水溜り
掲載日:2026/03/13
一日中降り続いている雨は
水溜りを揺らしていた
映り込んだ僕の顔さえ
見えないほどに曖昧な記憶
もしも晴れたら
きっとこの水溜りには
白い雲や青空が
映えるのだろうけど
今は
僕ひとりだけ
ぼやける世界は寝起きの脳内
カーテンは閉め切ったまま
誰もいない部屋で呟く「おはよう」
それくらいの価値もない
鏡の代わりにもなれずに
車に踏まれて
飛び散った水滴は
ただ人々の足を濡らすだけ
水溜りに手を伸ばせば
びっしょりと濡れた
泥に塗れた指先を
傘の外に差し出せば
汚れは地面に還ってゆく
落ちる雫
揺れ動く水溜り
踏んでいく車
そして濁り
やがて消える
誰にも覚えられないまま
ついには過去となって
今もまだ
僕は青空を忘れて
揺れる水溜りを見つめていた
ご覧いただきありがとうございました。
水溜りには映っている?
誰かに届きますように。




