逃亡の後に……
村に着いた時には、夕暮れになっていた。安堵感からか、少し寝ていたらしい。目が覚めても同じ世界。やはり、夢ではないようだ。
どうやら、おじさんは商人みたいで村に着くなり、村長らしき人と話している。話が終わるまでじっと待っていると、痛い視線に気がつく。
話が終わったのか、おじさんは困った顔で近づいて来る。
『お待たせしました。村長に事情を話して、今日は納屋を貸して頂く事になりました。とりあえず……今日は休みましょう』
とりあえず安心出来るみたいでホッとするとおじさんが手を掴んで来た。
『厚かましいお願いなのは承知です! どうか娘を助けて下さい!』
俺はキョトンとした顔でいると必死な顔でさらに詰め寄ってくる。
『娘だけが私の生きがいなんです! お礼は必ずします! お願いします!』
俺は少し距離を取り、考えてみるが……
筋肉痛MAXのオッサンが単身で乗り込んで娘を助けるなんて成功する想像ができない。
しかし、このおじさんを見捨てて、この世界で生きるツテがなくなるのも……
うーん……待てよ…
『おじさん? なんか兵士みたいな人にお願いしたらどうかな? 俺みたいなわけわからない人よりも
頼りになるし、きっと上手く行くはずですよ』
するとおじさんがすごい顔で迫る。
『もう村長にはお願いしました!! ただ冒険者ギルドに話を通すと2〜3日は掛かります!! その間に娘は……お願いします!!』
なるほどね…どこの世界も事務的な手続きは仕方ないよね〜って冒険者ギルド?
なにそれ?こんな事件だから警察みたいな人が出てくるんじゃ……
『あの〜冒険者ギルドってなんですか?』
おじさんは、何言ってんだコイツみたいな顔で見てくるが、話が全くわからない。
『冒険者ギルドを知らない人なんて初めてです 変わった方だと思いましたが……いや!!失礼しました!』
咄嗟に俺は弁解する。しかし、異世界から来ましたって!この状況で正直に言ったら頭おかし奴と思われるし…ここは記憶喪失って路線で行こう。
『実は…記憶がなくて…頭をぶつけたのか、昔の記憶がないんですよ…色々教えてくれると助かるんですが…娘さんの話はそれから考えさせて下さい』
上手く行ったか?おじさんは納得した様子でこの世界について話をしてくるみたいだ。
『わかりました。とりあえずは村長の家で話をしましょう 申し遅れました私の名前はハワードと言います 宜しくお願い致します』
『あっ!! 名前言ってなかったですね!自分はハヤトって言います! こちらこそ宜しくお願い致します』
そうするとお互いに握手をすると、おじさんが一言
『とりあえず、着替えだ方が……荷台に服がありますから好きなを来て下さい 服の大きさはどのくらいですか?』
ここは即答でMサイズと言いたい所だか。絶対にわからないと思うので、身体のスペックを教えたいが単位がわからない…身長は165センチなんだが…
『うーん……大丈夫です! 自分で合わせて見るので』
とりあえず、やっと一休みできる。
この世界について色々聞いてみよう!!
夕暮れから夜になり腹時計が飯の時間を知らせる。
兎に角、腹が減ってはなんちゃらなんちゃら…
とりあえず、ご飯食べたい……
実際に稽古が終わったら、筋肉痛で動けなくなります……
ストレッチは本当に大事です。
あと、握力がなくなりよくスプーンでご飯を食べていたのはいい思い出です。