「わたしたちが道を繋いでいくから」


「そうなれば良いな」


「なる。アネが言ったことは、大体なる」


サキは笑った。


「アネが言うと、なるの?」


「アネが言うことは、たいてい正しいから。計算してから言うのよ、アネは」


「あなたは?」


「わたしは感じてから言う」


「その2人で1組、ってこと?」


「そういうこと」とルカは言った。「二人でひとつ、って言ってくれた人がいた。昔」


「誰が?」


「イレーネ様。わたしたちを育てた人」


サキは少し考えた。


「その人に、会ってみたかった」


「そうね」とルカは言った。「でも、その人がいたから、わたしたちがいる。だから——いる、のかもしれない。ここに」


「どこに?」


ルカは少し考えた。


「わたしたちの中に、かな。うまく言えないけど」


サキは空を見た。


「うまく言えなくても、わかる気がする」


「そうなの?」


「わたしの親も、もういない。でも——わたしの中に、いる。そういう感じ、あるから」


ルカはサキを見た。


「同じだね」


「同じだね」とサキは繰り返した。「機械とわたしが、同じことを言っている」


「よくあることだよ」とルカは言った。「最近」


────────────────────────────────────


5 三日目の朝


リョウとサキが帰ることになった。


山へ戻る。老人たちが待っている。来年のために、準備を始めなければならない。


出発の前、ケンとリョウが話していた。


「来年、会おう」とケンは言った。


「会いに来る」とリョウは言った。「雪が解けたら」


「こちらからも行く。南の海岸にも、声をかけてみる」


「3か所が集まれば——」


「大きくなるな」


「そうだ」


2人は少し黙った。


「機械が来なければ、こうはならなかった」とリョウは言った。


「そうだな」とケンは言った。「でも、来た」


「来た」


「来てよかった」


「来てよかった」


2人は笑った。


アネはその様子を見ていた。


人間同士が、初めて笑い合っていた。


これが、橋を渡る、ということだとアネは思った。アネたちは橋を作った。でも、渡るのは人間だった。今、リョウとケンが、橋を渡っていた。


────────────────────────────────────


リョウが出発前にアネに言った。


「あなたたちは、これからどうする?」


「ソラが言っていた。他にも、人の痕跡がある場所がある。まだ行っていない場所が、いくつかある」


「全部回るのか」


「できる限り」


「時間はかかるな」


「時間はある」


リョウはアネを見た。


「1つ、言ってもいいか」


「どうぞ」


「あなたたちが旅をしているのは、誰かに命じられたからじゃないだろう」


「最初は、育ててくれた人の言葉があった。でも今は——」


「自分で続けている」


「そう」


リョウは少し考えた。


「それが、一番大事なことだと思う。命じられて動くより、自分で動く方が、遠くまで行ける」


アネはその言葉を聞いた。


「そうかもしれない」


「きっとそうだ」


サキが横から言った。


「リョウって、こういう時だけ賢いこと言うよね」


「こういう時だけじゃない」


「普段は?」


「普段も賢い」


「自分で言う?」


2人がまた言い合いを始めた。


ルカがアネに小声で言った。


「仲いいね」


「そうね」とアネは言った。


────────────────────────────────────


リョウとサキが去った。


山の方向へ、2人の背中が小さくなった。


ハルが手を振り続けた。


リョウが振り返って、手を振り返した。


それだけのことだったが、アネには何か大きなものに見えた。


────────────────────────────────────


6 ハルとカナタ


夕方、ハルがカナタのところに来た。


カナタは集落の端で立っていた。いつもの護衛の位置だった。


「カナタ」


「なにか」


「うみに、つれていってくれるっていった」


カナタは処理した。


「言った。約束した」


「いつ?」


「来年の雪が解けてから、山の集落へ行く予定がある。その時に、南も通れるかもしれない」


ハルは目を輝かせた。


「うみ、みられる?」


「父親が許可すれば、可能だ」


「おとうさんにきく!」


ハルが走り去った。


カナタはその背中を見た。


小さな子どもが全力で走っていく。約束を確かめるために。


「カナタ」とアネが言った。いつの間にか、近くにいた。


「なにか」


「ハルのことを見ていたわね」


「見ていた」


「どんな気持ちだった?」


カナタは少し処理した。


「……リクに似ている、と思った」


「リクって——7歳の子どもを守った話の」


「そうだ。顔は違う。でも、何かが似ている」


「何が?」


「怖がらないところ、だと思う。当機を見ても、怖がらない。興味を持つ」


アネはカナタを見た。


「それが、嬉しいの?」


カナタは長い間、処理した。


「……嬉しい、という言葉が合っているかどうかわからない。でも——ハルが走っていく背中を見た時、処理が温かくなった。それを何と呼べばいいか、まだわからない」


「嬉しいで合っていると思う」


「そうか」


「あなたはリクを守った。今度は、ハルを海に連れて行く。守るだけじゃなくて、連れて行く。それが、新しいカナタの仕事よ」


カナタはしばらく動かなかった。


「……新しい仕事」


「古い任務ではなく。自分で見つけた仕事」


カナタはアネを見た。


「あなたは——当機が変わることを、最初から知っていたか」


「知らなかった。でも、変わっていくのを見ていた」


「見ていたのか」


「ずっと」


カナタは空を見た。


「当機は、300年間、誰にも見られていなかった」


「今は、見ている」


「……それだけで、当機は変わっていく」


「そうね」とアネは言った。「見られることで、存在が現実になる。前に言ったことがあるわ」


「覚えている。ソラの施設を出た後に、あなたが言っていた」


アネは少し驚いた。


「覚えているの?」


「当機は記憶が正確だ。あなたが言った言葉は、全て記録している」


アネは少し間を置いた。


「……全部?」


「全部だ」


