表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誕生の日  作者: hirokatsu_k
2/4

宣告

お医者さんのはややあって、重々しく口を開いた。

その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中は真っ白になった。

 私と主人はお医者さんに呼び出された。

 

 どんな宣告を受けるのか―。

 私の心は不安と絶望でいっぱいになっていた。

 

 その時、主人が私の手を握ってくれた。そして何度も励ましてくれた。


 主人も不安なのだ。繋いだ手の指先が震えている。

 それでも主人の声は力強く、幾許か不安を和らげてくれた。


 私たちの方へ向いたお医者さんは、大変申し上げにくいのですが、と

 仰り、言葉を詰まらせた。


 ややあって、お医者さんは重々しく口を開いた。


 ―お子さんの容態なんですが、非常に危険な状態です。

  産まれてから体重が減り続けています。

  恐らく、2ヶ月と保たないかもしれません。―


 その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中は真っ白になった。

 夢であって欲しい、そう思いながら目には涙が溢れてきた。


 何とかならないのか、主人は必死で問いかけるがお医者さんは静かに

 首を横に振った。


 ―最善は尽くします。しかし、覚悟はしておいてください。―


 私達は絶望に打ちひしがれながら、その場を後にするしかなかった。


 私は再び我が子の下に向かった。

 たった2ヶ月・・・。この子の一生はたった2ヶ月で終わってしまう。

 

 小さな箱の中で、懸命に生きようとしている。

 精一杯呼吸をして、僅かながら手足を動かしている。


 この子にとっては、この一瞬ですら貴重な時間。

 私にできるのは、その一瞬を目に焼き付ける事。


 けれどその思いとは裏腹に、涙で視界が霞んでいった。


 


 程なく、主人から連絡を受けた養母が病院に駆けつけた。

 養母は、せめてこの子が生きた証として立派な葬儀をあげよう。

 この子をちゃんと送り出してあげようと言った。


 養母の言葉は聞く人によっては冷たく聞こえるかもしれない。

 しかし、養母も目から涙が溢れていた。


 私は養母にしがみつき、声を出して泣いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