気がついたらココはどこ
いつも通りの生活。
仕事に行き、仕事帰りにコンビニで酒とご飯を買い、チューハイを呑みながら気になっていたドラマを観る。
また、次の日も同じで休み前はポテチとアイスを買って映画を観る。
これが幸せ。
でもいいじゃないか……普通が1番いい。
小さい頃は、ある【剣術】をしていた。かなり厳しい稽古で大人になったら、反動なのか今ではグウたらな生活を送っている。
ウトウトしながらベッドで横になっていると視界が暗くなり、次の瞬間には……
森の中??まぁ夢にしてはリアルすぎる。
チクッと手に何か刺さり、見てみると小枝が手を刺していた……
『ココはどこ?』
緑に囲まれて木漏れ日が優しい。木々が風で揺れて涼しい風が吹く。
なんて日だ!!最高の癒しじゃないか!
もう、コーヒーと焚き火があれば一日中いれるわ…
なんか声がする。
近くから何か声が聞こえてくるので恐る恐る近づくと……全身黒緑の小人が2人で話をしている。
『フガフガ、ヒガヒゴシ、フガ!!』
『ヒガー!!』
何かいい空気ではないし、手には石斧を持っており乾いた血がベットリと付いている。片方の手には…
人の頭?!
その瞬間。急に怖くなった。リアルすぎる。
映画でしか見た事ない画に【ヤツらの】顔が鬼みたいな、般若面に似たような顔で、更に怖い。
どうしよう……とりあえずゆっくり静かに息を殺してここを離れよう。
【パキッ】
出たよ。毎回ある映画のワンシーン。
次の瞬間には走って逃げ出していた。もう、半べそかきならがら全力で走った。こんな時には足がもつれるもつれる。運動会のお父さんがこんな感じなんだと、こんな時に気がつく。
後ろからは聞いた事もない変な叫び声で追っかけてくる。
恐怖。恐怖しかない。怖すぎて変な声が出る。
『おうちかえる!!ごめんなさい!!』
足に力が入らないので、何回も転び、とうとう追いつかれた。
【ヤツら】は怒っているのか笑っているのかわからない顔で、ゆっくり近づいてくる。
このままでは、あの石斧で滅多叩きにされる。骨は折れ苦痛に叫びながら死ぬシーンが頭の中で流れた。
夢ならここで覚めるはずが、呼吸もリアルで座り込んで手をついている地面の葉っぱもリアル。
これは夢ではないと。自覚した。
右手に触れたのは太い木の棒。
やるしかない。これは稽古で使っていた木刀に似ている。そう、野太刀自顕流の木刀に。