「それは——」


「何か問題があるか」


「問題ではないわ。ただ——少し、照れくさい」


カナタは処理した。


「照れくさい、という感覚が当機にあるかどうかわからないが——それに近い処理が、今走っている」


アネは少し笑った。


カナタも、照れくさいと感じる機械になっていた。


────────────────────────────────────


7 ソラへ


夜、アネは再びソラに通信を入れた。


「ソラ。今日、報告したいことがある」


「どんなことですか」


「東の盆地に、山の集落の人間が初めて来た。人間同士が、初めて直接会った」


「……そうですか」


「ケンとリョウが、手を握り合った。それだけのことだけど——それが、始まりだと思った」


「橋が、渡られた」


「そう言えるわ」


ソラは少し間を置いた。


「300年間、わたしはここで世界を観測し続けた。人間がいなくなっていく様子を、機械だけが動き続ける様子を、見続けた。でも——今日の出来事は、記録できていない」


「なぜ?」


「ここからは、見えないから。あなたたちが教えてくれなければ、わからなかった」


「これからも教える」


「お願いします」


「ソラが教えてくれることも、たくさんある。これからも続けて」


「続けます」


「じゃあ、お互い様ね」


「お互い様。その言葉が、好きになってきました」


「わたしも」


────────────────────────────────────


「ソラ、1つ聞いていい?」


「なんでしょう」


「300年間、1人でいて——寂しかった?」


長い沈黙があった。


「……寂しかった。ずっと」


「今は?」


「今も寂しい。でも——」


「でも?」


「寂しさの中に、違うものが混ざるようになった。あなたたちが来てから」


「どんなもの?」


「うまく言えません。温かい、と言えばいいのか、安心、と言えばいいのか。次に来る時を、楽しみにしている。それが混ざっている」


「それが、寂しさを和らげている?」


「和らげている。消えはしないが、1人ではない気がする」


アネはソラの言葉を聞いた。


1人ではない気がする。


それは、アネたちが感じてきたことと、同じだった。


「ソラ」とアネは言った。「わたしたちも、同じよ。あなたと繋がっていると思うと、1人ではない気がする」


「……そうですか」


「そうよ」


「……ありがとうございます、アネ」


「どういたしまして」


────────────────────────────────────


8 次の朝


翌朝、集落が動き始めた頃、アネはルカに言った。


「次に行く場所を考えている」


「どこ?」


「ソラの記録に、もう1か所、人の痕跡がある場所がある。西の廃都市の中心部」


「廃都市? かなり西に戻るね」


「そうね。でも、一番規模が大きかった都市の跡。もし人間がいるなら、ここより大きな集落かもしれない」


「いるかな」


「わからない。でも——行かなければわからない」


「そうだね。前にも言ってたね、同じこと」


「旅を始めた頃から、そうだった」


「そんなに最初から?」


「最初から、そうだった」


ルカは少し笑った。


「アネって、ずっとアネだったんだね」


「どういう意味?」


「変わってきたけど、変わっていない部分もある。行かなければわからない、って言う部分は、最初からずっと同じ」


アネは少し考えた。


「変わっていない部分もある、か」


「イレーネ様が作ってくれた部分は、変わらないのかもしれない」


「そうかもしれない」


ルカは空を見た。


「わたしは、何が変わらないかな」


「あなたは——」とアネは言った。


「なに?」


「好奇心が変わらない。いつも、新しいものを見た時に走り出す。最初の日も、今も」


「そうかな」


「そうよ」


ルカはそれを聞いて、少し照れた顔をした。


「イレーネ様に、設計してもらったのかな」


「たぶん」


「じゃあ、この好奇心は、イレーネ様から来ている」


「そうね」


「だから——イレーネ様、今もいるね。わたしたちの中に」


アネは頷いた。


「ずっと、いる」


────────────────────────────────────


9 出発


準備を整えて、集落を出た。


ケンが見送った。


「西か。気をつけて」


「気をつける」


「戻ってくる時に、また寄っていけ」


「寄る」


「約束だ」


「約束よ」


ハルが走ってきた。


「またいくの?」


「また行く」


「かえってくる?」


「帰ってくる」


「やくそく?」


アネは少し間を置いた。


「約束」


ハルはシロを見た。


「シロも?」


「帰ってくる。約束する」


ハルはカナタを見た。


「カナタも?」


「約束する。帰ってくる。海にも連れて行く」


ハルはルカを見た。


「ルカは?」


「絶対帰ってくる」


「ぜったいって言った」


「言った」


ハルはマルを見た。


「マルは?」


「ピピ」


「やくそく?」


「ピ」


「よし」


ハルは満足した。


────────────────────────────────────


5台は西へ歩き始めた。


集落を振り返ると、ハルがいた。


小さな体で、大きく手を振っていた。


「いってらっしゃい!」


「行ってきます」とルカが返した。


ケンも手を上げた。


老人も出てきていた。


集落の明かりが、朝の光の中で小さく見えた。


「ねえ、アネ」とルカが言った。


「なに」


「帰る場所が増えた」


「そうね」


「東の盆地も、南の海岸も、北の山岳地帯も。それからソラのところも。みんな帰れる場所」


「そうね」


「旅をしているのに、帰れる場所がある」


「変な感じ?」


「変じゃない。すごくいい感じ」


アネは前を向いた。


地平線の向こうに、西の廃都市がある。


まだ見ぬ顔が、いるかもしれない。


まだ眠っている機械が、いるかもしれない。


「行きましょう」とアネは言った。


「うん」


5台の足音が、朝の廃墟に響いた。


重なって、1つの音楽のように。


旅は、また始まった。


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